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裏話『一方その頃』2/2

2話構成の2話目となります。もし、ここから入った場合で、読みたいと思うのならば一つ前の話に飛んでください。


読んでも読まなくても基本的には影響はないと思います。

「さて…起きろ、このクソ野郎が」


ゴスッ!ゴスッ!


腹に刺さる蹴りの鈍い音。痛みから蹴られた本人は目を覚ます。


「ウグっ…!ムゴガガ!」

「さて、何を言っているのか」

「どうせ『いたいぞ!』とかでしょう。さっさとやりましょ」


不穏な空気から始まったこの部屋。部屋には3人の人物がいた。


先程蹴られていたマベジー・ジェンベントにマベジーを蹴っていたバーズ、バーズの質問に答えたプラハルの3人。


さて、驚きな点が一つある。それがこの話のメインの2人が完全に悪役として始まったところ。


事の顛末を簡単にお伝えしましょう。


マベジーは悪い事をしてさらに他にも企んでいた、バーズとプラハルは家を攻撃された仕返しをするためにここへ来て、マベジーを捕まえたところである!


悪者はこうなる定めなのです!


…というところです。


「さて、マベジーさんよぉ。俺らのこと覚えてるか?」

「フガン!」

「どうやら覚えてないそうですよ。って顔を見せてないじゃない」

「おお、そうだったな。さて、これでどうだ?」


バーズとプラハルは自身の顔を隠すために深くかぶっていたフードを取る。


「フガゴガ!っぺ!貴様は!」

「おお!思い出してもらえたか。そうだよ、あんたが野盗の集団を送った薬屋の家主さ」

「貴様!何故生きている!あの数を倒したというのか!?」

「あの数を?笑わせないで。たった45人でどうにかできると思われるなんて私たちも軽く見られたものね」

「手練れの奴らを送り込んだはずだ!」

「手練れ?そうかしら?統率も取れずバラバラに動いて勝手に自滅していったけれど?」

「なっ…!?」


どうやらあのお粗末としか言えない野盗グループが手練れだと思っていたらしい。お前の目は節穴か?


「さて、そんなことはさておき。お前には聞きたいことがたくさんあるんでな、色々と吐いてもらうぞ」

「や、やめろ!私はこの街の領主の息子だぞ!手を出したらどうなるか分かってるんだろうな!」

「今更遅いし、お前の街での評価知ってるか?」

「……な、なんだ」

「クソ野郎だよ。ドアホ」

「んなっ…!!」


どうやらこいつは自分のことを街のみんなから悪く思われていないと勘違いしていたらしい。


悪いこと散々してどうしてそんなことが思えるのだろうか?不思議だ。


「お前の今までの悪事は全て確認させてもらった。机の上に置いとくなんてバカだな」

「…チッ!」

「今更抵抗したって無駄なのだから、今考えている計画とやらも話してもらいましょうか」

「ッハ!誰がそんなこと言うかよ!死んでも言わねえぞ!」

「ほう。ならば無理やり吐いてもらおうか」

「へ…?」

「すぐにそんな考えも浮かばなくなるさ…ふふふふ……」

「ぁ…ぃや……ぎゃぁぁぁ!」


それから1時間、たっぷり拷問の数々を受けたマベジーは変わり果てた姿となっていた。


「う…あ…ぁ……」

「ふむふむ。なるほど、ここで悪魔召喚しようとしてたのか」

「止めといて良かったわね」

「生贄にしようとしていた少女たちがすぐ近くにいるし、救出へ向かうとしよう」

「情報屋が呟いてたのはこのことだったのね…」

「ん?何だ?どうかしたか?」

「いいえ、何もないわ。早くいきましょう」


マベジーから情報を手に入れ、状況を把握した2人は生贄にされようとしていた少女たちを監禁している場所へ走った。マベジーを引きずって───


────────移動中⭐︎( •ꙍ•́ )


