第三章:山田の受難 3-1 ベッドの下には、何かが潜んでる。(大抵アダルティな何か)
アタマス家の方と談笑した翌日…。
――5日目の朝。
「う~ん!」思いっきり伸びをする。気持ちの良い朝だ。僕自身、この身長は気にくわないけれど、ベッドで大きく伸びを出来るのは利点だと思っている。
パシャッ!
よし、着替えるか!そう思って、よいしょっと、ベッドから降りた。あれ?なんだか、ベッド大きくなっていないかな。というか、部屋全体が大きくなっているような……?
パシャッ!
おかしいと思い、足を踏み出した僕は、着せてもらっている浴衣のような服の裾を盛大に踏みこみ転んだ。いや、転びそうになった。
「うわぁ!」つるんと転びかけた、そのタイミングで、どこからともなく出てきたアシュビーさんがクッションになり、転ばずに済んだ。
「もう! 山田さんは危ないんですから! 可愛いお顔が傷ついたらどうするんですか!」
やっぱり、昨日感じたあなたの変態性は間違いじゃなかったのね。それどころか、遂に隠そうとしなくなったか、アシュビーさん。
というか、さっきベッドの下から出てきませんでした?それに――、
「ねぇ、アシュビーさん。なんで、手にスマホ持っているの?」
「それはですねー、いつでも、山田さんの危機に駆け付ける為ですよー」
「ねぇ、アシュビーさん。なんで、スマホのカメラ機能オンになっているの?」
「それはですねー、撮影する為ですよー♪」
「ねぇ、アシュビーさん、画面左下のカメラロールに僕が写っているんだけどなぜなの?」
「それはですねー、山田さんを撮影していたからですよ♪」
「うぉぉぉぉぉぉ!!! 離せぇ、離すんだ! 僕は今からにっげるんだぁぁぁ!!」
「ふっ、逃がしませんよー、山田さん!!! 折角、ヘレーさんの部屋から抜け出してきたんですから! ほら、私の胸の中から逃れられるものなら、逃れてください。ほら、ほら~」ポヨン?ポヨン?
「ぬぉぉおぉぉ!!」
「ほら、ほら~」ムニュ?ムニュ?
騒がしい朝である。
当然そんな騒ぎを起こしていると、
「うっるさーい! ですよ! ヤマダサン! アシュさん!」ヘレーさんが怒鳴り込んできた。
てか、へ?アシュさん?
「あ~、そうですよ~。昨日、二人で色々お話したんですよね~、ヘレーちゃん?」
そう、僕を胸に抱きしめたまま、何かを察したように、ヘレーさんに話を振るアシュビーさん。
くっ、それにしても、やっぱり力強いなこの人。パイン?パイン?
「え、えぇ。その昨日、ヤマダサンの部屋に行こうとするこの人を何とか落ち着かせて、部屋に戻ってきた後、い、色々お話をしまして、アシュビーさんでは、少し距離を感じるとのことでしたので、略称で、アシュさんと私のことはヘレーちゃんと呼ぶことになりまして、あの、その、です、ね。えー、ヤマダサン。こっちをジーっとみつめないでください。その、昨日の話を思い出してしましますので……」
え?昨日の話?
「昨日、いっぱいお話したんですよ~。お互いの呼び名のこととか~、その~、山田さんが寝ている間のことゴニョゴニョ」
ちょ、なんでそこで紅くなるの。頬を二人して染めるの?
僕は寝ている間に何をされたの?
「僕に何をしたの?寝ている間に?」胸元に顔を腕で固定されながら、上目で凄む僕に、「いやぁ~、その~」としどろもどろなアシュビーさん。
続いて、ジーっと、ヘレーさんの方に、視線を向ける。
「え、えーとっ! と、とにかく、朝食の用意できましたので、早く降りてきてくださいね!」顔を真っ赤にしながら、目を逸らされて、ヘレーさんは部屋から出ていった。
本当に何されたんだ、僕の身体!
一向に応えず、視線を逸らし続けるアシュビーさんに、言葉を出そうとした時、
「そ、そんなことよりもですね! 山田さん、昨日よりも、身長が9.8mm、体重が5.4kg程、減少しています! つまり、今、身長は、130cm。体重は、30.1kgですね。ですが、これは、由々しき事態です!」
なんで、そんなミリ単位で僕の身長と体重わかんの?怖い怖い怖い。
「そ、そんな顔しないでくださいよ~。泣きますよー?」とアシュビーさんは言ったが聞き流すことにした。
しかし、身長減っているの?どゆこと?
とりあえず、「アシュビーさん。僕の身体を解放してください」この強大で凶悪な二つの肉塊から、逃れない事には、気が休まらない。
「うーん、解放はできませんが、介抱ならドーンと任せてくだっ」言い終わる前に、両足に体重をのっけて、思いっきり宙にあげ、海老反りの姿勢になった後、お腹の両足を振り下ろした。
「ぐふっ!」華麗に僕の技が決まった瞬間だった――
100人の方に、見ていただいたようで!
ただ、ただ嬉しいです!!!
もっと見ていただけるように、がんばります!