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夢から始まる話  作者: にわとり
1/4

①なんかおもろいことねぇのか

続きを書けるとは思えないのですが、勢いのまま書いてしまいました。ひまつぶしになれば幸いです。続きは期待しないでください。

「はあ、、まじでおもろいことないんだけど」


清水大樹(20)はため息をついた。今日は仕事も休みで自室でゴロゴロしていたが、あまりにも何もなさすぎて、面白いことが向こうからやって来ないかと虚しい期待をしていた。


「また寝るか」


休みの日は廃人級に自堕落だ。


「ん?どこだ、、ああ夢か」


いつの間にか来たこともない浜辺に彼は立っていた。

日は沈みかけていて、美しい夕焼けが海にも写し出され、一面オレンジの景色。


波打ち際に見知らぬ女が立っている。

同い年くらい、白いワンピース、肩までの黒髪。一般的に綺麗と思われる顔立ち。

なぜかこの場に彼女と彼しかいない。


(なんだ?俺、夢に見るほど女恋しかったのかね、、)


現実では臆病だが、夢と自覚しているから、抵抗なく声を掛ける。

「お姉さん取り込み中?」

「んーん。ちょうどナンパ待ちしてた(笑)」

「奇遇だな、断ることはできないナンパを受けてくれ」

「そんな自信あるの?」

「これ、俺の夢みたいなんだよね、だから君を俺の思い通りにするんだよ」

「ナンパじゃなくて、最初から操り人形じゃん。やれるもんならやってみて?どうせ今服を消そうとか考えてるでしょ」

「バレたか。まじで下心のままにめちゃくちゃにする予定」

「サイテーだね、あんた」

「夢でくらいしたいことさせてくれよ」

「どーぞ?」


俺は彼女の服が取っ払われることをイメージしてみた。

が、なにも起こらなかった。

自分の腕を伸ばして彼女の胸を掴もうとしてみた。が、彼女が避けた。


「あんだよ、現実と変わんねーよ」

「ざ~んねん♪案外ここは現実かもよ?てか話さない?いま必要なのは話すことだと思うの」

「この流れで平然としてるところは夢っぽい」

「ナンパなんて遊びたいかヤりたいかじゃん、それを早回しにしようとしただけだよ君は。夢だって思い込んでるみたいだし」

「夢なのは間違いねぇよ。瞬間移動でもしたんじゃなけりゃ、っていでででででっ!!なにすんだ、つねるんじゃねぇ!」


「……夢かな?どう?」


「、、マジか、、ウソだろ…だって俺部屋で、、」

「そっちが夢なんじゃないの?」

「なワケあるか、仕事で疲れて熱い湯船つかってうまいビールあおってあったかい布団で寝たのが昨日なのによ」

「じゃ寝てる間に誰かに拉致られたとか?」

「そんな目をつけられる生き方してないはずなんだけど」

「じゃあアタシが何者でここはどこかを説明しよっか」

「ああ、ここは夢か否かを証明してくれ。俺は清水大樹」

「アタシは山下波。よろしく。ここがどこかはアタシも知らない。今日は大学が休みで部屋で寝てたらここに居たの。ものの数分で清水くん、君から声を掛けられて、この状況。」

「…おんなじじゃん。なんで落ち着いてんだよ。ってか俺の脳内が勝手に君の設定を作ってる夢だとも仮定できるけど」

「慌てても仕方ないよ。不安は不安だけど。そーゆーこと、アタシの夢が勝手に清水くん生み出してるんだとも言えるし。でもどちらも現実に存在する人間で夢で会ってる可能性も出て来たね、恋歌の歌詞でもあるまいに。問題は痛み感じるよね?あたしもなの」

「マジか。やっぱ現実なのか…?夢ならリアリティありすぎて気味わりぃ。会った時の大変に失礼な言動謝らせてください。すみませんでした…」

「あははは!いいよ」

「いっぺん俺をビンタしてくれね?夢から覚めるためにも」

「えー、抜け駆けはやだな。でもそっちが納得いくなら、いくよ?」


パシン!


「いったぁ…夢さめねぇし」

「これでチャラね。もう出会い方は忘れてね?気にしてないし。てかやっぱ現実なんかな」

「OK忘れるよ。自分でもっぺんやってみたら?痛みで覚ますの」

「うん」


波は自らの脇腹をつねった。


「……」

「……」

2人、目を合わす。

「もちょっと強くやってみよっか…手伝ってくれる?」

「おう」

「ちょ、くすぐったいwおもっきりだよ?せぇのではい!」

「……」

「いたいいたい!ストップ!」

「…ダメか。恐怖心で夢から覚めることあんじゃん?それ試さん?」

「あるね。片方で試してダメならもうやめとこ。リスクあることしか思い付かない。残された方困るし」

「OK。どうやって恐怖を生み出すか…」

「……あの、えっと、君があたしを襲うってゆうのは、どう…?」

「……いや…いやいや何言ってんだ。また借り作らんなんじゃん。最終的に山下さんが覚めるまで俺、どこまでするの?って話だし。覚めなかったら気まずさに耐えられんよ。本気で襲えないし。」

