19.召喚
ただひたすら眠い中で書いたので同じな点がいくつかあると思います!もう書くのが久々すぎて全然書けません!
それと遅くなってすいませんでしたぁぁ!
もう月1更新しかできない体に…最初のハイペースは何処へ…
「───はぁ……今日も無しか」
やあ、僕はクリート。そんな名前を授かっているけど、僕にはもう一つ名前がある。『影野狩人』っていう名前が。
僕はこの世界の住民でもあるし、前世…地球の住民でもあった。
地球で生きていた頃は……いや、生きていたってのは間違いかな。何とか生かされていたって行った方があってたかもしれない。
あの頃の僕はとても病弱で体が弱く、ほぼ一年中病気にかかっていて病院に住んでいた。
そんな毎日でも楽しかったよ?見舞いに来てくれる人は毎日いたし、おばあちゃんもよく来てくれた。でも、ある日珍しく病気にかかっておらず久しぶりの散歩をしていたら、運悪く交通事故に遭い死んでしまった。
そしたら女神さまが出てきて〜って感じでよくある異世界モノの定石だよ。あの交通事故の正体は転生トラックだったみたい。
それからこの世界に来てなんやかんやあって、いまここにいるクリートの完成って訳さ。
今、僕は女神さまから頼まれている仕事をやっている。
僕が神界へ行った時の話だ。女神さまから頼み事があると喚ばれて話を聞いたところ、
『1.勇者召喚の魔法陣が何らかの理由で起動する。
2.もしかしたら近いうちに勇者が召喚されてしまうかもしれない。
3.僕の家から近い場所にあるということなので調査に行って欲しい。
4.あともしかしたら勇者召喚されちゃうから世話よろしく。
5.あとついでに魔法陣消しといて』
という感じに言われた。
あれから地上にもどって僕は魔法陣の見張りをするため、毎日朝から晩まで山に篭っている。1日も休まずに。
家族や友達が心配するだろうと思っている人もいるかもしれない。だけどそれの心配は逆だった。
ほぼ毎日のように遊びに来るのだ。僕の家の裏山へと。
僕は魔法陣の見張りをしながら筋トレや素振りで時間を潰している。あとは友達の手合わせの相手をしたりなどもして。
そんな日々を続けてたった年月は──5年。
毎日毎日毎日毎日。魔法陣を見張って来た。もう普通の筋トレはやりすぎて効果が無くなってしまったし、素振りもやりすぎた結果ほぼ全ての武器を使えるまで仕上がった。
5年の歳月がたったので当たり前だが、僕は5歳の歳をとって13歳になった。
下にミザリーという妹がいるのだが、その子も今年で11歳になった。
ミザリーの成人の式は大変だった。
成人の式では自身が神から授かる祝福という特殊スキルのようなものを始めて見ることができる。
ミザリーは初めて自分のスキルを自覚して、その祝福を意識してしまったために効果がひとりでに暴走してしまった。
その祝福の名前は《天女の美貌》。周りの異性を圧倒的魅力で惚れさせ服従させてしまう祝福だった。
暴走した祝福のせいで同じ成人の式に来ていた男性は全てミザリーに服従してしまうという大変なことが起こった。
そんな中でも効かない人は少なくとも居て、何とか解決した。
治療法?そんなもの物理的治療に決まってるよ。
身内や知人に対して僕の鑑定系の祝福を使ってなかったから被害が大きくなっちゃったと思う。反省して普段遣いするようにしたよ。
おっと、変に話が飛んじゃったね。元に戻そうか。
13歳になったわけで、いろいろ成長したわけだよ。頭の回転とか、知力とか、筋力とか か、魔力とか。ただ、ひとつだけ育たなかったものがあるんだよ…それは……
「身長…伸びなかったよね…」
そう、『身長』だ。
小さい頃から筋トレしてきたせいで骨が硬くなって伸びず、8歳の時の身長で止まってしまった。数値にすると130センチだ。
当時はとても高い方にいた、だけどそこからだんだん抜かされていって……今では同年代全員に抜かされてるよ。
「筋トレやりすぎたなぁ…」
そんなことも去年あたりで気にしなくなった。毎日魔法陣を見張って過ごす日々、後悔を改める時間もたっぷりあるわけで。
えー…まぁそんな日々を過ごしていたわけ。
