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トマトさん

試しに怪談物書いたら全然怖くなかった。

ねぇ知ってる?トマトさんの話。


なぁにそれ?


ほら、あそこの山に霊園があるでしょ。あそこにスプーンを捨てると出るんだって。


血まみれでトマトと大きなスプーンを握った血まみれの女の子が。


見つかるとスプーンで心臓取られて、代わりにトマトを埋め込まれちゃうんだって。


ヤダ怖い。でもどうしてトマトなの?


さぁ知らない。心臓みたいに赤いからじゃない?


二人とも何の話してるの?


あっ美優ちゃん。えっとね__。






私は少し早めに家を出た。塾までまだ時間はある。今からなら霊園に行ってもちゃんと間に合う。


幽霊なんているわけない。デマだってあの二人に教えてあげよう。


この辺でいいかな。


ポケットからプラスチックのスプーンを取り出す。


ビニールの袋を破ってえいやっと放り投げる。




2分、3分……5分、やっぱり何も起きない。ほらね、やっぱりデマじゃん。


あっ、もう10分もたってる。そろそろ行かなきゃ。



……クダサイナ


えっ?誰かいるの?


振り返ってみたけど誰もいない。なんだ空耳か。





塾が終わって外に出るともう真っ暗。あーやだやだ、めっちゃ寒い。


さっさと帰ってお風呂入りたい。



……クダサイナ ……クダサイナ ……クダサイナ 


ひたっ、ひたっ、と足音がする。


なんとなく気になったから振り返ると猫が通り過ぎて行った。


なんだ猫か。あれっ、でも猫って足音とかしたっけ。


まあいいやと振り返ると_、



『アナタノ心臓クダサイナ』






「美優ーいい加減起きなさーい」


ヤダ眠い。なんかだるいし。


あーやだやだ。まっ起きるけどさ。


あれ?昨日なんか怖いことがあったような。


えーっと、昨日は学校行って、塾に行って……ああそうだ。そのまま帰って寝ちゃったんだ。


ゲームしたかったのに。





今日の朝ごはんはトースト2枚にヨーグルト。


あっ、スプーンだ。


スプーン?今何か思い出しかけたような。まあいっか。



「行ってきまーす」

「はーい、行ってらっしゃい。……あら?スプーンが1本足りない?」





「おはよう美優ちゃん」

「おはよう加奈ちゃん」

「ねぇ、スプーンなんて握りしめてどうしたの?」


スプーン?


……あれっ?これ今日使ったやつだ。なんで持ってきたん__



ズブリ



……えっ?


私のスプーンは加奈ちゃんの胸に突き刺さっていた。


違う。私が刺してる?


加奈ちゃんの心臓はスープからお豆を掬うみたいに簡単に取れた。



どうして?なんで?


どうして?どうしテ?どうシテ?どウシテ?ドウシテ……ホシイホシイホシイホシイ。




彼女は知らない。


自分の心臓がなくなっていることに。


心臓があるはずの場所に真っ赤で大きなトマトがあることに。


美優だったものはいつの間にかもう片方の手にあったトマトを加奈だったものに埋め込んだ。



学校中に絶叫が響き渡る。


次から次へと少女の心臓はえぐられていく。



スプーンが折れたとき彼女はどこかへと消え去った。




真っ赤な少女たちは今日もさ迷う。


スプーンを求めて右へ左へ。


心臓を求めて東へ西へ。




クダサイナ、クダサイナ、スプーンヲ1本クダサイナ


アナタノ心臓クダサイナ

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