9.面倒ごとに絡まれる
途中に出てくる「〜だの」とかは「〜だのぅ」みたいな感じで捉えてください。
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訂正
「遅い…」
ドッ─!!
「フグッ…!」
効果音などの文の書き方が間違えていたので、
「遅い…」
ドッ─!!
「フグッ…!」
このように全てに一行ずつ空白をあけるよう直しました。
一部の効果音(感情的なもの)などはセリフの後ろについている時がありますので、ご注意を。
「殺す…殺す…僕が…殺らなきゃ…」
残っている3人を僕が消さなきゃいけないんだ…
先ほどまでの恐怖は祝福《勇敢心》で勇気に置き換わったが、時に抱えきれないほどの勇気は別のものへと変わることがある。『勇気』は───『使命感』へと…
「僕が…守る…守るんだ…失ってたまるか…!」
前世では何もできなかった。何もだ。それに加え、僕は…助けられてばかりだった……だから今は…!
「か、頭ぁ…もう他の奴らはやられちまったよ〜…」
「くそッ!こんなの聞いてなかったぞ!」
「撤退すべき…」
「んなこと出来るか!こんな簡単な仕事に失敗して帰ったなんて知られたら逆に俺らが殺されちまう!」
「…っ!頭…!誰か来る…!」
「殺す…排除…滅殺…守護…」
「あんだぁ?誰だが知らんが、見られたからには死んでもらうしかないなぁ!」
抱えきれないほどの使命感により、心が機械と化したクリートが襲撃した頭とその他2名に向かって近づいていく。
一人がクリートに気づき、注意をしているが…
「排除…捕縛……捕縛する…」
ダッ──!
行動が決まったと同時に走り出す。
「んなっ…!どこに消えやがった!」
「見えない…!」
「お頭ぁ!」
「うるせぇ!黙って探せ!」
「遅い…遅い…大人が…この程度…?」
クリートは人が視覚できる速さを凌駕し動いていた。
日々コツコツと鍛えていたクリートには自身も知らずのうちに、全身体能力が並外れたほど高くなっていたのだ。それに自身の作った薬も試飲していたのでその効果も相まって身体は全力に耐えられるほどに変化していた。
普段は理性によって無意識に限界を定めていたが、いまは理性などなく、クリートを動かすのは使命感のみとなってしまっていた。それ故にクリートの全能力が引き出されている。
「くそッ!どこにいやがる!」
「遅い…」
ドッ─!!
「フグッ…!」
「ふぎゃ!」
「ウッ…!」
視覚できない速さで動き、意識街の方向から蹴りを入れる。防御不可能な攻撃にみるみると体力を奪われていく3人。
「頃合い…」
「貴様ぁ!一体何がしてえんだぁ!」
「お頭ぁ…いてぇよぉ…」
「はぁ…はぁ…うぐっ…」
「縛り上げる…」
シュルシュル…!ビシィ!
「うおっ!?」
「なにこれ!?」
「……!?」
クリートは懐に入れておいた罠用の麻縄で3人を一瞬にして縛り上げる。体力、気力ともに削れていたので、抵抗などできるはずもなかった。
「捕縛完了…」
「くそッ!なんだこの縄!硬ぇ!」
「捕まっちゃったよぅ…」
「もう諦めるのみ…」
「クソがぁ!」
一味の頭と思われる人物はなんとかしようともがいているが、他二人は諦めて力なく座っている。
「捕縛完了…次………つぎ…?」
「ハッ!次を考えてなかったってか!ザマァねぇぜ!」
「お頭ぁ…煽んないでよぉ…」
「怒りを買う…」
「知るかんなもん!」
縛った後は何をすれば…?
