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肌寒い朝に、溶けるような約束をした

掲載日:2023/09/16

 その日は、とても寒い朝だった。

 身も凍るような朝。


 大嫌いだ。


 うだるような夏より、冬が好きと言う人もいる。

 けれど、それでも夏が好きだ。


 朝、その子は「おはようございます」と挨拶をしてくれた。

 いつも気になっている子だ。


 その時だけは、冬なのに心の中が温かい。

 外の寒さとちょうど混ざり合って、春の様なポカポカとした感じになる。


「元気ないですね?」

 小首を傾げて、その子は心配してくれる。


「そんなこと、ないけど」

 少し強がってみた。

 実は、冬の憂鬱さで死にたくなる気分だからだ。


「あ、あのー」

「何ですか?」

 不思議そうにその子は僕を見る。


「季節は、どれが好きですか?」

(いかん、話すことないから、適当な事を聞いてしまった)


「えー? 夏?」

「本当に?」

「ええ。海好きなので」

「ですよねー」

「ふふふ。面白い人」

「あの、今度の休み、時間ありますか?」

「え? 何ですか?」

「いや、その……」

「ん?」

「映画、見に行きませんか?」

(べたな誘いをしてしまった。こんな唐突に誘っても、やんわりと断られてしまうだろうな)


「え? 良いですよ」

「そうですか。残念で……、え?」

「はい?」


その人の真ん丸とした瞳が、とても可愛らしかった。

そして、顔が熱くなっていく。

「あ、いや。OKなんですか? 本当に?」

「はい」




僕は、冬も良いもんだなと思うことができた。

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