第二章:異世界での邂逅《婁アシュビー》2-2 子ども扱いとお姉さん
――はぁっ!
慌てて、僕はベッドから飛び起きた。ん?なぜ、ベッド?確か、僕は、秘書さんと空から草原へ、落ちてきて、体調の心配をしてくれた秘書さんに横になった方が良いと言われて、それから、ひ、膝枕をしてもらって、おっぱいがタイツでサンドイッチして、
興奮しすぎて、気が遠くなって……?
カァァァァッ、え、やだ、恥の上塗りじゃん。めっちゃ恥ずかしいじゃん。カッコ悪すぎるでしょ、それ。僕は悶絶しながらベッドの上を転がり回った。そこで、ふと気が付いた。
僕の寝ているベッド。そして、いつの間にか着替えている浴衣みたいな服。そして、木材で組み立てられたような、この部屋。一体、誰の部屋なんだろう?というか、どこ?
もしかして、また誘拐?監禁?それとも、死後の世界?
一通り部屋の中を見回し、困惑していると扉から、ノックの音が聞こえた。
コンッ、コンッ、コンッ、
「ボク~、起きているかな~?」鈴を転がすような軽やかな声がした。
「ひゃっ、あ、はい。起きています!」
突然の人の声に僕の声は裏返り、恐れおののきながらも、とりあえず、返事はできた。
「良かった。目が覚めたのね、ボク。お身体の具合はどうかしら?」
扉から入ってきた少女は優しく微笑みながら僕に問いかけた。
「え。あ、はい。身体は、大丈夫です……」
「そう! それなら、良かった! アシュビーさんもずっと心配していたから。すぐ、呼んでくるわね」笑顔で、少女は去っていった。
うーんと暫く考える。今の子も、とても綺麗だった。
秘書さんとは違う、このなんというか――。
そう!うちの新人の町田さんにそっくりなんだ。
あの、町娘的な雰囲気に、丁寧な仕草と、闊達さを織り交ぜたような、しっかり者の娘さんって感じが。それに、赤みがかったショートヘア―とフランダース地方の犬の話に出てきそうな民族衣装がよく似合っていて、すごく綺麗で澄んだ薄いあずき色の瞳をしていた。
……というか、彼女は誰?それに、ボク呼び?
殊更、疑問が深まり、一人またもや悶々と思い悩んでいると、扉の向こうから、「スゥー、ハァー」と深く呼吸を吸い込む音が聞こえた。
直後、コンッ、コンッ、コンッ、と再度心地よいノックの音が部屋に反響すると同時に、いかにも待ちきれなかったかのように勢いよく部屋の扉は開いた。
「山田さん! 山田さん! 目覚められたとお伺いいたしました! お加減はいかがでしょうか? 熱は? 特に身体の痛むところなどありませんか? ちゃんと私見えています? というか、声聞こえていますか?」入ってきた秘書さんに、駆け寄られ、畳みかける様に話しかけられて、僕は硬直していた――。