薄暗い道、嫌に湿気を帯びている空気、壁には苔が生えている。そこに数十名の少女たちが捕われていた。


少女たちはここ数日何者かによって誘拐されてきてしまった。起きるたびに牢屋の中に人が増えていく、一体いつまでこんなことが起こるのだろうか…


「もう…楽になりたいな……」


1人の少女がそう溢した。


食事もろくに取れず、トイレもないので垂れ流しの不衛生。ベットも藁を置かれているだけの全く睡眠が取れない代物、そこに何十名もの同じ境遇の少女たちが集まってくる。


もうネガティブになる他、道はなかった。


「お母さん…お父さん…会いたいよぅ…」


その時だった、目の前に人がいたことに気づいたのは。


「そうか、ならもう安心するといい。ここからみんな出してやる」

「今開けるから待っててね〜……(ガチャ)よし、開いたわ」

「ふえぇ…?」


突如そんな事を言われ少女たちは混乱していた。ここに来るのは鎧を着た怖い人が乱暴に食事を置いていくか新たな少女を連れてくるぐらいだったのだから。


声を聞き見上げてみれば鎧を着ていない知らない人。しかもフードを深くかぶっていて顔は全く見えない。でも何だろうか…


『この人たちは信用できる気がする』


そんなふうに思えた。


「あ…ありが…とう」


1人の少女が立ち上がりながらお礼を述べる。


他の少女たちも同じ気持ちなのか次々と立ち上がってゆっくり寄ってくる。


「ふむ。とりあえず全員大きな怪我は無いようだな。おい、マベジー。ここにいるので全員か?」

「は…はいぃ!私が命令して連れて来させたのはここだけですぅ!」

「嘘だったらどうなるか分かってるだろうな?あぁ゛ん?」

「命に誓って嘘じゃありませんん!!」

「なら良い」

「こらバーズ、そんな声出すんじゃ無いの。少女たちが怖がっちゃったじゃないの」

「あ、いやすまん」


信用できると思った矢先、ドスの効いた低い声が襲ったので全員怖がって腰を抜かして座り込んでしまった。


「ほらほら、怖がらなくても良いのよ。本当は優しいおじさんだからねー」

「おじっ…まあ、そこは良い。ここからさっさと脱出しようか、みんなで手を繋いでくれないかい?」

「「「「…………?」」」」


バーズの言葉に戸惑いながらも少女たちはおずおずと手を繋いでいく。


そして全員が手を繋ぎ、輪を描くような形になった。


「よし、全員手を繋いだな。それじゃあプラハル、頼んだ」

「はいはい、みんなしっかり握っててね。『旅ゆく精よ、汝の記憶を辿りて我らを導き、引いてくれ《対点転移テレポート》!』」


小さな光が灯ったと思った瞬間、その光は爆発的に大きくなりその場にいるもの全員を包みこんだ。光が衰え、その場を確認できるようになるがそこには誰もいなかった。


カッ────!


街の外れ、近くの森で光が爆ぜた。


光は明るさを抑え、そこには数名の少女と2名の大人の姿があった。


「ふぅ…もうみんな手を離してもいいわよ」

「………え?」

「ここって…」

「街の近くの…森?」

「ああ、そうだ。ここはウォルゲスタのすぐ近くにある『治海ちかいの森』だ。ここならば人は少ないし、大して脅威になるモンスターもいない。もう安全だ」


対点転移テレポート》で飛んできた先はウォルゲスタのすぐ隣に位置している森だ。ここは木が多く繁っており、見通しがあまり良くないので転移してきても問題ないと言うわけだ。


ちなみに成人の式間近の子供たちが度胸試しで入り込んだりしているらしいですよ。そのあと親に怒られるまでが定命さだめだとも。


「さあ、みんなで帰りましょう。お母さんたちが心配しているわ、家に帰れるまでは私たちがついて行ってあげる」

「「「「………うん!」」」」


そうして少女たちの最後の元気を誘導し、皆無事で街までたどり着くことができた。


街の門をくぐり抜けると、目の前で小さな集まりができていた。


何やら街の衛兵の詰め所で揉め事らしきことが起こっているらしい。


よくよく見てみると、大半が女性だ。もしかすると…


その集まりに近づくにつれ、予感が確信と化した。


「うちの子が帰って来ないんです!」

「うちもです!もう2日も帰ってきてないんですよ!?」

「俺の所の娘もだ!」

「落ち着いてください!ただいま同じような案件が数カ所で発生しており、対処しておりますので!」


娘の行方不明を心配して親御たちが詰め所に集まっていた。


「これはいち早くでも教えてやったほうがいいな。ほら、みんなのお母さんやお父さんがいるだろう?走って会いに行ってやれ」

「「「………」」」


少女たちは返事も忘れ、一心不乱にそれぞれの親の元へ走っていった。そして近づき…


「「「ママ〜!(パパ〜!)」」」


大声で再会を嬉しんでいた。


「「「……!!」」」


親御たちも同じようだった。


泣いて謝ったり、叱っていたり、人それぞれだったが全員、嬉しそうにしていた。


「俺たちは仕事をしなければな」

「ええ……そうね……」

「すまない、あの人数を運ぶのは大変だっただろう」

「あんな簡略化した詠唱じゃだめね……全て唱えるんだったわ……」

「そこのベンチで休んでいてくれ。俺はこいつを引き渡してくる」

「お言葉に甘えて……ゆっくりしているわ……」


バーズはこの事件の犯人、マベジー・ジェンベントをしっかりとした裁判の判決の末、牢にぶちこむため、マベジー本人と数々の悪事の書類を持って詰め所へ向かった。


「たったこの程度の魔法を使って疲れるなんて……私も衰えたものね……」


などとプラハルさんは言っておられるが、転移系の魔法は最低でも最上級クラスの難易度であり、普通の魔法使いにはとうてい、宮廷魔法師にもできる人は限られているものである。