ただなんとなく縛ればいいと思っていたので次の行動がわからない。
『A.ならば、私がマスターの代わりにやりましょう』
アベルが何か言ってる…?任せろ…?わかった…
『A.ではマスターの身体をお借りしますね』
うん…頼ん…だ…よ…
身体をアベルに預け、僕は意識を暗闇に落としてゆく…
『A.任されたからには十分仕事しなければいけませんね』
意識の薄れていく中、その言葉を最後に聞き取り、僕の意識は暗闇に消えた。
「さて…あなた達にはたっぷりと聞きたいことがありますからね。情報を全部吐いてもらうことにしましょうか」
「なんだぁ!?急に喋り方が変わりやがって!情報を吐くだぁ?やってみな!絶対に吐いたりなんてしねぇよ!」
「お頭はそうでも…」
「こっちには無理がある…」
「では、無理矢理にでも聞くとしましょう…」
「い、いやぁ──────!!」
…………………………………………
……………………………
………………
…
「う…うぅ〜ん………ここは…あの世界?」
目がさめると僕は周りが真っ白な場所にいた。
ここは何度かきたことがある神様達の部屋らしき場所だ。でも一体…なんか僕やったのかな…何も思い出せない…?
「おかしいなぁ…襲ってきた集団を撃退するための罠を確認するために隠れたところまでは覚えてるんだけど…その先からの記憶が…ない」
でも持っていた麻縄がないからあの後何かあったってのは確実なんだけど…
一体どういうことだろうと悩んでいると、急に目の前の空間が歪み、穴ができた。そこから人の影が。
「……?」
「よいしょっと。ん?ああ、もうきてたのか。待たせたな」
「あなたは…アトゥム様!?」
「おう、アトゥムだ。前に会ってから全然時間が経ってないのにまた会う羽目になるとはな。お前はつくづく運のないやつだな」
「ダメなんですか…?」
「いや、まぁ…そうだ。この場所に呼ばれるってのは神によって転生された者が何か大事を起こした時に多いんだよ。あの名無しの代わりにお前さんを見ていたんだが…相当なことをやったな。お前さん」
「え…?えぇ……?」
え?何?なんなの?僕一体何をしちゃったの!?まったくもって分からない!!
一体なんのことだが分からずあたふたしていると…
「その調子じゃあ、自分が何をやったかよくわかってないようだな。どこから説明するべきか…」
「あの〜…僕は一体何をしてしまったんですか…?」
「やっぱり記憶がないか…仕方がない、何が起こったか教えよう」
「お願いします…」
僕はアトゥム様から何が起こったのか教えてもらった。新しく手に入った祝福のことについても。
「…というわけだ。まぁ、大変だったな」
「そういうことでしたか…なんでまだこんなことに…」
「やはり《克服者》の影響が大きいか……こりゃあ転生特典に過大すぎないか検討すべきだな」
「というかまず転生特典でもらおうと思う人なんていませんよ…多分」
「なんでだ?お前さんも分かるだろうが結構な効果だろう?」
「ええ。それはもうすごすぎる効果です。でも、僕たち転生者っていうのは基本的に異世界に転生するってなると俺TUEEEで行くんです。だから苦労してそのあともらえるなんて選ばないと思うんです」
「あ〜…たしかにそうだな。転生者にはそういう傾向が多い。なぜなんだろうな?」
「それは…小説やゲーム、マンガにアニメとかの影響かと…最近多いですから…異世界行って主人公チートするって作品…」
「そうなのか。俺は地球は担当外だからなぁ、そんなものが流行っているとは。何万年と生きてきたが知らんものもあるんだな」
「出てきたのは最近ですから…」
「久しぶりに覗いてみるかな」
神さまでも知らないことってあるんだ…
じゃあゼウス様とかはなんでも知ってるのかなぁ…?全知全能の神とかよく言われてるけど…
というか話が違う方向へ…
「おっと、今はこんな話してる場合じゃないな。お前さんをここに呼んだのは起こったことを説明するだけのためじゃないんだ」
「へ…?じゃあ僕はなぜ呼ばれたんですか?」
「ここに呼んだ理由なんだがな…お前の担当だった名無しの女神についてだ」
「女神さまについて…ですか?」
「ああ。実は俺が引き取った後、色々とあってな………まあ具体的言うと、いろんなお偉いさんのとこを回ってたんだ。この世界のことについて喋ろうとしたことに対して俺たち神々も焦っててな。お前さんのおかげで未然に防げたが、女神には全神々からのキッツいお小言が待っててな…」
「うわぁ…全神々からですか…一体どれ程の時間拘束されたか想像もつきません…」
「さっきばかし終わったんだ。もう女神はやつれてぼろぼろになってたよ。そこでなんだが…お前さん、あの女神に会ってくれねぇか?」
