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夢から始まる話  作者: にわとり
4/4

④ドライブ

そこから一緒にバスに乗り、金沢駅に戻り、さらにJR石川鉄道線でひと駅の野々市で降りる。


南口から出てタクシーを拾い、青い看板に国道8号線と書いてあるのを見ながら、大手の洋服屋やカー専用品店を脇目に見つつ、国道から脇道へ。


「どこ行くんだよ」


「着いてからのお楽しみ。先にマイカーを調達する」


小綺麗なマンションの近くに月極め駐車場。白いタントに歩み寄り、遠隔キーでロック解除。


助手席がわのドアを開けつつ、左側の大きなマンションに目線をやって、


「このマンションの1室が我が家」


「どんだけ俺を信頼してんの。もうちょい危機意識持った方がいいぞ?」


「そっか、覚えてないんだった」


「そのあんただけわかってる風なん、怖いんだけど」


「絶対思い出させるから。不安かもだけど目的地までは来てほしいな。散らかってるからちょっと待って」


後部座席に荷物を放って、助手席を空けてくれる。


「安全運転で行くから」


彼女はもう運転席側に回り込み、ドアを開けている。


「拉致られてる気分だ」


俺は助手席に乗り込む。


「いざとなったらあたしを張り倒して逃げたらいいよ、そんなこと起きないけど」


ドアを閉め、すぐに出発。


「お友達と来てるんじゃないの?」


「そう。連絡しとくよ、戻るのいつぐらいなる?」

「んー、明日の朝?」

「冗談やめろよ」

「冗談じゃないんだけど」

「それは困るな」

「今日帰る?」

「一晩なにすんだよ」

「お楽しみ」

「さっきから痴女にしか見えてないよ?」

「ひっど。あたし大マジメ」

「それはそれで問題だな」

「もう痴女ってことでいいよ」

「いいのかよ。いまんとこな」

「今日は帰らないでしょ?」

「そうだけど、まじで言ってる?」

「あなたがあたしの願いを早く叶えてくれれば自ずと早く帰れるよ」

「その願いはなんだよ 」

「んーとね、夢で会うこと?」

「どゆこと?」

「雨の降る寒い夜に抱き合って温め合ったあの日を忘れるなんてね〜」

「痴女にしか見えてこねえ」

「なんでよもー」

「意味深案件がエロい方に意味深になってんだわ」

「エロなんてない!」

「純粋?」

「そう純粋な思い」

「それはそれで怖いから」

「そっか。ならまだ純粋なエロ設定の方がマシじゃない?」

「純粋なエロ(笑)たしかにその方が納得はできる。でもなんで俺?」

「あたし痴女☆あなたの前だけね♡」

「車降りていい?」

「ダメ。オチはもっと深刻な夢なの」

「どんな?」

「何かと戦わなきゃいけないの。あの夢の真実がわからない」

「映画の、なんだっけあれ。イ◯セプション的な?」

「あ、それじゃん。」

「俺ら誰かに眠らされてんの?」

「かも。それか寝てる時に侵入されてる」

「ほー。設定が増えて来た」

「大樹、心に問題でも抱えてる?」

「あんたって異分子については悩んでるかも」

「だからじゃん、夢に出て来るの」

「あー映画の設定で言えばな」

「でも夢で初めましてだったから違うよ」

「またこっちだけわからんネタかよ」

「えーごめん、先に話しても信じてもらえるかどうかって感じなんだよね。でも夢で会えるなんて恋愛の歌詞みたいじゃない?」

「運命的だと」

「そーそ。別に男女とかそういう意味合いじゃなくても縁があるんだって」

「あんた地頭いいのに全体的におっさんみたいな言葉選びが残念なんだけど」

「おっさんとは失礼な。うーん、でも大樹には特別な想いがあるのはほんとなんだよ?だから今度はあたしが気を引く番なんだよーだ」

「なんの告白だよ」

「はぐらかすんだー」

「いまんとこ評価は最低です」

「まじかー。アプローチミスったぁー。ムッツリスケベの脳内エロ野郎かと思ってこのキャラで押したのにー」

「俺なんでそんなイメージついてんの?理不尽なんだけど」

「夢の中で初対面であたしが出て来て、何も喋らない内に自分が夢の中にいることに気が付いたら、あたしと何したい?」

大樹は波の顔を2秒ほど見て、

「その口さえなければ、、なんもしねえよ」

「間と回答がもう(笑)わかりやすすぎでしょ」

