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学園生活と魔法理論

 カレンが魔法技学園に通い始めて半年が経った。


 その間に彼女は魔法理論、魔機(マキナ)学基礎、魔法応用実技、魔法付与学とその他三つの教科を履修し学んだ。


 学園へは毎日登校する必要はなく、生徒は履修した科目の授業がある日だけ学園に行けばよい。


 というわけで、カレンが学園に行くのは週3日間だけ。それ以外の日はというと、家の近くの飲食店で昼間は働いているのだった。


 所謂アルバイト。


 彼女も自由に使える金が必要であるのと同時に、シグの厚意に甘えてばかりいられなかったからだ。二人で決めたルールに従い、カレンは給料の半分を生活費としてシグに渡している。


 シグはというと、それを受け取ることをかなり渋ってはいるのだが……。


 そして、学園での授業は基本的に半年で終わり、そこから残りの一年半、生徒は担当してくれる教員の下で自分の魔法の研究をして過ごす。その為、生徒間でのクラスメイトと言う関係も実質半年だけのものだった。


 しかもその半年間も、各個人が自由に授業を選択出来るので、特別な行事がない限り全員が揃うことはなかった。


 ライラもまた、カレンの履修している魔法理論、魔法応用実技、魔法付与学を選択していてたため、二人は一緒に授業を受ける機会が多く、それ以外にも昼食や休憩時間も共に過ごした。


 ちなみに、アルバイト先はライラが働いてる店をカレンが紹介して貰ったのが切っ掛けで働くことになった。


 入学以来、このように二人は多くの時間を共に過ごしてきたことで、お互いを深く信頼する関係となっていたのだ。

 

 だがこの半年間、カレンは気を病むことも多かった。教会や入学式の後で絡んできた男、アランがその後も何かと絡んできたからだ。


 アラン=ゲールはブライトウィンが属する地方を管轄する領主の息子。貴族と呼ばれる上流階級の人間である。


 なんと彼の履修科目は全てカレンと同じであったのだ……。


 ライラといる時はあまり絡んで来ないか、何か話し掛けてきてもライラが追い払ってくれていたのだが、カレンが一人でいる時はなにかとしつこく付きまとわれていた。


 ストーカーみたいで気持ち悪いとさえ思えるほどに。


 こういう輩は相手をしてはいけないと考え、カレンはアランに対し、とにかく無視を決め込んだ。


 カレンからは嫌悪感を抱かれるアランであったが、信じられないことに他の女子生徒からは非常に人気が有った。容姿だけ見ればそんなに悪くなく、更に貴族であるということで、彼に見初められたいと思う女子は多かった。


「あんな気持ち悪い男のどこが良いんだか!!

 ライラもそう思わない?! 」


「当たり前じゃないか。だけど学園にはアイツのファンクラブもあるらしい。アホな女の多さにうんざりしちゃうね」


 アランを狙う女子達も、彼がカレンに執着しているのを感じており、何故か勝手にライバル視されているのもカレンにとってうんざりする要因の一つであった。カレンの魅力値がいくら高くても、彼女らにとってカレンは友達ではなく、美しく魅力的な強敵と認識されてしまっているのだった。


 それともう一つ、簡単に紹介しておきたい出来事がある。


 なんとカレンは半年の間に五人の男子生徒から告白を受けていた。この五人というのは直接告白してきた人数で、ラブレターも含めるとその数は更に増える。


「アンタまたフッたんだってね。アンタみたいな美少女に告白したんだ。相当な勇気じゃないか。付き合ってやれば良いのに」


「好きでもないのに付き合うわけないじゃない!! そういうライラだって、この前告白されてたじゃん。ライラが付き合えばー?」


「えー、あー、うん。アタシはそういうのいいや。ハハハ……」


 カレンに対してはからかうくせに、自分の事となるとしどろもどろになるライラであった。


 カレンに告白をしてきた男子生徒達はフラれたショックのせいなのか、彼女が気付いた時には全員がこの学園を辞めていた。


(告白なんて大胆な事するくせにメンタル弱いんだなぁ……)


 そんな風に思うカレンであったが、それは間違いであり、とある理由により彼らは学園を去らざるを得なかったのだった。


 半年に渡る魔法の座学により、それまでほとんど無かったカレンの魔法の知識は、学園の他の生徒と変わらないレベルに達していた。

 

 この世界における魔法とは、自分の内に蓄えられた魔力を放出する事で使用できる。保有する魔力の量や、一度に放出できる量は個人差が有り、それは精霊の加護の大きさによる。また、使える魔法の属性は自身が受けた精霊の加護によるのだった。


 魔法の行使において、全て基礎となるのが『単一魔法(モノマギア)』と言い、例えば火の属性なら炎を生み出す、風の属性なら風を生み出す等の属性の顕現である。


 これに様々な特性を二重、三重と重ねて付与することで、複雑な効果を持った実用的な魔法となるのだ。そしてこれを多重特性付与と言う。


 例えば、炎に『丸い形状』と『直進』という特性を付与すれば、火炎玉(ファイアボール)と言い、広く知られた炎属性の三重特性魔法(トリオマギア)となる。


 そして付与された特性の数によって、魔法はクラス分けされている。『下位魔法』なら三つまで、『上位魔法』なら四つから六つ、『超位魔法』なら七つ以上の三段階だ。


 ちなみに付与する特性にも反発したり相性が悪いものが有るので、一般に知られていない多重特性付与の組み合わせを見つける事は容易ではない。


 しかしそれが実現出来た場合には、他の魔法使いにはその魔法の効果が不明であるため、絶大なアドバンテージを得る事が出来る。


 そして歴史上記録に残っている最大の特性付与数の魔法は、超位九重特性魔法エニアマギアであった。


 自分が付与できる特性の数は修練により増やす事が出来るらしいが、大抵は一生賭けても上位魔法までが限界なのだそう。


 ちなみにシグたち魔技師は、魔法をモノに留め、特定条件で発動する特性を付与する事で魔機(マキナ)を作っている。


 カレン達のように入学から半年が経過した生徒は、残りの学園生活を、多重特性の組み合わせを研究したり修練に費やすことになる。


 そしてカレンとライラの担当教員はこれまでも二人の担任であったエマール、自他共に認める爆乳のフォンが勤めることになっていたのだった。


【お願い】

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