第75話、論争に終止符を! これぞ真の『5億年ボタン』の実現の仕方だ⁉
──現代日本の推定三千万人の、異世界転生希望の、ヒキオタニートのお兄ちゃん&お姉ちゃん、こんにちは☆
実は『ツンデレ気味の妹(しかも幼女)』という、あざといキャラ付けでお馴染みの、『転生法』だよ♡
さて、本作は現在、『「真に理想的な異世界転生」を実現するには、何よりも肝心要な『異世界系のWeb作家』はどうあるべきか?』について、その時点その時点において、ネット上で話題になっている、『異世界転生(や転移)』系の話題があったら、それをテーマとして踏まえて語っていくって方針なんだけど、今回はこれまで以上に注目よ!
何と、現在もなおWeb上において論争止まぬ、かの高名なる『5億年ボタン』に関して、その実現方法を論理的に解明するとともに、論争の焦点である、「ボタンを押すべきか否か?」や、「ボタンを押した前後で、その人物に変化はあるのか?」についても、真に明快なる解答を示し、長年にわたった論争に終止符を打とうと思うの!
○まずは前提条件………………………からして、イカれているんじゃないのお⁉
……あんたらはみんな、『思考実験』というものを、根本的に誤解している。
かの有名な『シュレディンガーの猫』の実験のように、まったく実現不可能なものでは、駄目なのよ?
今日日、猫ちゃんをあんなアホな実験で死なせてしまったら、各種団体から猛抗議を受けかねないから、実際に行えないだけで、けして実現できないわけではないでしょう?
また、『毒ガス発生装置』についても、確かに一般人には手に入れることはできないけれど、研究者や医者等だったらどうにかできると思うし、まったくの絵空事とは言えないよね。
それに対して、「魔法を使う」とかいった場合だと、確かに『思考』で『実験』できるかも知れないけど、そもそも『魔法』自体が科学的に検証できないのだから、実験する意味などまったく無く、こういうのは『思考実験』というよりも、『机上の空論』とでも呼ぶべきでしょう。
……いや、『ボタンを押すだけで100万円もらえるけど、その代わり5億年間別の空間に隔離されて、死ぬこともできずにただぼけっと何もせずに生かされ続けた挙げ句の果てに、現実世界に戻されるとともに、まさにその5億年間の記憶をすべてさっぱりと忘れさせられる』なんて…………ぷぷぷ。
──そ〜んなこと、あるわけないじゃん! それなのに、「ボタンを押すべきか否か?」とか、「ボタンを押した前後で、その人物に変化はあるか?」とかで悩んで、みんなで論争して、何か自分が『哲学者』にでもなったような気がして『悦に入る』とかさあ……ぷぷぷぷぷっ。
は? そのボタンを持ち出したのが、例の未来から来た猫型ロボットそのままの、あたかも神様みたいな『何でもアリ』的存在だから、『魔法』のようなことができてもおかしくないだろうって?
……おいおい、何だよ、「神様だから何でもアリ☆」って? 神様なんかいるかよ? あんたら、本当に大丈夫なの?
あのねえ、『神様』の定義については、また次回あたりで詳しく述べようかと思っているんだけど、もしも皆さんが期待しているような、『何でもアリ』の神様が存在しているとしたら、あくまでも『世界の外側』において、人知れずひっそりと存在しているのであって、人間風情には認識できないのはもちろん、人間風情の前に『5億年ボタン』とか携えて、自ら姿を現したりはしないんだよ?
──何せ、人に認識された途端、その者は『絶対者』という意味での、『神様』じゃなくなってしまうんだからね。
言うなれば『神様』って、小説の外側にいる、『作者』のようなものよ。
『作者』だったら、小説内のすべての登場人物どころか、その作品世界そのものに対しても、文字通り『何でもアリ』に好き放題できるでしょう?
