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魅力的な私1

「ねぇシグ。どう?! とても可愛くない? 」


 学園の制服に袖を通したカレンはシグの前でクルッと回って見せた。


その遠心力によって元々短めのスカートの裾がふわりと舞い、白くそして柔らかそうなカレンの太ももが露になる。


「俺には可愛いとかは良くわからん。だが、似合っている……と思う」


「あー、照れてるねシグ」


「馬鹿な事を言ってないでさっさと飯を食ってしまえ。初日から遅刻なんてしたら目立っちまうぞ」


 カレンの茶化すような言葉に少しムスっとして工房に去るシグ。しかし、本当に怒っているわけではなく、中の良い父と娘にあるような微笑ましい光景がそこにはあった。



 解魔の儀式から二ヶ月経が経った今日は、教会の司祭に推薦してもらったブライトウィン魔法技学園の入学式だ。


 そしてカレンはというと、学園から支給された制服を着てとても浮かれているのだった。


「やっぱり私は何着ても可愛いわ。うん」


 リビングの鏡にに写った自分の姿につい見惚れるカレン。だが、そう思うのも無理はないと言えるほど、彼女にはその制服が似合っていた。


「それ、否定はしないけど、あまり自分で言わない方がいいよ」


 カレンが制服を着ているため、左腕のブレスレットと化しているセロは、内心とてつもなく可愛いと思いつつも、半分冗談のつもりで彼女の自画自賛に注意を促す。


 これがカレンには気に食わなかったらしく、彼女はそれまでのご機嫌な顔から、ぷくっとした膨れっ面になってしまった。


「ネコモドキは黙っててよ。

 良いでしょ、自分の家で何言ったって。外ではこんなこと言わないもん。

 あ、わかった!

 私にあまり着て貰えなくなるから寂しいんでしょー」


「ネコモドキ言うな!!

 まあね、寂しいのは否定しないさ。

 だけど身には着けてもらう。なんたって俺にはカレンを守るという重要な使命があるんだからね」


 そう言うと紫色の宝石があしらわれた綺麗なブレスレットがキラリと光る。


 カレンは、何かあったときにセロがどうやって自分を守るのかと疑問に思ったが、期待しているからね、と頭の中で伝えておいたのだった。


 カレンはこの家に住み始めてから、シグの仕事の合間にこちらの世界の事を色々と教えて貰っていた。


 このため、ある程度の常識は理解できている状態だ。


 また、シグの家族が亡くなっている事も聞いていはいたが、その理由は自分からは話してくれなかった。そして、カレン自身も深く聞いてはいけない気がしたため、それ以上の追究はしないようにしている。


 自分が奥さんと娘さんの代わりになんてなれる筈無いけど、少しでも心の支えになれたら良いな、と想いながらシグと今は暮らしていた。


 それと、二人は生活する上で、次のようなルールを取り決めている。


 1、転道者ということは隠す。

 2、カレンは学園に通うためにシグの家に下宿している姪ということにする。

 3、学園での生活が落ち着いたら、カレンは空いた時間に働いて、いくらかのお金を家に入れる。


 3番目に関しては最後までシグは嫌がったのだが、カレンがどうしてもとお願いして受け入れてくれたものだ。


「さて、それじゃぁ行って参ります! 」


「ああ。気を付けてな」


 朝食を終えたカレンは、鞄を持ち、玄関まで見送りに出てきたシグに敬礼をすると、彼の短い返事を聞いてから、彼女は家を後にしたのだった。


【お願い】

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