「出会ってすぐの君はどこ行った(笑)」

「それを言うんじゃないよ」

「ごめんごめん。てか提案が軽すぎた。もしそれであたしが夢覚めても残された君めちゃ困るし」

「薄々気づいてきたけど、現実だと思った方がいいよな」

「だね。両方が抜け出せる現実的な話を早く始められる方がいいね」

「これが現実かぁ」

「受け入れ難いよね」

「なんでこうなった?」

「眠ってる間にここに運ばれたとしか言えない。なんであたしたちなのかもわかんないし。他に来てる人いるかな?ケータイも一緒に運ばれてたりしない?ポッケに入れたのに服装まで変わったから、なくなったみたい」

「ケータイねぇな。俺も服装、夏仕様になってら。そうだな、他に人いないか探しつつ、ここが無人島なのか、街に繋がってんのかも調べないとな」

「おっけい。で、これがやっぱり夢で、もし突然夢覚めても清水くんは現実のどこかにいると思えてならないし、現実ならあたし達は確かにいるわけで。だから今の内にお互いの住所覚えとかない?だってこの話を後々話せるのってここの2人しかいないかも知れないじゃん?」

「たしかに。夢から覚めても、これが現実で元の生活戻れても、これ話して信じてくれるのお互いだけじゃん。君が現実にいるってのはもう信じてるし。ケータイ番号の方が良くね?」

「そだね。覚えるのはケータイ番号で、予備知識で住所も覚えれたら」


お互いの番号、住所を言い合う。


「石川かぁ、そこまで遠くないな」

「兵庫か。南っかわなら行ったことあるけど、北側は縁ないや。車持ってるの?」

「車はないと生活できねえ。そっちは?」

「持ってる」

「じゃ、番号さえ覚えときゃ会おうと思や会えるな」

「無事戻ったら乾杯したいね」

「それな」


会話しつつ、浜辺を進む。

ものの10分で元の場所に戻った。


「完全に孤島だよね。もう無人島認定しちゃう?」

「いんでね?めっちゃスモールサイズだし。どのみち森の中で火を起こせるもの見つけたいし、水と食料も確保したいな」

「だね。体力ある内に色々やっちゃいたいね」


話しつつ、森の中へ。食べれそうなものを探しつつ木の枝を拾ってゆく。


「この島で力尽きて死ぬなんて嫌だしな」

「縁起でもないけど、最悪は想定しとかなくちゃね。これが現実で元の生活戻れても、ここに飛ばされた理由がヤバい人たちのヤバいことに巻き込まれたんだとしたら、平穏までは戻らないかもだし」