それなのに「わしが神様でーす☆」とか言って、一度でも作品の中に登場してしまえば、それは単に世界の外側にいる作者によって『神様』という名前を付けられた、ただの『小説の登場人物』に過ぎなくなってしまい、もしそこが『現実世界レベルの物理法則』に支配された世界だとしたら、いくら『神様』という名前であろうとも、『何でもアリ』の魔法じみたことなんて、けしてできっこないでしょう。
──それでは、一応『神様』ということになっている、『作品内の神様』が、このように物理法則がきっちりと守られた世界の中で、一体何ができるかというと、それこそはズバリ、『精神操作』なの。
例えば、『戦争を無かったこと』にする場合、本物の神様なら、何から何まで本当に『無かったこと』にできるけど、『作品内の神様』の場合は、世界中の人々から『戦争があったという記憶』だけを消し去って、何となく(?)戦争なんて無かったような空気(?)にはできるけど、戦死者が甦るわけでも、荒廃した国土が元通りになるわけでも無いの。
あと、『降伏調印文書』等の公式文書や、戦争の有り様を記録したフィルムやビデオが、消滅したり書き換えられたりするわけでは無いから、公的にはしっかりと『戦争は起こっている』ことになっているの。
……だったら、駄目じゃん。
まあ、現実世界に神様がいたとしたら、『何でもアリの絶対者』と言うよりも、『単なる詐欺師』でしかない、と言うわけなのよ。
……それで、Web上の『自称哲学者』のみんな、あなたたちは一体、『5億年ボタン』の、何を論争していたわけ?
○………なあんてね、あはは、冗談冗談、これからはちゃんと、『5億年ボタンの真に論理的な実現方法』を、語っていくから許してね。
──というわけで、いつもの『蘊蓄コーナー』の始まり始まり!
そうなんです、実は『5億年ボタン』は、論理的にしっかりと実現できるのです!
具体的には、これまで本作をお読みいただいている方なら、すでにようくご存じの、得意の『集合的無意識とのアクセス方式』でOKなの♡
何せ集合的無意識には、ありとあらゆる世界のありとあらゆる時代のありとあらゆる存在の『記憶と知識』が存在しているんだから、すでに『5億年間別空間で何もしないで過ごした記憶』も存在しているわけで、それを脳みそに刷り込むだけで、本人は一瞬たりとて現実世界から移動すること無く、事実上『5億年間別空間で何もしないで過ごした』ことになるの。
え? 「本人はまだ、『5億年隔離』をされていないのに、何で『隔離された記憶』だけがあるんだ?」ですって? さてはあなた、『モグリ』ね?
本作をお読みならおわかりかと思うけど、集合的無意識には、時間の前後関係なんかにかかわらず、文字通り《《すべての》》『記憶』が存在しているのよ!
しかもその『記憶』の持ち主は、当人そのものではなく、いわゆる『パラレルワールドの当人』と思ってちょうだい。きっとそのパラレルワールドでは、物理法則とかガン無視して、『5億年間隔離の刑』なんてのも、余裕で実現できているのでしょう。
「──いや、そもそも、その『集合的無意識』とやらへのアクセス自体が、非現実的じゃないか⁉」とおっしゃる向きもおられるでしょうが、ノープロブレム! まさにここで再登場していただくのが、他でもなく『作品内の神様』なのです!
実は、彼の他の人間全員に対する『精神操作能力』こそ、『集合的無意識とのアクセス』によって実現しているの。
つまり、彼の唯一の『神様』としての超常の力が、『他者の強制的な集合的無意識とのアクセス能力』だったわけ。
何せ集合的無意識には、どんな世界のどんな時代のどんな人物の『記憶と知識』でも存在しているのだから、記憶を改変したり消去したりは朝飯前で、全人類から戦争の記憶を無くしたり、『5億年間隔離されていたという偽記憶』を刷り込むことだって、十分に可能なのよ。
うふふふふ、たかが『精神操作』と侮るなかれ、このように使い方を工夫すれば、長年ネット上で大論争をし続けている『難題』すらも、こうしてあっけなく解決できたりしてね。
そもそもどうして『作品世界内の神様』に、『他者の強制的な集合的無意識とのアクセス能力』なんかが備わっているかというと、まさにそれこそが『作品世界内の神様』としての力というわけなんだけど、実は集合的無意識とアクセスするだけなら、別に神様である必要は無く、普通の人にだって十分可能なの。
これについては後でも触れるけど、集合的無意識といっても別に特別なものではなく、エジソン等の天才にとっての『閃き』のようなものであって、あなたたちのような凡才にとっては、ある意味『インターネット』のようなものに過ぎず、現実的にしっかりアクセス可能なのは、言うまでもないことでしょう?
○論争の終止符。
・『5億年ボタン』は押すべきか?
