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転道2

 彼、一条夏蓮の命は尽きた筈だった。彼は先ほど、家族が惨殺され、自分も殺されたのだ。

 しかし今、先程の痛みが嘘のような無傷の状態で、見たことの無い場所に佇んでいた。

 周囲の異様な環境の為か、先程の出来事に対する怒りも悲しみも今は感じてはいなかった。


 少し放心した後、不意に独り言を呟く。


「どこだ此処は」


 室内なのか屋内なのかも分からない。


 何故なら夏蓮は暗闇の中に立っていたからだ。

 ただ、目の前にはうっすらと光を放つアーチ状の構造物が約5メートル間隔ほどで並んでおり、それに沿って歩けば床が有ることは理解出来た。


 このまま立っている訳にもいかず、一つ目のアーチを潜ろうと近づいた時、そのアーチの空洞部分にうっすらと光の膜のようなものがあることに気付く。よくSFの映画や漫画で有るようなワープゲートの様な感じだった。


 恐る恐る手を膜の中に入れてみる。


 特に感触はなく手が膜を貫通する。しかし、引き抜くと一瞬で膜に出来た穴は光によって元通りになった。


 通っても問題無さそうだと分かり、彼は無数に並ぶアーチの道をとりあえず歩き始めたのだった。


<hr>


 どこまで続いてるんだ。もう三時間ほど歩いてる気がする……。


 あくまでも彼の体感であるが、ただ、かなりの距離を歩いて来たのは確かだ。


 これほど歩き続けているにも関わらず、不思議な事に肉体的な疲労は一切無かった。


「父さん、母さん、アリス」


 彼は歩きながら家で起こった惨事が夢の様に思えていた。

 冷静に考えれば今いる場所の方が、夢に出てきそうな状況であるにも関わらず。


 もしかしてここってあの世、つまり天国か地獄ってやつなのかな。


 そんな事を考えながら、もう何個目か分からないアーチを潜った瞬間に突然、夏蓮の目に眩い光が差し込んだ。

 それまで暗闇に慣れていた瞳は、その光に耐えきれず思わず瞼を力強く閉じる。


「目を開けて下さい」


 とても優しい声が聞こえ、その言葉に従いゆっくりと瞼を上げる夏蓮。


「は?」


「はじめまして♪ アルティといいます」


 ニコッと微笑んでいる一人の女性がそこに居た。


 しかしその女性と言うよりは、目に入った景色に彼はとてつもなく混乱していた。何故ならそこは、とても見慣れた場所だったたからだ。


 彼が立っていた場所、そこは長い間引き籠り、慣れ親しんだ自分の部屋だった。


【お願い】

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