「僕がですか…?えっと…理由を聞いてもいいですか?」
なんで僕が女神さまに会わせてもらえるんだ?こういうのって人間が関わることじゃないんじゃ…
「やっぱな、流石に可哀想だと思うわけだよ。自分の責任だろうけどな。この前じゃお前さんの世界の担当者が減ってよそから呼んで来なきゃいけなくなる」
「つまり、女神がこのまま立ち直らないと、僕の今いる世界をまとめることができなくて、他の担当からここに配備しなきゃいけなくなるけどそれをするには手続きとかが色々あって大変ってことですか?」
「お、おう。そうだ。まだそこまで言ってなかったんだがな…」
「僕、前世の頃から憶測が鋭かったんです。たまに外しますけど、大体当たってることが多いんです。まだ10回程度しかやったことないですけど…」
「まあそのことはいいとして、お前さんが言った通りよそからここに配備するにはちと手続きがめんどくさくてな、出来るだけ楽に終わらしたいわけなんだ。協力してくれるかい?」
「別にいいんですけど…具体的に何をすればいいんですか?」
「特別なことをしろってわけじゃない。普通に元気づけてくれりゃあそれでいい。仕事に復帰できるぐらいにな」
「うーん…分かりました。一応頑張ってみます」
「よし、それじゃあ連れてくるから待ってろ。椅子とテーブルは出しとくからゆっくりしてな」
「お言葉に甘えさせてもらいます」
「おう。じゃ、行ってくる」
そう言ってアトゥム様は出てきた穴に戻っていった。そして穴は消えた。振り返るといつのまにか椅子とテーブルは出ていた。お茶とお茶儲けまで完備されて……急須!?やはり神さまたちは急須でお茶を入れるのか!?
「……はぁ。『女神さまを元気づける』か…一体どうすればいいのやら………あ、お茶おいしい」
僕はアトゥム様が女神さまを連れてくるまで、どのようにして元気づけるか考えた。考えて考えて考えて…結局わからなかった。
アトゥム様に何か聞いておけばよかったなぁ…何が好きとか…
椅子に腰掛け、お茶をすすって待つこと十分ほど。再び空間に穴が開いた。
「おう。待たせたな。連れてきたぞ」
「私は悪い子…私はダメな子…私は出来損ない…私は…」
「……重症ですね」
「まあな…ま、頑張ってくれや」
「はい…」
「私は何をやってもダメ…私は迷惑をかけるだけ…私は……」
アトゥム様は自虐を言い続ける女神さまを置いて、穴の向こうへ行ってしまった。
さて…どうしましょうか……とりあえず話しかけてみよう。
「あ、あのー。女神…さま?大丈夫ですかー?」
「大丈夫…?大丈夫じゃない…私は情報を漏らした…全然大丈夫なんかじゃない…むしろ情報を漏らす危険な存在…」
「そんなに自分で自分を傷つけないでくださいよ!ほら!とりあえず座ってお茶を飲みましょ!気分が落ち着きますよ!」
「ははっ…私なんて要らない子よ…消えてなくなればいいんだわ…」
「…………手のつけようがない…」
女神さまを無理やり椅子に座らせ、お茶を飲ませる。
ちょうど急須にはあったかい緑茶が入っているからテアニンのリラックス効果が効いてくれると嬉しいんだけど…
「はぁ…………」
「落ち着きましたか?」
「ごめんなさい…叱られすぎてやけになってしまっていたわ」
「大丈夫ですよ。ここには僕しかいませんから、安心してください」
うん。すっごい効いたね。この女神さまってヒーリング効果を受けやすいタイプなのかな?
「はぁ…私はなんてことをしてしまったのかしら…頭がおかしくなってたとはいえ、まさか神界のことについて喋ろうとするなんて…」
「でも結局は喋らなかったんですから、そんなに気に病むことないですよ。そりゃあ叱られたかもですけど、誰しも失敗はするんです。神さまだって例外じゃありません。大事なのは失敗を取り戻そうとする気持ちです。失敗をそのままにして逃げてしまったらそこでおしまいです。たしかにその場では嫌な思いは無くなるでしょうけど、後々になって後悔することになりますよ?」
「もう遅いわ…私はもう償うことなんてできないのよ…所詮私は何もできないやつなのよ」
「遅くなんてありませんよ。まだ女神さまは失敗を取り戻そうと思っているではありませんか。その気持ちがあれば償うことなんて造作もありません。諦めない気持ちを待ち続け、前を向いて、一歩ずつ、一つずつやっていけばいいんです。そうすれば結果は必ずついてくるんですから。急にできないならゆっくりやればいいんです。ゆっくり…ゆっくりと」
「たしかにそうかもしれないわ。けどね、私たち神々にはそんなことできないのよ。一度でも失敗してしまったら最後、何も償えずに終わるのよ」
少しずつ女神さまの言葉が増えてきた。まだ表情は暗いけど、この調子で押していけばいける!