今日も変化無しだから帰ろうか。
「今日の晩ご飯は何だろうな〜。母様が小麦粉準備してたし、パン系かな?」
もうこの毎日の晩ご飯予想も恒例と化していた。
日が落ち、あたりも薄暗くなってきた頃、家の裏口にたどり着いた。
僕の家は村で唯一の薬屋をやっていて、毎日お客が来る。8歳の時にこの店を任されたけど、見張りの件を受けたことで全く手伝ったりもできなくなってしまった。
店で売っているポーションの調合なども山でしているので全く無関係ってわけではないけど、正直心苦しい。
「ただいま〜」
僕は裏口の扉を開けて家に入った。
靴を脱ぎ、靴箱に入れて一息ついた時、勢いよく近づいてくる者が。
「兄様おかえりなさぁい!」
「グフッ…相変わらず今日もいい飛び込みで…」
先程話していた妹のミザリーである。重度のブラコンであり、兄の僕を敬ってくれている。まあ、シスコンの僕が何をいうのかって話だけどね。
「兄様兄様、今日はどんなことをしてました?」
「いつも通りのことだよ、ミザリーはどうだった?」
「私は母様と編み物をしていました!もうすぐ雪の季節ですし、あったかくできるものを作ろうかと!」
「そっか、もうそんな時期だもんね」
「兄様に似合うものをたくさん作ってます!」
「はは、それは嬉しいね」
「はい!あっ!そうだそうだ、兄様に夕食の報告をしに来たんでした!早く行きましょう!」
「分かった分かった」
僕はミザリーに手を引かれ、リビングへと向かう。
字面から見ると兄とはしゃぐ妹とでほっこりするのだが、今の僕らを見ると完全に兄と妹の順位が違う。
僕はミザリーにも背を抜かれているので、側からみればはしゃぐ姉に引っ張られて連れて行かれる弟だろう。なんとも複雑な気分だ。
「母様ー!連れてきましたー!」
「あら、ありがとう。それにおかえりなさい」
「ただいま、母様。あれ?父様は?」
「パパはさっき寝ちゃったわ。昨日何かやってて徹夜してたみたいだし、寝かせてあげましょう」
「そっか、わかった」
「今日の夕食は、トマトマのスープに焼きたてのふっくらパンと、レインボー鳥の手羽焼きよ」
「ん〜…いい香り、美味しそう」
「そうね、はやく手を洗っていらっしゃい。ご飯にしましょう」
「はーい」
「は〜い!」
母様の料理は毎日とても美味しい。レパートリーも尋常じゃなく、ほぼ同じメニューを見ない。
手を洗って戻り、席につく。
そして食前の祈りを行い、食べ始める。
「うん!この手羽焼きとってもジューシーで美味しい!」
「スープもちょっぴり酸っぱくて美味しい!」
「うふふ。喜んでもらえるとこっちも嬉しいわ。さて、私もいただきましょ」
そんな全てが美味しいもので出来た食事はすぐに終わり、それぞれの時間となった。
僕は自分の部屋に戻って風呂の準備をしていた。
そんな時、扉が開いてミザリーが入ってきた。
僕の部屋なのだが、基本的にミザリーも一緒にいるのでほぼ2人の部屋となっている。
「兄様!お風呂入りましょー!」
「今日もか?兄と入ってて友達に馬鹿にされたりとかしてないのか?」
「そんなことないよー?みんなもお兄ちゃんやお姉ちゃんと一緒に入るのは普通だって言ってたもん!」
「そうなのか?まあ、ミザリーがそうしたいのならすればいいよ」
「やったー!待っててね!着替えとってくる!」
そう言ってミザリーは自分の部屋に戻っていった。
着替えや服は基本的にミザリー自身の部屋に置いてある。まあ、着替えるのはこのへやでだが。
「それにしてもやっぱりこっちの世界では倫理観というか何というか、全く別のものなんだよなぁ…普通、10歳を超えたら兄弟となんて入ろうと思わないんだが…」
こっちの世界はよく分かってないことの方が多い。その方が良いこともたくさんあるけど。
あ、ちなみに言っておくと僕の体は性的なことに全く無反応です。なんか、そこら辺の機能が8歳のままで止まってしまっていて、たとえエッチなことが起こったとしても全く無反応だよ。なんでだろうね(泣)。
そのおかげでミザリーともあんなに近づいて接していられるんだけどね。
そんなたわいもないことを考えている時だった。
ドゴォォォオン!!