「人身売買?隠密な人体実験?大がかりな心理学テスト?それとも未来人による夢と現実の境をなくす特殊装置?」

「大がかりな心理学テスト、ありそう」

「孤島に男女が2人きりで残され、その後の行動を追う、みたいな?」

「極限状態で恋愛感情は芽生えやすくなるか、とか調査されてそう!そうなら大がかりすぎてキモい」

「空で光ってるものないか?衛星カメラは光って見えるらしい。ドローンとかねーか?」

「カメラやマイクなんてどこにでも仕掛けられるもんね」

「見つけたら言ってやろうぜ、俺らは負けねぇって」

「どうかな~、別にあたし達を掌の上で転がそうとしてる人がいるとして報復とか考えないし、逆に踊らされてる中で助かる道探した方が」

「マジメかっ。そこは適当にノってくれよ」

彼女は空に向かって腕を上げ中指を立てた。

「てめぇらなんぞに負けるかーーー!くたばれ!!」

「!??」

「これでいい?」

「完璧」


その直後、空から雷鳴が鳴り、暗雲が水平線からぐんぐん空を侵食し始めた。


「……なんか怒らせちゃったかな?」

「いくらなんでも天気動かせるのは人間以外の存在だからたまたまだって」

「だよね、とりあえず洞窟ないかな?」

「さっきめっちゃ高い木があったじゃん?そこ行こ」


風が強くなり、一気に雨が降り出す。

2人はまだ走っていた。

どちらともなく手を繋いだ。大樹が波を引っ張るように走る。


「着替えないのに最悪」

「風邪引いたらこの環境なら命の危険あるぜ」

「空にファ○キューなんてするんじゃなかった」

「してもしなくても降るもんは降るって」

「てかさ、このサンダルめっちゃ走りにくいんだけど!」

「俺もつっかけだからわかるけど、コケたら面倒だから速過ぎたら言ってくれ」

「誰がなんで服なんて取り替えたのやら」

「だよな、いっぺん裸にされてるよな」

「わかってたけど改めて怖い。もともと持ってた服に替えられた?」

「ああ、下着までは見てねぇけど。この服は元々俺のやつ」

「あたしもそう。自分で着替えてこの島来るまでの記憶消されてるとか?」

「余計こええな」


ここで目的の木の下にたどり着く。

息を整え、幹に背を預けて2人座り込む。


「木の下って意外に雨宿りなるね」

「一旦は落ち着いたな」

「木の枝捨てちゃったけど、この雨じゃ火なんて起こせそうにないね」

「食べれそうなもんも見つからなかったしよ。踏んだり蹴ったりだな」

「さむっ、急に寒くなってきた。いったんお互い服脱いで水絞ってから着ない?寒さ和らぐかは微妙だけど」

「そうだな、俺木の裏いるから」

「うん」


「あ、あたし下着自分のだ。下着だけ違うとかだったら眠れなかったかも。てかさっき雨で透けて下着見えてた?」

「…見えた」

「全然いいよ。この状況で気にするほど呑気じゃないから。むしろ、あたしの服脱がした方がいいって状況なったら躊躇なく脱がしてね」

「どんな状況?」

「海で沈みそうになってるとか、肌がかぶれる何かが大量に服にかかったとか」

「さっき俺が脱がしゃ良かったな~」

「残念♪惜しかったね(笑)」

「まぁ話はわかったよ。危険と恥の天秤はかけるけど、一緒に助かる行動を優先するよ」

「ありがと。わかってくれた所でお願いがあるんだけど…」

「おう」

「寒いの。お互い温め合わない?抱き合って」

「言おうとして言いづらいことそっちから言ってくれて助かるわ」

「ほんとに!?この調子じゃ体力もたないよね、ガチ寒いし」

「火も焚けない、メシもない状況じゃな」

「着替えおわった?」

「おう」

「それじゃお邪魔します…」


そろそろと木の陰から大樹に近づく波。

彼の目の前まで来て考える。


「立ったまま抱き合う?」

「いや長時間だから、座りながらか寝転びながらがいんでね?」

「じゃあ先に座って。あたし君の胸に頭預けるから」

「わかった。おっけー来い」

「はい」

「つめてぇ~」

「つめたっ」

「服に体温移るまでだ一瞬だ」

「うん…」

「髪濡れてんなぁ」

「もうちょい拭いたほうがいいかな?」

「だな」

「また離れてワンピ脱いでって嫌だな。もっとちゃんと拭いとくべきだった」

「俺のシャツで良けりゃこのまま拭いたるけど?」

「ほんと?助かる」


波は大樹の胸からいったん起き上がる。大樹はTシャツを脱いで波の髪を拭き始める。


「大樹はさ、彼女いたことある?」

「ないな」

「頭きもちいい。拭くのうまいね」

「それはどうも」

「美容師なの?」

「んな洒落た職業じゃない」

「めっちゃ落ち着く。ずっとしててほしい」

「まぁ入念にしとくよ」


………


「おっけー、ありがと、もういいよ。あ、あたし絞るから貸して」

「おおさんきゅ」

「よいしょ………、、こんなもんでいい?」

「全然いい。あ~つめてぇつめてぇ」

「着るときけっこうクるよね」

「いいぞ、来い」

「なんかやっぱ、照れる。お邪魔します…」

「「つめたっ」」

「「(笑)」」


「雨、やまないね」

「だな、風ないのはありがたいけど。腹減ってない?」

「まだ大丈夫。いま何時だろ?」

「5時か6時くらいじゃないか?」

「だいぶ暗いね」


グルルルル、、


暗闇から声がした。


「今の、お前の腹の音じゃないよな…?」

「明らかに違うじゃん。動物なんていたのこの島に!どうする?」

「犬でも噛まれたりしたら厄介だしな。登れそうな木の上に避難しようぜ」


ゴアアアアアッ!!


「来たってぇ!!」

「逃げるぞ!」


大樹は波の手を掴むと走り出す。

正体がまだ見えない。武器になりそうな枝を拾って海岸に出る。波を後ろに下がらせ、未だ正体のわからない動物の姿を確認しようとする。

白い砂の上は少ない光も反射しやすく、対峙する相手の姿も見えやすくする。

だが、威嚇を続ける目の前の動物が見えてくるにつれ、彼は混乱する。


「…んなバカな」

「…あたしも見えたけど、ヤバすぎん?」


その時、ちょうど雨がやみ、雲の隙間から月が顔を出した。

お互いの姿が照らし出される。


「あれは、デイノニクスってやつだ」

「思いっきり恐竜じゃん」



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