夏の日
「俺が夢羽ちゃんのことを好きになったのは
9年前のことなんだ・・・。」
9年前の私は小学1年生でママと花火大会に行っていた。
「ママー!!夢羽、浴衣きたぁーい!!」
「はいはいw可愛くしよーね^^」
「ぅん!」
バーンッ
パチパチパチ・・・
花火が空に上がっては消えていく・・・。
ざわざわと人のしゃべる声。
ふと気づけばママとはぐれていた。
「ママ?ママ・・・?」
私は花火に見とれていて迷子になってしまった。
「ぅ・・・っ。ふぇーんっ」
心細く知らない人たちの中で怖かったのか、
泣いてしまった。
「大丈夫か?」
私の目の前に現れたのは、小さな男の子だった。
「ぅ・・・っ。ぅん・・・。」
「どしたの?」
「ママがね・・・ママがいなくなったの」
「僕も一緒に探してあげるよ^^
だからさ、泣かないで?」
「うん」
男の子は私の手をひっぱって歩き出した。
たどり着いたのは小さな神社で、階段に座った。
「足が・・・。」
慣れてないゲタをはいた私の足からは血がでていた。
「大丈夫?」
「うんw平気」
男の子は私の顔を覗き込んでニコっと笑った。
「名前はなんてゆーの?」
「夢羽!あなたは?」
「僕は、結蒔」
「結蒔も迷子になったの?」
「ううん。僕はもともと1人だった。」
「1人?ママは?パパは?」
「僕にはパパ、いないんだ・・・。」
「なんで?」
結蒔は何も答えずにニコっと笑った。
笑っているのに笑っていない・・・。
「じゃあさ、結蒔が1人になったときは夢羽が一緒に
いてあげるからね^^」
「え?」
「夢羽ね、結蒔に助けてもらったでしょ?」
「う・・・うん」
「だから、今度は夢羽がね、助けるの^^」
「ありがと・・・。」
「夢ー!!!」
遠くからママの呼ぶ声がする。
「あっ!ママだw」
「じゃあ、僕はもぉ行くね」
「うん^^ありがとう。結蒔」
「じゃっ。ばいばい^^」
「ばいばい」
小さな手をめいっぱい振ってさよならした。
「あっ!!!思いだした!」
思わず声をあげてしまった。