表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/60

6:夏(二度目)/(7)改めてプロポーズを

 「……宇賀さん、その……、聞こえてました?」

 「え?」

 「私と、その……ツムギちゃんのお父さんの会話……」

 「あ、はい。私、ものすごく耳が良いので、全部聞こえてましたよ」

 「ど、どこから……」

 「子供たちの相手と料理で、疲れただろう? 私が……から、私は君が……」

 「ぎゃー! ギャあああー! それ会話全部だから!」

 絶叫の後、金沢はため息をついた。

 「内緒にしてください……」

 「?」

 「今日聞いたことは内緒にしてください……」

 「はぁ、分かりました」

 「えー、でも、あれってプロポーズですか?」

 「ぶはっ!」

 金沢は赤面してのけぞった。

 「ど、どう聞いたらそうなるんですか!」

 「だって、ツムギちゃんのお母さんになってくれって……それって、結婚ってことですよね?」

 「あ、あぐ、あぐぐ……」

 金沢は真っ赤になりながら頭を振った。

 「う、宇賀さん……純真な、美しい顔をして、なかなかに悪魔ですね……」

 「悪魔っていうか、魔獣ですけどねぇ。あ、これは内緒でした。でもいいなぁ。私も……」

 不意に頬を赤らめた瞬間を、金沢は見逃さなかった。

 「誰か、プロポーズされたい相手でも?」

 「……はい、近嵐さんに……」

 攻守逆転だと思った矢先、斜め上の回答に、金沢は真っ青になった。

 「だ、だって、え? 親戚……近嵐さん、宇賀さんの叔父さんじゃ……」

 「あ、それ、設定なんです。あ、これも内緒でした。駄目ですよ、他の人に話しちゃ」

 それなら、全然顔が似てないのも、合点がいく。

 てか、この金髪も、本当にきれいだし、これ、今更だけど地毛よね?

 「えーと、じゃあ……その……好きな人と、ずっと一緒に住んで、子育て手伝ってるってこと? 近嵐さんは……宇賀さんをどう思ってるの?」

 「それは……分からないです……」

 「えー! 何それ! あんな善人そうな顔して! ど、どういう状態?!」

 「あ、その、近嵐さんは悪くないんです、私が押しかけて一緒に住んでて……その、でも……その……」

 金沢はごくりと唾を飲み込んだ。

 「いつかプロポーズしてくれたら……好きって言ってくれたら嬉しいなって」

 「ヌガー!」

 こ、こんな美人にこんなこと言わせて!

 一体、あの近嵐さんは何者なの? どんな徳を積んだらこんなことに……。

 いや、しかし、状況的にはものすごく悪い人にも思えてきた……。

 「ち、近嵐さんは、宇賀さんの気持ち、知っているの?」 

 「え? わ、私の気持ちですか……?」

 「そう、それを知ってて、今の状態だとしら……」

 「……分からないです……多分、そういうのはあんまり考えない人だから……。あの……」

 「え?」

 「もし、私の気持ちを近嵐さんが知ったら、どう思うでしょう?」

 「それは……」

 「金沢さんは嬉しかったですか?」

 「へ?」

 「さっきのプロポーズ、嬉しかったですか?」

 「ギャー!! や、止めて……! そ、その話は忘れて……」

 「……嬉しかったんですね!」

 「そ、それは……だって……」

 ウガルルムがすっと立ち上がった。

 「私、気持ちを伝えてみようと思います」

 「え、ええ?」

 「次の夏祭りまでに、伝えてみます。それで、近嵐さんが嬉しいと思ってくれるなら……そしたら、改めてプロポーズをお願いしてみます」

 「ち、ちょっと、宇賀さん……」

 「ありがとうございました! 何か、すごくすっきりしました!」

 え、ええ?

 テントに戻っていくウガルルムの後姿を、金沢は茫然と見つめていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