表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

小熊の冬

作者: りょーん

怖い夢で目が覚めた。

寝ぼけ眼の瞳を擦り、

表へ出てみた、まだ小さな熊の仔は、

一面に広がる銀世界に驚いた。


風は冷たいけれど、太陽の光は暖かく、

高い木々の上では小鳥が歌い、

時折走るウサギは戯れている。

眩しく輝く、白く柔らかな雪以外、

春や夏となんら変わらない世界だった。


居ても立っても居られなくなり、

母熊の寝ている優しい温もりの

穴ぐらと飛び出した仔熊は、

見ていた怖く長い夢など忘れて夢中になった。


斜面を滑り落ちて、

雪の中を転げまわった。

そんな仔熊を白い毛のキツネ達が、

不思議そうに眺めている。

仔熊には、何もかもが冒険、

時がたつのも忘れて遊んだ。


やがて日が落ち、森の動物達も帰った。

冷たい風が次第に強くなり、吹雪となる。

木々や空から笑顔が消え、眠りについた。

森は本来の「冬の姿」を現し始めた。


一変した森の姿に仔熊は呆然。

母熊のいる幸せな穴ぐらへ帰った。

穴ぐらでは母熊が眠っている。

安堵の溜息、再び仔熊も長い眠りについた。


今度は、怖い夢などじゃなく、

楽しい夢をみるだろう。

薄目を開けて、全てを見ていた母熊は、

そっと目を閉じて、春が来るのを待った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