「でも今、あなたはどこにいるんですか?ここについてはよく分かりませんけど、あなたはまだ女神さまなんでしょう?神精にも下級神にも落とされてはないじゃないですか。まだあなたは期待されているんですよ」
「期待されている…ねぇ…あんなに私に色々言っておきながら期待されてるなんて…馬鹿馬鹿しいわよ…」
「女神さま。他の神様方からはなんと言われましたか?」
「なんであんな危ないことするんだーとか、もしものことがあったらどうするつもりだーとか、色々言われたわよ…同じことを言われもしたわね」
「女神さま。『怒る』と『叱る』の違いって知ってますか?」
「へ…?同じなんじゃないの?」
女神さまは根本的に捉えかたが違っている。自分のしたことを理解してなんでも悪い方向に捉えてしまっている。
「いいえ、全然違うんです。『怒る』は女神さまが思っている感情的に腹をたてることですけど、『叱る』はまったく違う意味を持っているんです」
「どっちにしろ『叱る』も『怒る』に似てることなんでしょう?変わらないわ」
「ええ、確かに似ています。でも、『叱る』っていうのは相手のことを思って指導するってことなんです。親が子供に言うように『これは危ないからやっちゃダメよ』とかですね。これが最も分かりやすいでしょうか」
「相手のことを思って…」
「先ほどのを聞く限り、他の神様方は女神さまのことを怒ってなんていませんでしたよね。神様たちの顔を見たりしませんでしたか?」
「確かに…言われてみれば怒ってると言うよりも心配をしてるような顔をしてた…」
「他の名前持ちの神様方からすれば女神さまなんて生まれたばかりの赤子と同じなんですよ。『もしも何かあったらどうしよう』『私たちがしっかりと導いてあげなくては』とかなんとかね。だから失敗したら怒るではなくて叱って正してあげているんです。またこんなことがないように」
「私のために…心配してくれて…」
もうほとんど女神は立ち直ってきただろう。あと一押し、何かきっかけがあれば…
その時、僕らのいる空間が全て真っ黒に歪み、他の場所へと移された。光が後ろから差し込み、そちらを見ると…
「「「我らが娘よ…すまなかった…」」」
沢山の神様が集まっていた。どこを見ても名前を知っている神様ばかり。その多さに圧倒される。
僕が圧倒されていると、一番前にいるヒゲモジャの神様が話し出した。
「娘よ…生まれて間もなき我らが娘よ…我らはそなたに怒りなどない…心配だったのだ…」
「ゼウス様…」
えー、はい。ゼウス様でした。ヒゲモジャといってすいませんでした!!