どんどん押して、凡俗な人類を見下す『上位的存在』から、どんどんと大金をせしめよう♡
・『5億年ボタン』を押す前後で、人間は変わってしまうのか?
まったく変わりません。
【詳細説明】
何度も述べているように、現実問題として『5億年ボタン』を押したところで、本当に別空間に隔離されるわけではなく、集合的無意識を介して、『5億年別空間に隔離されたという偽記憶』を刷り込まれるだけなのであり、しかもその記憶は絶対に『時間の流れを有する映像』として再生されるわけではなく、ずっと脳内に死蔵されたままでいて、当人に何ら影響を与えることは無いので、いくらでも『5億年ボタン』を押して構わないし、押した前後で人格が変わるなんてことはあり得ません。
※そもそも『原作』においては、現実世界に戻ってきた途端、5億年分の記憶がきれいさっぱり消えてなくなることになっているので、まさしくこの『死蔵パターン』と同様なのであって、Web上の「5億年も隔離されていたら、いくら記憶を消されたって、人格は変わるだろうが⁉」という説は、残念ながら不正解と言うことになるの。
○逆に、『5億年分の記憶』を有効利用しようとする場合。
これって、やはりWeb上で盛んに取り上げられている、超有名ギミックである、『精神と時の部屋』として活用しようとするパターンのことよね。
この場合、記憶を消去されるどころか、むしろ自分から『5億年間隔離』されに行って、そこで文字通り無限の時間を使って修行をして、精神的かつ肉体的に、何かをつかみ取ろうとするわけであり、『神様もどき』なんかの助力なぞ無しに、実現することができるの。
一般人がどのようにして、神様のような超常的な存在の力も借りずに、集合的無意識みたいな(提唱者であるユングの言うところの)『超自我領域』にアクセスすればいいのかについては、さっきも言ったように、『天才にとっての閃き』のようなものだから、エジソンの言う通り、不断の努力と本人のやる気さえあれば、けして不可能なことではないの!
本作その他の作者の作品において、何度も何度も述べてきたけど、異世界の本好きの女の子に、『異世界転生』の名を借りた、『現代日本の最先端の技術の知識』が宿ったのは、あくまでも異世界人としての彼女自身が、どうにかして自分の世界に読書の習慣を広めようと、努力して努力して努力した結果、『閃き』という名の集合的無意識とのアクセスを果たし、必要な別の世界(現代日本)の進んだ知識を身につけることをなし得て、ついには夢を叶えることができたのよ!
──そう、何よりも大切なのは、本人の熱烈なる『やる気』と、不断の『努力』なの!
『5億年ボタン』とか『異世界転生』とかは、本当はどうでもいいの!
例えば、『剣道の名門の一族』の本家の跡取り息子として生まれながら、剣術の才能がまったく無くて、優秀な分家の子供たちから蔑まされていじめ抜かれていて、そいつらを見返すためにも強くなりたい場合においても、何の努力もしないで、『5億年ボタン』とか『女神様から無条件に与えられるチートスキル』なんかに頼ったりせず、まずは現実世界において、何年でも地道に努力すべきであって、けして『やる気』を失わず不断の『努力』をし続ければ、いつかは『本物の幸運の女神様』が微笑んで、集合的無意識とのアクセスを果たすことになるのよ!
しかも、ありとあらゆる『記憶と知識』が存在する集合的無意識は、『精神と時の部屋』のような単なる修行の場ではなく、歴史的剣豪の『記憶や知識』だって存在しているし、更には何と、すでに分家の天才剣士と戦った『別の可能性の自分自身の記憶や知識』も存在しているので、これまたWeb小説でお馴染みの、『死に戻り』スキルそのままに、何度も分家剣士と戦い、何度も敗れつつも、何度も再アタックするという、実戦的シミュレーションも無限に行えて、これらの記憶を糧に現実世界においても修行を重ねることによって、めきめきと『本物の実力』を高めていくことができるの!
──このように、あくまでも現実的な手法によって、真っ当な修行を重ねてこそ、たとえ分家の剣士との雪辱戦で負けたところで、自分の家族である本家を始めとして、一族の者たちからはちゃんと認められて、『インチキで得たセコい勝利』なんかよりも、よほど素晴らしいものを手にすることができるでしょう♡




