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浪漫道
(短歌十五首)
慰める
声があなたの声だから
泣いちゃダメだとこらえたいけど
空中の
揺れる金魚の尾を眺め
悲しみみたいな街に住んでる
凍らして
食べるプリンが美味しいと
教えてくれた 恨みたいひと
ハロウィーン
だけどピエロの泣き顔で
結婚してよと云えない大雨
判断が
つかないほどのささやかな
好意に騙され沼にハマった
AIの
ように素早く喋るから
きっと私はおいてゆかれる
てっぺんを
目指さないのが賢いと
わかっていながら歩く山道
孤独とか
知らないだろう?僕が居る。
そんな言葉の裏に居るひと
皆うまく
嘘をつくから僕たちは
静かに止まるカブトムシだね
このさきに
あゝ幸せな日が来ると
希望が光った 昭和浪漫
逃げたけりゃ
逃げればいいけど悲しみの
果てはただただ極寒の海
あの駅で
最後にみたのはいままでに
みたことのない美しい髪
すべりだす
電車の窓から僕をみる
瞳がとわの終わりに光って
コンビニに
毎夜通った手をつなぎ
冷たいけれど温かい手を
駅前の
ネオンがうるむ秋の夜
喧騒かきわけ何処へ向かうか?




