有り金溶かしたら悪魔がやってきた
「Fxで有り金溶かしちゃった……これは政府の陰謀に違いない。お偉いさんを殺しに行こう。そんで死のう」
「は~いこんにちは~」
「わお、3階にも関わらず窓からダイナミック侵入。こんにちは」
「挨拶ありがとう。絶望の匂いがしたのでやってきました。こちらは粗品ですが、インドにて足で踏んで作られた水あめです」
「これはご丁寧にありがとうございます。窓直してください」
「失礼しました。はい悪魔ぱわ~でちょいっと」
「あ、悪魔の方でしたか。では」
「ちょっと待ってね」
「何か?」
「行くなら明日にしてほしいんだよ」
「悪魔の言うことを正直に受け止めると?」
「君そんな信心深くないでしょ。いったんインド産水あめ食べなよ」
「三途の川直行のチケットはもう持っていますので」
「もったいない。三年物なのに」
「悪魔か」
「悪魔だね」
「で何しに来たんですか?」
「いい絶望してたから、魂をもらおうと思って」
「イケメンになってから出直してきてください」
「容姿差別反対!」
「まず性別から変えろと」
「同性じゃダメ?」
「否定はしないけど、当事者にはなりたくないです」
「女の子は女の子同士で、男の子は女の子にして女の子同士で恋愛するべきだと思うの」
「悪魔か」
「悪魔だね」
「じゃあ魂あげるんでお金稼ぐ方法教えてください」
「あ、そんなことでいいんだ。いくらぐらいほしいの?」
「いったん300不可思議くらいで」
「いったんで済む額ではないかな」
「あとできればギャンブルで稼ぎたいです」
「今所持金いくら?」
「300円」
「君悪魔だったりする?」
「人間です」
「まいった。頭がおかしいやつのところへ来てしまった」
「失礼な悪魔ですね」
「悪魔だし」
「それもそうだ」
「ちなみにギャンブルなら何でもいい?」
「できれば達するくらい興奮できるものがいいです」
「ギャンブルは当たれば全部そうじゃない?」
「Fxは違いました」
「君がなんでFxで有り金溶かしたかよくわかったよ。競馬でいい?」
「お金が稼げるなら何でもいいです」
「よし、なら競馬場に行こう。幸い今日はレースの開催日だ」
「競馬場ってどこですか?」
「東京」
「ここ北海道ですけど」
「そういやそうだった。なんか寒いなと思ったんだ」
「そりゃ水着みたいな格好してたらそうでしょうよ」
「ストーブつけていい?」
「お金ないからダメです」
「じゃあ早くいこうよ」
「どうやって行くんですか」
「悪魔ぱわ~でちょいっと」
「悪魔ぱわ~便利ですね」
「いくよ~。アバダレダブラ!」
「ちょっとオリジナリティを出すのはやめませんか?」
「ダメ?」
「恥ずかしいです」
「そんなこと言ってたら着いたよ」
「あったかいですね」
「北海道と比べたらね」
「会えない母のハグを思い出します」
「重い」
「冬の北海道は厳しいと沖縄に行ってしまいました」
「軽かった」
「おお、紙切れを握り占めながら叫んでいるおじさんがたくさんいます。私以外皆外れればいいのに」
「これは名誉悪魔」
「そうだ、馬券はどこで買うんですか」
「あっちだね」
「あの長蛇の列ですか?」
「そうだね」
「並ぶのダル過ぎません?」
「風情だよ」
「ネットで買えないんですか?」
「買えるね」
「買いましょう」
「ダメだよ。G1レースの日は応援している馬の100円馬券を握りしめるんだ。万が一それが当たったら換金しないで家宝にする」
「私はお金を稼ぎに来たんですけど」
「風情がない」
「どの馬を買えばいいんですか?」
「気に入った名前の子でいいよ」
「それ本当に当たるんですか?」
「当たらなくても悪魔ぱわ~で人も機械もバグらせるだけだから」
「人心無」
「我悪魔」
「悪魔理解」
「じゃあこの子で」
「アリガネトカシタ。君すごいね」
「私はこの子と心中します」
「しないで」
「あ、レースが始まりましたね。初めてなのでドキドキします」
「なんか展開速いな」
「おら差せーっ!差せー!ぐわーっ!」
「君ほんとに始めて?」
「そんな後ろにつけて届くわけないだろうが!」
「絶対初めてじゃないよね」
「それでは悪魔さん。バグらせてください」
「悪魔より悪魔らしい」
「情緒が怖い。えい」
「おお、お札がいっぱい。これでどれくらいですか?」
「3連単517倍だから15万とちょっとだね」
「私いくらほしいって言いましたっけ?」
「300不可思議だね」
「一見遠そうに見えますけど、これから増えると考えたら割とすぐですか」
「いや外れるときもあるから全然すぐじゃないよ」
「外れるんですか?」
「外れるよ?」
「悪魔ぱわ~は?」
「毎回当たるギャンブルとか気持ちよくないでしょ」
「それもそうですね」
「ということで、君が死ぬまでよろしくね」
「もしや私、死ぬまで300不可思議稼げないんですか?」
「人間の生涯年収の何倍あると思ってるの。そういう事だから、稼いだお金で今日の夕飯買いに行くよ」
「一緒に食べるんですか」
「何なら一緒に住むけど」
「……まぁ、悪魔さんといるのは楽しいのでいいですけど」
「お、デレた」
「デレてないです」




