終章(6) ライオンの願い
「まったく、本当にがっかりだ。お前の勝ちだ、ルル。人間のくせに、死の恐怖を超えて求婚するなど、狂気の沙汰。意味不明だ。いや、そもそも、なぜ人間がお前を好きになるのだ?」
深いため息をつく。
「後はもう、好きにすればいいさ。もう私はお前に敵わない。お前は自由だ。さっさと3つの願いを叶えて、天秤を返せ」
ムシュマッヘは、七つの頭を一つにまとめると、淡い光に包まれ、長い金色の髪に白いドレスを着た女性の人型に姿を変えた。
近嵐の頭部を抱えて、涙を流すウガルルムは、呆然とムシュマッヘであるティアマトを見つめていた。
「3つの……願い?」
「ああ、そうか。その人間の男しか知らないのだったな。天秤の賭けの副賞だ。よほどのことでない限り、何でも叶う。この人間は、それに賭けたのさ。お前に愛されていると信じて。目にも見えないお前の心を。何の保証も無いというのに。」
ウガルルムはティアマトの言葉の意味に気が付いた。
「お母さまは、戦争を続けるの?」
「家を出るお前には関係ない」
「……そうね。ありがとう」
「何を、感謝している?」
「恨んでるわ。それでも、産んでくれなかったら、こんな気持ちも知れなかった」