村一帯に響き渡るだろう程の大きさの爆音が僕たちを襲った。
「な、なんだ!?」
「兄様!!今の音は一体!?」
「分からない!とりあえず母様と父様の場所へ!」
「はい!」
僕らは母様たちの指示を仰ぐため、一階へ降りた。
リビングへ着くと、寝ていた父様も起きて来ていた。
まあ、あの爆音で寝ている方が無理だと思う。
「母様!父様おはようございます!」
「何があったんでしょうか!?」
「ああ、おはよう。クリートにミザリー、大丈夫だったか。それが、父さんたちにもわからないんだ」
「どうやら音は裏の山から聞こえてきたみたいなの。すぐに村の大人たちがくると思うから待っていれば時期に分かるわ」
「裏山から…?まさか!!」
「兄様!?」
母様の言葉を聞き、思い当たる節が僕にはひとつだけあった。
それを思うとともに僕は裏山へ向かって駆け出した。
「クリート!?どこへ行くの!」
「母様ごめんなさい!これは僕に関係があることかもしれないんです!」
「大丈夫なんでしょうね!?」
「多分ですけれど、被害は何も出てないはずです!今から僕は確認しに行きます!どうか村のみんなを近づけないように時間稼ぎをお願いします!」
「……分かったわ。でもできるだけはやく帰るのよ」
「はい!」
母様のその言葉を最後に僕は普段制限してる身体能力を全て解放して爆音の元へと向かった。
(何もなければいいんだけれど…)
『それはフラグというものです』
(うっさいわ!フラグって気づいたらフラグになっちゃうんだよ!)
『それは失礼いたしました。では先程の言葉は聞かなかったことに』
(もう遅いよ…)
この二重|鍵括弧『かぎかっこ』で語ってくるのは僕の祝福の一つである《回答者》という祝福の機能から生まれた人格?的なものだ。
基本的に分からないものは答えてくれるし、サポートもしてくれるし、危険が近づいてくれば警告してくれる。だが、一つめんどくさいのが…
『ではマスター、【そんな装備で大丈夫か】と問いましょう』
(一体どこでそんなネタ拾ってくるのさ…)
『マスターの記憶からですが?』
(勝手に人の記憶みるなよ!問題ないわチキショイ!)
なんというか…『絡んでくる』のだ。
普段は静かなのだが、ふとした時に先程のように絡んでくる。たいした暇つぶしになるからまだいいのだが、たまにえげつない事までぶっ込んでくるから困る。
しかも彼女(女性の音声で話しているから)、『アベル』と僕が呼びやすいように名付けたのだが、心の中で思った事までどうやら聞こえているので、今この1人語りも聞かれているか分からないのだ。
反応したりしなかったりでどれが聞こえているのかは分かっていないけれど、基本的に心の中でも変な企み事は考えられない。つらい。
『…!マスター。どうやら魔法陣の近くで何か起こっているようです』
(やっぱりフラグになったじゃないか!)
『人型の反応が二つに…魔獣型の反応が五つ。どうやら人が襲われているようです』
(めんどくさいことになってたぁぁ!《範囲探索》!)
5年の歳月によって僕の魔法も強化されている。
5年前ならば裏山全体までしか届かなかったが、今なら50キロ先まで対象を絞ればわかるようになった。
そんな強化された《範囲探索》を使って魔法陣のあたりの生体反応を感知する。
(人2人に獣5体…押されてるじゃないか!!)
『どうやら1人が上手く対峙しているようですが、このままでは時間の問題かと』
(ここから魔法陣までこの身体能力でもあと5分はかかる…仕方がない!《身体向上》!」
このままのスピードだとあと5分で着くが、5分も持たないかもしれない。
さらに急ぐため僕は《身体向上》…名前の通り、身体の性能を上げる魔法で更にスピードを出して一気に駆けた。
(くっ…Gが凄いが…まだ耐えられる!)
