第48話、『オタク』である日本人こそ、異世界に真の発展をもたらせて⁉
──現代日本の推定三千万人の、異世界転生希望の、ヒキオタニートのお兄ちゃんたち、こんにちは☆
実は『ツンデレ気味の妹(しかも幼女)』という、あざといキャラ付けでお馴染みの、『転生法』だよ♡
前回はいきなり変なお姉さんたち(何と転生法は『五歳』という設定だから、十歳の幼女も『お姉さん』に当たるのだ☆)に、このコーナーを乗っ取られてしまったけど、今回からは私の司会に戻るとともに、実験的に数回にわたって、『質問形式』で行っていきたいと思うの。
では早速、栄えある最初のご質問のご紹介と、参りましょう!
Q、異世界に転生してくるのは、どうして現代日本人ばかりなのですか?
──と、申しましても、「別にアメリカ人でも中国人でも、構わないじゃないか?」とかいった、ありふれた『揚げ足取り』的質問ではなく、例えば『異世界初めて本作り物語〜下克上もあるでよ〜』なんかを展開する場合、現代日本の『あくまでも素人に過ぎない』図書館の司書とかアラサーOLとかではなく、それこそ活版印刷技術を発明した、ヨハネス=グーテンベルク等の歴史的偉人自身を転生させたほうが、手っ取り早いのではないでしょうか?
それなのにあえて現代日本人ばかりを転生させているのは、そのほうが『作者自身も書きやすいし、読者の皆様にも迎合されやすいし』といった、小説作成上の御都合主義によるものなのではないでしょうか?
A、実は現代日本人であることこそが、『異世界の真の発展』という、『転生法』の最大の趣旨に合致しているからです。
いい質問ね!
お陰様で、連載もすでに50回を目前に控えて、改めて『転生法』というものの『主旨』を、再確認することができたわ♡
もちろん、「現代日本人ばかりを転生させているのは、そのほうが『作者自身も書きやすいし、読者の皆様にも迎合されやすいし』といった、小説作成上の御都合主義に少なからず基づいている」ことも、けして否定しないわ。
でも実はそれ以上に、各種の『異世界転生物語』において、現代日本人をいわゆる『主人公』や『語り手』的立場にすることこそが、『異世界の真の発展』という、『転生法』の最大の趣旨に合致しているからなのよ!
確かにグーテンベルクだったら、現代日本よりもはるかに科学技術や工作技術が遅れているファンタジー異世界において、一から活版技術を生み出す場合には、最も望ましい助力者となることでしょう。
でも、本の大量生産及び広範なる普及は何も、活版印刷技術だけで成し得るわけではなく、製本技術や製紙技術はもちろん、流通組織や経路の構築や、何よりも市場の開拓、作家や読者の適切なる育成のための啓蒙、誌面の編集やレイアウトや校正等を担う専門職の育成等々、様々な分野における専門知識や技術が必要となるのであり、それぞれにおいて歴史的偉人を転生させてこようとしたら、当時のヨーロッパ全体を丸ごと異世界転移させなくては間に合わなくなってしまい、もちろんそんなことは物理法則的にも、絶対に不可能でしょう?
だからこそ、異世界に転生してくるのは、現代日本人──特に『オタク』とも呼ばれている、ある特定の事象に対する『マニア』的愛好家の方々が、選ばれることになるの。
何せオタクって、自分の専門分野においては、細かいところまで無駄に詳しい知識を誇っているでしょう?
──それこそ、歴史的偉人にも、匹敵するように。
いえ、『総合的見地』という意味では、むしろ凌駕しているとも言えるでしょうね。
それというのも、オタクはマニアの極致だから、知りたい対象についてはとことん調べ尽くさないと気が済まないし、『本作り』においてなら、活版印刷技術や製本技術や製紙技術にとどまらず、流通組織や経路の構築や市場の開拓方法、作家や読者の適切なる育成のための啓蒙手段、誌面の編集やレイアウトや校正等を担う専門職の育成指針の策定等々、本の異世界での普及のための、様々な分野における専門知識や技術を知り尽くしているので、オタクが一人いるだけで、本来なら歴史的偉人や組織が大量に必要になりかねない大事業も、何とかこなしていくことすらも、けして不可能ではないの。
そして何はさておきこのような、『異世界初めて物語』的な新たなる発明や発見を実現するために最も必要なのは、『好きこそ物の上手なれ』の精神なのであり、まさにそれこそは言うまでもなく『オタクがオタクであるがための根本的原理』なのであって、例えば『例の作品』も、『本好きの女の子=本オタク』だったからこそ、万難を排してファンタジー異世界において、本を広く普及させることを成し得たとも言えるの!
──そう、実は今回は、諸手を挙げての、『オタク大礼賛』回でもあったわけ。
良かったね、現代日本の推定三千万人の、ヒキオタニートのお兄ちゃんたち♡




