ハロー、ニューワールド!
やっとログインします
記者会見では、ハナが説明したこと以後には
発売日、値段そしてPVが発表された。
発売は2ヶ月後、値段はなんと、箱舟が50万、
ソフトのユートピアが5万とのことだ。
高いようにも思えるが、本当にこれが世に放たれるとしたなら安いだろう。
なにせリアルな電脳世界へと行けるのだから。
公開されたPVは、すごい完成度だった。
本当にあれが、あと2ヶ月後にやれるのか。
グラフィックも、現実世界と比べてなんら遜色の
ないものであった。
……確かにこれは革命だ。
今の世の中を変えるには十分すぎるものだろう。
俺もPVを見て感動し、欲しくなった。
同じような奴らは山ほどいるだろう。
某闇ガチャのアプリゲームや、ネトゲで鍛えられた
このガチャ運で、絶対ハナのサイン版を手に
入れてやる!
✳︎
あれから約2ヶ月がたった。
クラスでも、ユートピアの話題が絶えない。
箱舟に対して危険視する声は、テレビと同じように
あるようだ。まあ、ラノベを読んでいたら
そう思うのも無理がないだろう。
ちなみに当選したかどうかだか、当選しました‼︎
いや〜、やっぱ運だけはすごいな。
あれ、1000万人以上が応募したらしいぞ。
本当昔から、コミュ力と を代償に運だけは凄い。
今日届くらしいな。
箱舟は人1人を完全に覆える形状になっているため、
かなり大きいらしい。全長2m50cmらしい。
つまり、置くスペースも必要となるが、
俺はベッドの隣に置くつもりだ。
おかげで歩くスペースがほぼなくなるわけだが、
ゲームはやりたいし、ベッドで体を休めることは
大切だ。
いよいよか〜。ログインできるようになるのは
明日になった瞬間、0:00分からだそうだ。
正直届くのギリギリ過ぎない?と思ってしまうが
当たったのだから文句は言わないでおこう。
家族に頼んで運んでもらう予定である。
うちの階段が螺旋状の階段だったら運べないだろ。
と思ってしまう。
父さん、さらには助っ人として叔父さんにも運んでもらうよう頼んである。きっと運べるはずだ。
学校でやりたいが買えないと嘆く者共を、内心で
嘲笑いながら過ごす今日は、楽しく過ごせた。
どうやら、聞くつもりはなくても勝手に耳に入って
きた情報によると、買えたものは校内でも9人の
ようだ。
親がおそらく与えたのだろうが、よほど裕福か、
親もゲーマーのどちらかだな。
まあいい、早く帰って準備をしないとな。
早く帰りたい。こう思うのは、今日に限った話では
ないがな。
✳︎
おお、ある!あるぞ!箱舟が‼︎
……いや、でも凄いな。本当に部屋が机とベッド、
そして箱舟しかない。床が見えないな。
「お、帰ってきたのか。」
「ああ、ありがとう、父さん。重かっただろ?」
見た目はかなり重そうだ。
「ああ、まあな。もう腕がちぎれそうだった。」
「ありがとう。おじさんは?」
「ああ、あいつなら帰ったよ。あいつも箱舟買ったからな。」
やはりか。叔父さんは俺に似て、寡黙でゲーマー
だ。……いや、俺はただのコミュ障か。
「あとはお前に任せていいんだろ?」
「ああ、ありがとう。あとは自分でやるよ」
✳︎
よし、準備完了だ。
箱舟は体を覆うようなドーム状の形状である。
そこに入り、体を登録した。
どうやらゲーム内のアバターは身長や体の形、顔と
リアルからは変えられないようである。
……もっとも、スキル次第で変わる可能性もあるが。
よし、夕食も食べ、トイレにも行った。
現在の時間は23:55分。
あとは箱舟に入り、24時になったらログインするだけだ。
……やはり、緊張はするな。よくラノベでは躊躇せず
ログインするな。
いや、こんなところで緊張してるところか。
おれは絶対、このゲームでハナに認知される存在になる。
そのためには、何かの分野で有名になる必要がある
いや、もしかしたら彼女がパーティーとか
ギルドメンバーとか募集するかもしれないな。
一緒にプレイできる程度には、強くなっておくか。
時間は目の前に映し出されている時計で見えるが、
部屋にある時計の音が鳴り響く。
カチ
よし、24時だ!
初期ログインするための言葉は決めてある。
「ハロー、ニューワールド‼︎」
お読みいただき、ありがとうございます!
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