「若き子らを育てるのは我ら名持ちの役目なのだ…正しい方向へと育てるためにはあまり甘やかさせることはできんのだ…キツい言い方になってしまうが、この方法が一番分かってもらえるのだよ…よく誤解して閉じこもってしまうものもおるがの…」
「私も…その一人でした…」
「本当にすまなかったの…正しい方向へ上手く導くことは何年やってもよくわからんのだよ…」
「いえ…私はこのままでいいと思います」
「なぜだい?傷つくのだろう?」
「ええ…確かに傷つきます。でも、自分で分かるべきなんです。ゼウス様、そして他の神様方みんなが何を伝えたいのかを。そしてそれを汲み取ってどうすればいいのか、自分で考えてみるのが大切だと、私はそう思います」
「ほう…どうかの?この子の答えに反論するものはおるか?」
「「「………………」」」
「おらんようだな…では、我らはこのままで行くが、そなたはこれからどうするべきだと思うかの?」
「私は………」
女神さまがこれから何をしていくか問われ、答えに詰まっている。
………………僕、空気だなぁ。ずーっと突っ立ってるだけだなぁ。というか僕ここにいていい存在じゃないと思うんだけどなぁ……みんなのもとに帰りたいんだけどなぁ…
「私は…これから新しく生まれてくる子たちの相談役になりたいです!今回のような誤解している子たちに違った考えかたを教えて前に進ませてあげたいです!」
「ふむ…よく言うた…その思い大切にするのだぞ…」
「はい!」
「では、我らからそなたにこれを渡そう…」
「これは…神格!?受け取れません!!」
「受け取っておくれ…これは我らの期待の証…次くる子たちの頼もしい味方になってあげるのだぞ…」
「はい!ありがとうこざいます!!頑張ってみせます!」
「頑張るのだぞ…」
その言葉を最後にゼウス様たち、神様方は消えていった。多分僕たちの方が元の場所に戻されたのだろう。真っ白の部屋に椅子とテーブルがある。
「次の子たちのため、頑張っていかなければね。…ってあなたいつのまに!?」
「ずっといました…」
「もしかして私を励ましてくれてたのはあなただったの?」
「さあ、どうでしょうね」
「ありがとう。心の底から感謝するわ。あなたのおかげで私は立ち直ることができた。そして新しい目標も出来たわ」
「ええ。頑張ってください。女神さま」
「それと、私はもうただの女神ではなくなったわよ。神格を貰って名付き神へと変わったの。私の名前は…『ラフィーメ』よ!」
女神さまに新しい名前がついた!
「ラフィーメさま。これから頑張ってくださいね」
「ええ。もしもの時はあなたを頼ることがあるかもね」
「そこは自分でなんとかしてくださいよ…」
「ま、検討しておいてちょうだい。これからは忙しくなるわよ〜!世界の管理に下の子たちの相談、あと名付き神の役目もあるわね!」
「が、頑張ってください…倒れない程度に…」
頑張りすぎてまたこんなことにはなりませんように…
二度としたくないと心配していると…
「お、もう解決したみたいだな。よかったよかった」
アトゥムさまが入ってきた。ん?出てきた?よく考えるとわかんないな…
「ええ。もうバッチリよ。この子のおかげね」
「こいつを連れてきたのは俺なんだぞ?俺にも感謝ぐらいしろよ」
「連れてきただけでしょう。何もやってないじゃない」
「おうおうおう。ちぃと調子に乗りすぎじゃねぇのか?え?」
「本当のことを言っただけよ。それとも何か不満でも?」
「不満タラタラだ!チクショウ!」
新参の名付き神だというのに先輩に対してグイグイと言い放っていくラフィーメさま。ある意味こういう性格がいいのかもね。カウンセリング役としては。
「さて、お前さんを元の世界に戻してやらなきゃな」
「お願いします。後半、僕必要なかったですけど」
「はっはっは!いいんだよ!前半でやってくれたんだから!」
「腑に落ちないですけどね…」
「それじゃ、元の世界に戻すぞー」
「突拍子もなく…」
「お、そうそう。ゼウスのおっさんから預かってたんだった。ほいよ。帰ったら開けてくれだとさ」
「ゼウスさまから…?」
「そいじゃ、またな」
「今日は助かったわ。またね」
「はい。また今度…はあって欲しくありませんが、さようなら」
アトゥムさまの力で元の世界へと送ってもらった。
「……………………ん…」
目を覚ましたのは草の上だった。まだ夜だ。目の前にはアトゥムさまに聞いた状況がある。手には先ほど受け取った手紙を持っている。
「えーっと、なになに…『先ほどはそなたに触れてやれずすまなかったの。我らの娘を助けてくれて感謝する。お詫び…というか褒美をそなたに与えようかの。同封しておるから確認しておいてほしい。ゼウスより』って…」
同封?あ、まだなんか入ってる。どれどれ…
……………………!?
「これは……神格では…!?」
『追伸。そなたの能力は我らの世界でとても重宝するのでの。そなたがくるまでこちらで待っておるぞ〜』
まさかの報酬に驚きを感じながら、新しい日が始まっていくのであった…
ゴールデンウィークが終わったしまった…
日常がめんどくさい…
そして小説書くのがめんどくさい…