合理的配慮はどこまでか
仕事で落ち込む出来事がありました。
気持ちの整理をつけるために書きました。
仕事で患者さんと関わる中で、障がいを持つ方と接する機会が非常に多いです。
事務員ですが、患者さんの病状や障がいに合わせた対応が常に求められます。
足が悪い方がいれば座りやすい場所へ案内し、診察券の預かりや会計はこちらから伺って行います。
目が悪い方には、なるべく少ないやり取りで理解して頂けるよう話し方を工夫したり、大きく文字を書いてそれをもとに説明します。
耳が悪い方には、文字でやり取りしたり、聞き取りやすい場所へ移動してお話します。
体調が悪くてぐったりしている方がいれば横になれる場所へ案内もします。
これだけではありませんが、私の職場ではスタッフ一丸となって患者さんが治療に専念できるように、こちらがお手伝いできることや工夫できることはしています。
患者さんからの要望があればできるものは取り入れています。
しかし、常に同じようなお手伝いができるわけではありません。
急病の方がいればそこに人手を割かなければいけないので、その患者さんがやってほしいと思った事がすぐにできなかったり、設備面でどうしても応えられないこともあります。
工夫しても患者さんが協力してくださらなければ意味をなさないこともあります。
最近、障がいを持つ方とのトラブルが連続して起きてしまいとても落ち込みました。
今年度から障がい者への合理的配慮が義務化されたことにより、障がいを持っていたらどんな要求をしても許されると勘違いされている方の過剰な要求・できなかった時に罵声を浴びせられることがあり、とても悲しい気持ちになりました。
患者さん自身が絶対にやらないといけない役所への申請手続きがありました。
本来なら、ご自身で申請の準備をしないといけませんが、病状的に難しかったので、こちらで書類作成を手伝い、市役所宛の手紙も添えて封筒に入れ、このまま出せば市役所の方が患者さんがどんな手続きをしたいのか分かるよう準備をしました。
しかし、患者さんがその書類を忘れてしまい手続きがスムーズにいきませんでした。
後日、そのことで暴言を吐かれました。
「書類がいるって聞いてない!」「言わなかったお前が悪い!」
一緒に作成したときに説明し、封筒に大きくそのまま出してとメモを書いたのにです。
最終的に上司が対応を代わり、病院としてできるお手伝いは最大限やったこと、患者さん自身が手続きに持って行ってもらわなければ何も進められないこと、本来は自身で全てやるべきことを手伝ったにもかかわらずこれだけ暴言を吐くなら今後できる手伝いはないことを説明してもらいました。
帰宅時には落ち着いたようで「やることが沢山あったし体調悪くてイライラしてました。すみません」と謝罪がありました。
しかし私の心はモヤモヤしたままでした。
謝るくらいなら暴言を吐かないで欲しかった、説明した通り作った書類を持って行って欲しかった。
また、別の日に初診希望の申し込み対応をした時のことです。
とある障がいがあり現在別の病院で治療している方が、気になる症状があるからこっちも受診したいと電話で申し込みがありました。
その方は、介助が必要な状態らしいのですが詳しく聞こうと質問しても答えません。
自身の状況はほぼ教えて下さらないのに「診察しろ!」の一点張り。
何の病気で具体的にどう介助が必要なのか分かりません。
それなのに「そっちの病院は駐車場から入口まで何mなの?何歩でつくの?」と質問してきます。
駐車場はそれなりの広さがありますし、病院の敷地がそれぞれ何mあるかなんてスタッフは誰も知らないと思います。
大体の広さを答えると「そんなことも知らないの?おたくは障がい者に対する配慮がなってない」と言われました。
どんな障がいがあるかも分からない・診察してほしい症状も言わない人を引き受けられますなんて言えません。
また、病院の造りを気にしているようなので、近くのバリアフリー対応している新しい病院の案内(私の職場が古い建物のため)と現在のかかりつけへまず相談してみてはと提案しました。すると
「障がい者差別ですよ!これって私が障がい者だから断ってるんでしょ」
「病院のくせに障がい者に対する合理的配慮をしないっておかしいんじゃないですか?法律違反ですよ!」とお怒りに。
埒が明かないので、今あなたが話してくれた情報をもとにお引き受けできるか確認してきますと伝えると
「結構です!差別する所なんか行きたくないんで」と拒否されました。
更に「あなたが私を断りたがっているのすごく伝わりました。障がい者に配慮できない人がいる所ってわかったので結構です!」と私に対して攻撃を始めました。
電話でここまで言われたのが久々だったので、私の対応がまずかったのか上司へ報告しましたが、引き受けるために必要な情報を答えない人に対してこれ以上できることはないだろうと、対応は間違ってなかったと言われました。
短期間に2件も個人的な攻撃をされるとさすがに落ち込みます。
もちろん、障がいのある方は健常者と言われる人と比べてできないことは多いでしょうし、自身でできることが限られてくるので配慮は必要だと思います。
でも、配慮が必要な方は障がい者だけではありません。
特定の場面や状況によっては誰もが誰かの手助けが必要になると思います。
どんな人でもお互い様の精神で協力し合ったり、時には我慢が必要なのではないでしょうか?
今回の出来事は病院という中で職員として働いているから経験したトラブルだと思います。
しかし思い通りにならないからと言って、障がいがあることを理由にこのような事を言っていいのでしょうか?
私の合理的配慮が足りなかったのでしょうか?
全ての患者さんの思う通りの動きができない私は障がい者差別をしている人なのでしょうか?
今後どう患者さんへ対応していったらいいのか分かりません。
また暴言を吐かれるくらいなら何もしない方がいいんじゃないか。
そんな考えが浮かんでしまう毎日です。
多くの患者さんは協力的ですし、できること・できないことの説明をすると理解してくださいます。
しかし、少数の人の過剰な要求やトラブルでスタッフのモチベーションが下がったり、辞めていく人たちも多い業界だと思います。