『目的地へ着きます。3…2…1…右手に排除対象です!』
「ぬっ…!おりゃああ!!《伸鉄一閃》んん!」
「「……!?!?」」
僕は木を蹴った勢いそのまま、アベルの指示を受けた場所へ懐から取り出した短刀で攻撃を繰り出す。
情報通りの場所にいた虎型の獣は横に一閃、即座に絶命した。
「ナイスだアベル!次は!!」
『左手前11時の方向に』
「分かった!てりゃぁあ!」
最初の一体を倒し、すぐさまアベルに次の対象を教えてもらい絶命させる。
そのまま指示を受け、3体目、4体目とすぐさま片付けていく。
「ラストは!」
『いけませんマスター!ラストが後ろの人間に!』
「なっ…!!」
「GRURAAA!!」
「甘く見ないで欲しいわね」
ザシュ!
「GARUAAA…?」
「ごめんなさい。生きるため、切らせてもらったわ…」
「GA…AA...」
「苦しまずに逝かせてあげる…」
グサっ!
どうやら最後の一体は向こうの人が対処してくれたみたいだ。
「ねえ、あなた。そんなところで気配を消してないで出てきて頂戴」
思いっきり手助けしたとはいえ、場所がバレてたのか。ここにくる時完全に気配を消してたんだけれどな…
「出てこないならば切るわよ」
「ああ!待って待って!出る!出るから!」
なんか本当に切られそうだから正直に出た。
「子供…?」
「むっ……子供じゃ悪い?」
「こんな子供があんな素早い動きを…」
「これでも13歳なんだけどなぁ…」
僕が正体を現した時、発せられた第一声がそれだった。まあ、分かるけども。
「13!?私達よりも年下じゃないか…」
「お姉さん、なかなかやるよお…だ……ビャクト!?」
「ん?なぜその名を知っている?その名を知ってるのは2人しか…」
「いや、ごめん。つい口に…」
獣たちと互角に戦っていた人物、長身ですらっとした体型、黒髪ポニーテール…
まさか…まさかまさかまさか…!
(召喚勇者って僕と同級生の人だったのかよぉぉ!)
「どうした?いきなり悶絶しだしたが…」
女神さまから勇者が召喚されると聞いてたけど、まさか同じ高校の同級生だなんてぇぇ!!
「……ふぅ、落ち着け……そっちの子は?怪我は大丈夫?」
「ふぇっ…!?あ…あの…大丈夫…です…」
「そう?でも雑菌が入るといけないし、治療しておくよ?」
「………!!」
もう1人、召喚された人はいた。その人も僕の同級生。2人ともよく見知った顔。
「ちょっと待て。何をするつもりだ?」
「傷口にこの薬を塗って治療するつもりだけど…毒が入ってないか確認する?」
「ああ。確認させてもらおう」
「じゃあちょっと待ってね」
僕は懐から先程使っていた短刀を取り出して…
「おい待て何を…」
「よっと」
指先を軽く切った。
「はい、ここに塗ってみて。毒じゃないか分かるから」
「………ああ」
彼女は少し驚いた様子だったが、すぐさま冷静になり、僕の切った指先に薬を塗った。
薬を塗った指先は切り傷がすぐに塞がり、元から何もなかったように戻った。
そりゃそうだ。切り傷用の回復薬だもの。
「ね?毒じゃないでしょ?」
「そのようだな。疑ってすまなかった」
「いいよいいよ。初対面の人だし疑って当然だって。少し染みるよ」
「っ…!」
すぐに治るこの薬だが小さな切り傷じゃないと効かないし、染みて痛い。そこが要改善点だ。
「……君…小さいのに…とっても…強いね…」
「そうかな?まあ、よく鍛えてるからね」
「ねぇ…聞きたいんだけど…いいかな…?」
「いいよ。なんでも言って」
「君…好きな…花って…ある…?」
「好きな花?強いて言うなら『ディモルフォセカ』かな」
「……やっぱり…」
「やっぱり?何が?」
やっぱり?な、何の事だろうか?
「あなた…狩人君…よね…?」
「…………」
「夏奈!?一体どう言う事だ!?」
バレた…?これは絶対にやってしまったか…頼む…どうかセーフで!セーフでぇぇ!!!
次の更新は一ヶ月後付近だと思われます…
誠に申し訳ありません…
誤差・脱字等ありましたらご報告していただけるとありがたいです…