「うるさ」

「あたしはふつーに嬉しいから大丈夫。他の子はキモがるだろうけど、こんな質問しないよね」

「突飛すぎてフリーズしたわ」

「よし。じゃあここからはおっさん女バージョン消し去る」

「期待してる」

「まぁ色々言ったけど友達として好きだよ?色々ウソついたりからかったりして、ごめんね」

「大丈夫、まだ信用してねぇから。あとまだ友達じゃねえ」

「えっ、まじで。会話の相性いいけどな、ウチら」

「それは否めんなぁ」

「まだ知り合って1時間だもんね。これで友達なれたら全人類となれそうな気がする」

「かけた時間も大事だわそりゃ」

「さっきの特別な想いってのはほんとだよ?どんな想いって、夢を共有したただ1人の相手があなたなの。話通じるのあなたしかいない」

「なるほど。筋は通ってるな」

「ほんとはすぐにでも夢の内容共有したいけど、とりあえず見せたいものを先に見せてから」

「えー」

「でもあれだね?そっちからグイグイ来てくれないとなんか調子狂うなー。最初の出会いがさ、そんな感じなんだよね」

「もう話しちまえよ出会いを」

「そうしよっか、どうせ運転中やることないし」

「そこが1番聞きてえんだよ」



「おっけー。まずね、お互いの夢が共有されるとこからスタートなの。季節というか、気温は夏で、場所は無人島の浜だった。温度も肌で感じれて超リアル。


あたしが先に着いてて、あまりのリアルさに現実だと錯覚してた。夕焼けが綺麗だったから写真撮ろうとスマホを探した。でもなかったし、荷物もないし、ここに旅行に来た覚えもなれけば、どこかすらわからないことに気が付いたの。

服も夏仕様に変わってた。


ちょっと焦ったけど、あたし自室で寝てたよね?って、これ夢?ってなって、頬つねったの。ふつーに痛かった。あれ?って混乱して、でも夢でもなきゃ辻褄合わない。もう呆然だよね。そしたら見知らぬ男の子が後ろから声かけてくるの。」


「俺か」


「そう。『お姉さん取り込み中?』が第一声だったなあ。ナンパするときの鉄板文句みたいな。よく覚えてるよ。これで夢だってまた認識一気に引き戻された。あまりの緊張感のなさが逆に救いになって、あたしにも心の余裕ができた。


でも心細かったのもあって、『んーん。ちょうどナンパ待ちしてた』って返したね。誰かと話して紛らわせたかった」


「俺なんて答えた?」


「『奇遇だな、断ることはできないナンパを受けてくれ。これ俺の夢みたいなんだよね、だから君を下心のままにめちゃくちゃにする』要約するとこんな感じ。」


大樹は赤面する。


「まじかっ。現実じゃ絶対しないことしてる。」


「だろうね(笑)あと気まずいのわかるけど、あたしは当時も今も気にしてないから大丈夫。謝ってくれたし。あと何もされてないからね?」


「良かったぁ…まだ半分しか信じてないけど」


「まあ最後までききなよ。もうここでだいぶ心ほぐれたよね。なんか笑えてきたし。夢の中でのことに向き合える余裕をくれたよ」


「そっか」


「それからは夢かどうかの検証して、現実だと2人して結論付けた。お互いナイスだったのはこの時点で連絡先と住所教え合ったことだね。この出来事をわかり合えるのお互いだけだとすぐに気がつけたから。」


「そういうことか。あん時の電話も」


「そういうこと。まさか忘れてると思わないから、痛みすら感じる超リアルな夢扱いになっちゃったわけだけど、夢で片付けられないのわかるでしょ?」


「そうだな…」


「うん。で、話戻るけど、忘れられないのが、雨降ってくるわ寒くなるわで、お互い抱き合って温めようってなって、あたしが背中預ける形で大樹に収まって、お互い寒さを凌いでたんだけど」


「待て待て、まじで?」

「?うん。それくらい寒くて切羽詰まってた」

「夢の中とは言え大胆だな俺…」

「あたしから言い出したから」

「さすが痴女、軽いな」

「は?ふつーに違うし。大樹も、俺も思ってたけど言い出しにくかったから助かるって言ってたよ?」

「そこまでなんか。すまん」

「だよ?濡れてたのもあるしさ」

「あー、」

「納得して?」

「わかった」

「言いたいのは次。あたし髪の拭きが甘くてさ、大樹が自分のTシャツ脱いであたしの髪を追加で拭いてくれたの。またそれがうまくてさー、気持ち良かったの。溶けそうだった。」

