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爆乳エマール先生

(アイツ殺して良いかい? )


 カレンが教室に向かって歩いていると、セロの声が頭に響いた。


(ダメに決まってるでしょ! )


(ずっと我慢して黙ってたけど、俺のカレンに触れるなんて何様なんだ)


 セロがこれほど怒っているのをカレンは初めて見た。ただ、アンタの私ではないけどね、とは思いながらもそれは伝えず答える。


(私の事を心配してくれるのは嬉しいけど、今は大人しくしていてね。帰ったら撫でてあげるから)


 セロは最近ネコモードになって、カレンの膝の上で撫でて貰うのをとても気に入っている。自分を心配してくれたご褒美に、カレンがそれを提案すると、セロは渋々怒りを抑えた。


(そうかい。カレンがそう言うなら……)


 教室に着くと、生徒達は好きな席に座るように言われる。


 あの嫌な男子生徒が入り口に近い最前列の席に着いたのを見て、カレンは対角線上の窓側最後尾に座った。


 席に着くや、カレンは机に顔を伏してしまう。理由は教室に入ってから再び生徒達から注目されて、いつもの居心地の悪さを感じたからだった。


「あんたの前、良いかい?」


 そんなカレンに向けられた声。顔を上げ、声の主を確認すると、そこにはとても長い黒髪を後ろで纏めた、褐色肌の女子生徒が立っている。切れ長の目が特徴的な大人っぽい雰囲気を纏った美女。あの男からカレンを助けてくれた子だ。


「どうぞ。さっきはありがとう」


 カレンが言えていなかったお礼を告げると、女子生徒はフッと笑ってから私の前の席に座り、自己紹介をする。


「アタシはライラ=コレット。アンタは? 」


「カレン=マクスウェルだよ。よろしくね」


「カレンね。初日からあんな変なヤツに絡まれてアンタも災難だったね」


 本当に災難だ! カレンは答えようとするが、教員の声によってそれは阻まれる。


「はい、先生に注目してー。」


 その言葉の通り、二人は教壇に立つ教員に注目する。


「皆さんの担任のフォン=エマールです。フォンちゃんって呼んでねー」


 先程注意された時はわからなかったが、エマールはとても優しそうな雰囲気の先生だった。


 そして……何よりも胸が大きい。巨乳とか言うレベルではなく、爆乳と言うに相応しい。


(私のおっぱいもそれなりだけど、あれは……)


 カレンは知らない内に自分の胸を確かめるために両手でおっぱいを揉んでしまっていた。それに気付きハッと手を離して、見られていなかったかを確認するため周囲を見回す。


(な、なんじゃこりゃ……。)


 カレンが見たのは、男子生徒はエマール先生のおっぱいに目が釘付けになり、女子生徒は先程の自分と同じように、自分の胸に手を当てて口をぽかんと開けている光景だった。


 エマール先生は胸元が少し大きめに開いた、伸縮性の有るセーターの様な服を着ていた。


 しかし、生地が胸に引っ張られているために、その大きな膨らみが今にも服の胸元から溢れ出しそうになっているのだ。


 男子の目が釘付けになるのも無理はない。


 そんな大注目を浴びているにも関わらず、先生は平然と明日からの予定について説明している。


 それを見て、なんて堂々としているんだとカレンは思わず感心し、自分も見習わなければと思う。


「それじゃ今日はこれで終わりなので、皆さん気をつけて帰ってねー」


 そう言うとエマール先生は笑顔で手を振り教室を出て行き、その直後に再びライラが身体を後ろに捻ってカレンに話し掛けてきた。


「何て言うか、凄かったね」


「そうだね。あんなに大きい胸を見たのは初めてだよ」


「あれだけデカイと色々と大変そうだ。男共は鼻の下が完全に伸びてたね。全く男ってのは……。

 所でカレン、アンタの家はどの辺りなんだい?」


 カレンが家の場所を伝えると、偶然にもライラの家も近いらしく、彼女から一緒に帰ろうと誘われる。


 カレンは喜んでこれを承諾し、二人とも鞄に荷物をまとめて教室を後にした。


 二人で校舎の出口に向かって歩く。その間も例に洩れず、すれ違う生徒達から視線を浴びる。


(やっぱりまだあの先生みたいに平然としていられないなぁ)


「先生と一緒でアンタもとても目立つよね。スタイルも良いし、見た目がとても可愛いってのも有るんだろうけど、なんとなくつい意識してしうものがあるね」


 同姓から褒められてとても嬉しく思うカレン。


 たが、今視線を浴びているのは自分のせいだけでは無いと思う。


 何故ならライラもまたかなりの美人だからだ。彼女は身長が高くスレンダーで、切れ長の目と口元の黒子が特徴的な美人だった。


 しかも、スレンダーなのに胸もしっかり出ている。カレンよりは少し小ぶりではあるが……。


 ライラは、少しむっちりでどちらかと言うと可愛らしい雰囲気のカレンとは少し違ったタイプの美女だった。


 カレンの魅力値が無くても、これほどの美女が二人並んで歩いていれば、それなりに視線が集まるのは仕方のないことだろう。


「私の可愛さも有るだろうけど、ライラもとても美人だから二人に見惚れてるんだろうね!」


「自分のことをそこまで言えるなんて、アンタ面白いね。フフ」


 カレンがあえて謙遜せずに言うと、ライラはクスッと笑う。


 同年代女子の友達が出来たのが嬉しく、カレンは家の近くで別れるまで沢山の会話を楽しんだ。


 ライラによると、彼女はアムス王国の田舎町から魔法技学園に通うためにブライトウィンに来たのだと言う。


 二人は明日以降、共に通学することを約束して別れたのだった。




 夕食時、シグに今日の出来事を話したカレンは、彼から驚くべき事を聞かされた。なんと、シグも学園の卒業生であり、エマール先生と同窓だったのだ。


 そこで、カレンはニヤリと意地悪そうに笑ってからシグに問う。


「エマール先生のおっぱいはその時から大きかったの?

やっぱりシグも気になって仕方なかった?」


「ゴホッ!

 馬鹿野郎。いきなり何を言い出すんだ」


 想定以上のシグの焦り様。それを見て余計にニヤニヤと笑うカレン。


 そんな彼女を見て、シグはカレンが勝手な想像を膨らませているのに気付いたのだろう。


「馬鹿な事ばかり考えてないで風呂に入って寝ろ」


 そう言って食器を片付けると、彼は自室に閉じ籠ってしまう。


 少し失礼だったかなと思うカレンであったが、たまには良いかと自己完結してからシャワーを浴びるため風呂へと入っていった。


 これが親友『ライラ=コレット』との出会いとなった。


【お願い】

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