そんな魔法をひょいひょい使っている方がすごいのですが…


「すまない、待たせた」

「別にいいわ。休めたから」


バーズが詰め所から戻ってきた。説明に時間を要した+戻る際にお礼を言われまくってるその対処をしていたので時間で見ると約30分程かかっていた。


「宿屋へ戻って休もう。背中に乗れ」

「あら、私は重いわよ」

「大したことない。俺を誰だと?」

「私たち家族の頼れる父親、かしらね」

「それは嬉しい言葉だ。ほら、いくぞ」

「じゃ、失礼して」

「……また軽くなったんじゃないか?」

「それはあなたが鍛えすぎてるせいよ」

「そうか」


キャァァ〜!!ラブラブですねぇ〜!!この仕事しててこんな場面に出会えるなんて思いもしてませんでしたよー。これぞ仲のいい夫婦って感じですね〜。おっと、語りに戻らなければ。


2人は一仕事を終え、宿屋へと戻ってきました。


「すまない、女将さん。風呂を貸し切りで開けてもらえるだろうか」

「はい、良いですよ。どうやら仕事はうまくいったようですね、すぐに用意致しますのでお待ち下さい」

「ありがとう」


屋敷で侵入した際、転がったりなどでかなり泥が付いた。なので先に風呂で洗い流してしまおうというわけだ。


「そんな心配しなくても1人で入れるわよ?」

「そんなことを言うなって、あまり活躍できなかったせめてもの償いなんだから。俺に身を預けてくれ」

「ふふ、そういう頑固で律儀なところは昔から変わらないわね。それだけ言うのならお任せするわ」

「おう。任せてくれい」


先ほどまでの仕事モードは解かれ、いつものラブラブ夫婦へと戻った。


くっ!惚気だと分かっているのに説明せずにはいられない!だけども描写的に表現できないからお風呂シーンはスキップ!!


見せられないよこのことばがでるということは】な展開もあり、風呂に入ってサッパリとした2人。


部屋に戻ってこれからのことを話していた。


「仕事も終わったし、明日にでも帰りましょうか」

「ん〜………いや、久しぶりの街なんだ。旅行でもして行こう」

「でもその間子供たちはどうするの?」

「リベネさんがいるし大丈夫だよ。一応手紙を送っておこうか」

「……何かあっちで鳴音熊ハウリングベアから大怪我を負った子が店に来ているような気がするわ…」

「そんな不吉でもないことを言わないでくれって。ママの予感は当たるしなぁ…もし、そんなことがあった時用に上級ポーションのこと、書いておくか」

「ええ、そうね」

「『クリートへ、この手紙がちゃんと届いているかな?父さんたちは野盗の元凶を処罰したところだ。ママが処罰を全部やってたんだが…父さん、男として生きていける気がしなくなったよ…父さんたちはもうすぐ帰る…と言いたいんだがな。そうはできなくなってしまった。ミザリーのことよろしくな!困ったらリベネさんを頼るんだぞ!


追伸。多分、鳴音熊から一撃を受けて大怪我を負った下級冒険者たちがやってきて困っていると思う。

実は倉庫の地下の奥深くに秘密の金庫が置いてある。第3部屋の麻袋の下に隠してある。お前の魔力波紋を登録してあるから触れて魔力を流せば開くぞ。それじゃ、頑張れよ!』っと。こんなもんかな」

「半月?長くないかしら」

「大丈夫大丈夫。もう2人も独り立ちできるほどに成長してるんだ。それに最近旅行、行けてなかっただろ?」

「うーん…心配だけど、クリートがいるなら大丈夫よね。旅行しましょうか」


本当に予感が的中しているなどと、この2人は露知れず。ラブラブな夫婦旅行をするのであった。


なんて幸せそうな2人なんでしょうか…私もこんなラブラブな夫婦になりたいなぁ…


それにはまず先に相手を見つけなくちゃな…なんでこんな仕事についたんだろ…出会いなんて…出会いなんて…!!


あ!あなた!そこの画面の前のあなた!どうです!?私とラブラブな暮らしをしてみませんか!?今なら初物ですし!なんたってお買い得で────

疲れた…ようやくかけた…寝るぅ…


あぁ…二章の設定だけ考えて内容が全く思いつかないぃ…!!


もう無理…バタリ...c⌒⊃+ω+)⊃

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