「あっそう。てかその話要る?」

「要る、重要。またしてほしいあれ」

「調子乗んな」

「はぁい」

「いつからそんな女慣れした男になってたんだ俺…」

「半分夢の世界だから大胆になれたんだよきっと」

「かもな」


「続きね。で、だいぶ暗くなって来た頃に、森の中から猛獣の唸り声みたいな声が聞こえてくるわけ」


「こわっ」


「最初姿が見えなかったのがさらに恐怖だよね。もうね、声がこっちに向けてなの。もう見つけて、認識して、あとどうしてやろう、みたいな。声聞こえた時には既にそんな感じ。完全に威嚇だった。その直後の声は近づくと同時に襲いますってもうそんな声上げてさ、来るのがわかるわけ」


「ほんでほんで?」


「ちょうど雨が上がって月明かりに照らされたそいつ、なんだったと思う?」


「なんだよ、もったいぶるなって」


「恐竜」


「は?」


「恐竜」


「いや聞こえてるから」


「デイノニクスってやつ」


「いや信じられないんだけど。夢で会ってそれがほぼ現実でさらに恐竜が出て来るとか」


「だよね。忘れててほしくなかったけど、夢と思えば忘れるのも仕方ないね。」


「なんで名前わかんだよ」


「大樹が夢んとき名前言ってて、こっちに戻った後で調べた。確かにあれはデイノニクスだった。なんでそんな知ってんの?」


「恐竜ってロマンあんじゃん。俺もそこまで知ってるわけじゃないよ。デイノニクスはたまたま知ってるけど」


「たしかにロマンはあるよね」


「わかってくれんの?ちょっと株上がったわ」


「んー、というか、こっちに戻ってから恐竜についてちょっと調べたの。古代にこんな生物が存在してたって思うと不思議でなんか魅了されちゃって」


「いいね。たぶん俺より知ってるよ。映画見たくらいだよ俺は」


「映画ってアレしかないよね?あたしこれキッカケで初めて見たんだよ?めっちゃ引き込まれた。面白かったんだけど、エンタメ性より恐竜という存在に惹かれた。ロマンだよね」


「ロマンだよなー。ってそれはいいけどそろそろ続き」


「うん。そっから2人とも殺されて現実に戻った。以上!」


「えっ、」


「以上!」


「ディティールかもん」

「ヤだ」

「まあ、それだけむごかったってことか」

「うん。」

「で、夢だったのか」

「じゃないかな?それか転生して舞い戻ったとか」


「ラノベとかにありがちな?別世界飛んでから数時間でこっち戻る転生て…夢がトリガーってか?無理ある。どう転んでも無理あるんだけども。でも夢って身近で怖いよな。いつまたそれが起こるかわかんねぇんだろ?」


「そうだよっ。だから会いたかった。不安なのに誰にも話せないんだもん」


「あー。まあこれが本当だとするならな」


「でも心軽くなった。きいてくれてありがと。初めて誰かに話せた」


「そっか初めてになるのか」


「いーのもう。信じてもらえないならもらえないで、なんとかやってくし。とりあえずは信じてもらうためにいま目的地を設定してるから」


「なるほどな。でも待てよ?俺もその夢をまた見るかもしれないわけだ。」


「わかんないけど。また同じシチュで同じ惨たらしさで殺されるかもだね。解決から何から1人で抱え込むかもしれないけど、あたしと友達になるかは大樹次第だから、、いまこれ話してもあんま意味ないんだよね。目的地着いて、あたしを信用してもらって、、ってこれ最初から言ってるよね」


「やっと理解追い付いてきた」

「あたしだけ記憶残されてるのなんで?」

「知るかよ」


「でも話してて思ったけど、これ大樹知らない方が幸せだったよね。また同じ夢見るとは限らないし。あたしエゴ押し付けちゃってたかも。わかってほしいなんて1人よがりな思いで。ごめん。もう遅いけど」


