生まれ変わる2
最初は夢かと思ったがそれにしては目の前の光景がリアルすぎる。
でも、何で死んだんだろう。
思い当たる節がない。
そしてここは何処なのだろうか。
地球なのか、それとも異世界なのか全く分からない。
「マレド、貴方が幸せでありますように」
マリーナという新しい母親が俺に手を向けた。
この時、俺はこの世界が異世界だと判断した。
何故かというと、この手が突然光だしたのだ。
光は辺りを照らして、体が暖かくなる。安らぎを与えているような光だった。
「加護の魔法か」
男が魔法と言ったのだのだから異世界で間違いないだろう。
でも、異世界にしては1つだけ、不可解なところがある。
それはこの二人が話している言語が日本語ということだ。
地球でも、国が違うと言葉が通じないのに、これはどう考えても都合が良すぎないか。
だけど、全く言葉が分からないというよりもはましだろう。そもそも突然異世界に転生させられたことが意味不明だしな。
「はい、魔王様」
え、今バルレドという男に向かって魔王と呼んだよな。
俺、この男の子供になった。つまり俺は魔王にうまれかわったのか。
突然いろいろな事が起こり頭がついていけない。
異世界転生して魔王になった。
え、カッコいい響きだが魔王に生まれ変わるなんて、人間の敵側じゃねぇか。
そもそも転生勇者はよくあるけど。転生魔王はあんまりな・・・いや、よくよく思いかえしてみるとありふれていたな。
でも実際に自分の身に起きたとき、どうしたらいいか判断がつかないな。
まあ幸いにも今は間だ赤ん坊だし、これからどんな生活が待っているかはその時考えよう。
魔王というのは椅子にずっと座っているイメージが、あるけどそれはゲームの世界だからな。
でもおれはもと人間だし、人間に危害を加えるような事はしたくないんだよな。
それに魔王はいつ、誰に狙われても可笑しくないし、今ここに勇者パーティーが突然現れても全く不思議じゃない。
もしかしたらすぐここまで勇者達が来ているかもしれない。
いや、そんな急展開が来るなんて事はないな。
馬鹿だな俺は。
「魔王様、緊急事態が発生しました。勇者と思われる4人が王の間の近くまで来ております」
え、まさか俺の考えたことがこの状況を作ったのか。
「四天王も簡単に倒されてしまい、もうすぐここまでやって来ます」
「おい、たった4人に殺されたのか」
「はい、外の兵士達が次々と倒されています」
緊急事態、もうすぐ勇者達がやってくる。
俺のせいでこんなことになっているのならすみませんでした。
まあ喋ることは出来ないんだけどね
「マリーナ、お前だけでもマレドをつれて逃げろ」
「え、それじゃあ貴方は」
「俺の事はいい。お前たちだけでも速く」
女は俺をつれて窓の外から逃げ出した。
全身が揺れて気分が悪くなる。だけどこの状況なのだから仕方のないことだ。
「もしもの事があったら何としてでもこの子だけを守らないと」
この先波乱万丈な人生がやってくることにこの時の俺は気づいていなかった。