「そうだな。嘘かはわからんけどもう話聞いちまったからなぁ。」


「引き返したかったら言って?話せて冷静になってみたら、わかってほしいだけのために突っ走りすぎてた。いますごい恥ずかしい。」


「『絶対に好きになってもらいますから』だっけ?」


「あーー!やめて!!いま耳ふさげないのに、卑怯!」


「『あたしけっこう肉食だから』!!」


「もーやだ、もーやだ、それ以上は覚悟しなよ?」


「はは、人の心を弄ぶからだ」


「別に弄ばれてないよね大樹は。恐竜に襲われたとき手を引いてくれて、あたしの前に立って先に犠牲になってくれた大樹はどこへ行ったのよ」


「え、まじでそんなことしてたの俺…」


「変なヤツだったらあたしも、あの夢見ませんように!で現実に会おうとなんてしないよ。あなたがいい人だったし、守ってくれようとしてたし、髪拭くの気持ちいいし? だからコンタクトを取ろうと思ったの」


「なんか色々信じらんねーけど」


「今の照れさせてやろう作戦だったのに、覚えられてないから不発じゃん」


「反撃だったのかよ」

「早く思い出してほしい」

「あとどれくらいで目的地なんだよ」

「50分くらいかな」

「そっから朝までかかる理由はよ」

「一緒に寝るから」

「山下のおっさん、もうちょい噛み砕いてくれんか?そーゆーとこよ、胡散くさいの」

「あはは。ごめん、ちょっと刺激ある会話しないと飽きられちゃったら困るから」

「もう拉致ってんだから、つまんなくても付き合わしゃいいんだよ」

「そんな関係性で終わる気ないから。またあの夢が起こったらすぐ頼れる関係値築かなきゃと思ってるよ?」

「しっかり考えてんな」

「大樹も思い出したら、会えたことの喜びと関係失いたくない恐怖はわかると思う」

「真実ならなんかほんとに宿命的な何かがありそうだな」

「ね?そうなるでしょ?いまのあたしの気持ちそれ。運命共同体だよ」

「うわー、真実であって欲しくねえー」

「信じた時点でけっこう重い話で乗っかってくるからね。覚悟も何も今はないかもしれないけど」

「信じたくねえな」

「でもまた夢で会うかもだよ?」

「わかんねぇだろそんなこと」

「そうわかんない、わかんないからこそ怖い」

「夢で会った時だけの関係で良くねーか?同じ夢見るかも会うかもわかんねぇのに」


「それも一緒に決めさせてほしいけど、今じゃないし機会は来ないかもだけど、なにか行動しないと落ち着かなくて。別の人と同じシチュエーションとかもあり得ると思ってるから、とにかく情報を得られる関係って大事にしなきゃと思うの」


「そっちからしたら、そうだな」


「で、一緒に寝るって言うのは、雑魚寝だよ。別に何もないよ。ただ、色々都合いい条件揃ったら何か起こるかも知れないって期待だよね。あとこの件の解明と。」


「条件って?」


「ここの2人ともう一匹の主役が登場しやすい場所」


「胡散臭さと真実味どちらも増して来た」


「場所ってのが夢の中だし、どんな夢見るかちゃんとイメージさせたげるから。極力同じタイミングで同じ夢見るように寝る。ちなみに寝る場所はこの車だから」


「まじかよ。もうちょい寝やすいとこのが良くないか?お金出すぞ?」


「まあ、あたしが勝手に思う好条件だから、ホテルでもいいと思うんだけどね」


「着いてから決めるか。別に予約してなくても滑り込めるだろ」


「そうしよっか」


「んで目的地はやっぱ着いてからなの?」


「福井県立恐竜博物館だよ」


「なんだよもういいんかい」


「ここまで話したら、なんだかんだ最後まで付き合ってくれそうなお人好し感は感じてたから」


「しかも恐竜博物館って…安易すぎに思えるんだが。なんでそこなの?」


「あの夢見てから興味湧いたから行ったの。デイノニクスの標本はなかったけど、その晩ティラノに襲われる夢見てさ。これはふつーの夢ね?その日や寝る前見たものって夢に出やすいじゃん?」


「全部安易だわ、俺をそこに連れてくのも」


「わかってるよ。でもこれくらいしか思い付かなかったんだもん」


「何かしなきゃな気持ちはわかるけど、行動が先に立ちすぎて空回ってるよ。最初から思ってたけど、思いこむと突っ走るタイプだよね」


「うっ、耳が痛い」


「巻き込む前に冷静になろうぜ」


「ごめん、反省する」



書くの飽きて来ました。すみません。


いい山場もラストも思い付きません。


めっちゃ途中ですが、投稿しちゃいます。


気が向いたらいつか続き書きます。

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