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寂寥の槍   作者: 山代
2/3

「覚醒」

あの日から3年経った、それから父とは一度も言葉を交わしていない、

家族の関係は、お互いがお互いに意識しあって相手に踏み込まない様に会話するだけの張子の虎、

一言で言えば「家族」ではない、集合体だった

それでも妹は無邪気に笑っていた、

妹との関係だけが、唯一本心を隠さず話すことができる場所だった

テルマ村は槍を中心に直径100メートルほどを除いて完全に復旧していた、

もうどこが昔の家だったかすら覚えていない、

悲しいとは、、、、、思わない、、、、

思いたくない、、、

僕は14歳となり、今は隣の町の中等学院に通っていた、考えることはたった一つ、


今住んでいる家から旅立つまであと、、、1年2ヵ月


確かに僕は不幸だった、人生という名の鍋の底にいたという“自信”があった

でも僕は知らなかった鍋が吊るされていて、底は抜け落ちる事ができるということを、、、、、


12月17日、足の傷が疼き目が覚めた、

窓から朝日が差し込んでベッドの横に置いてあるグラスに反射して僕の目を照らす、

今日は学校はなく朝から晩まで暇で、だからと言って家族とは外出はしない

今日は行くところがある、そう思いながら身支度を済ませ、階段を降りる

「ク、クーノ!」 「朝ごはんよ!」と

母の声が聞こえたので無言で席に着き、朝ご飯を食べる

嫌な雰囲気だ、会話をすることもなく家族4人が朝ご飯を黙々と食べる、

母は何度も何か言おうとするがその度に何かに詰まり結局何も言わない

ここ数年はいつもこんな感じだ、妹も何かを悟ってか今は何も言わない

僕は立ち上がり食器をかたずけて、部屋を出る

父がついた溜息が、、全てを表していた


僕は家を出ていつも通ってる道を歩き出す、テルマ村から目的の町は8キロほど離れており、

よく妹が食事の買い出しにきている中規模な町だ

1時間ほどすると町の入り口が見えてくる、

守衛達に挨拶をして、町に入り

800メートルほど歩くと古びた家が見えてくる

先生はいるだろうか?と思いながら

いつもの様にドアを3回ノックした後ドアノブを回す

「先生、例の傷の件ですが、進展はありまし、、た、、、か?、、、、、、??」

いつもと何かが違っていた、いつも先生が座っている椅子に人影はなく、部屋中が乱雑に置かれた紙で埋め尽くされていた、

いかにも古そうな家の中央に進むと、

異臭が、鼻を刺激する、机の横に足が見えた、

恐る恐るのぞいてみると“人”が、、倒れていた、

最初先生だと分からなかったのは、頭が砕け散っていて、背中から骨が三本突き出ていて先生の面影が無かったからか、

そう思いたく無かったからかは分からない

それでも逃げた方が良い事だけは確信していた、、、



全力で走った、何も思い出したくは無かった、ベッドで寝て全てを忘れたかった、

全力で走っていると中間地点の教会が見えた、

その教会を曲がると町の出口が見えてきて頭が少し冷静になり妹を心配した、、

途端に何かが弾け「最初に心配するのが妹かよ、家族じゃないんだな」、、、そう思った、

町の門を走り抜け、草原を横切り森に入った時ふと

(そろそろ妹が買い出しに来る頃だ)と思い出し、

大樹を右回りに避け視界が開けると妹の”首“が空を舞っていた

、、、、、

妹の後ろに黒ずくめの男が3人佇んでいた、

頭の神経が、、、、、焼き切れた。

頭が一度締め付けられた様に感じ、足の古傷が熱を帯びる、次の瞬間、

「あアaあアaアあアaAアア!!」

僕は叫んでいた。

直後強烈な痛みを感じ、頭を抑える、それでも3人を見ようと顔を上げると、、、、、、

3人の上半身が、、、消し飛んでいた、、、、、、、

あるはずの上半身はなく、下半身だけが信じられないといった風に静かに佇んでいた、

3人の周囲に肉片は一つもなかった

まるで消えた様に3人の体は消し飛んでいた、

そこで僕は、気を、失った、








「パノス様!覇連合が動きました、、、例の少年の妹を襲撃した模様です。」


大きな一つの大理石で作られた浴室に少女の声が響く、

「妹?なぜだ?」報告された人物は中性的な声で疑問を口にする、

「妹にも潜在的にRt5,stageIを獲得していた様です、」


「!! なるほどねえ、、、、、で、妹は?」

「殺されました。」


「でしょうね、しかし、覇連合は妹にRt5,stageIがある事をどうして感知したんだろうねえ」


「、、、、、、覇連合は『寂寥の槍』を調査しにきていたのでは?」


「そこで偶然発見した、、、、、しかし、、、、、」


「まあ、、そこらへんは『極黒点』の仕事だから、、今は置いておこう、」


「それで例の少年は?」

「微量ながら力を覚醒させました、、、、すぐに『titty』が隠蔽を行い、覇連合には感知されていません」


「完璧じゃなかったの?例の封印、」

「Rt5,stage lが関係しているかと… 」

「そうか、、他に何かあるか?」

「いえ、何も」 「そうか、、下がれ、」

はい、と黒髪の少女は返事を返し静かにその場から姿を消し、浴槽には2人だけになった。

「ね〜ね〜ご主人様、難しい事考えずに一緒に寝ようよ〜、久しぶりにご主人様に調教されたいんだけど」

そう言って抱きついてくる人物は茶髪でどこか猫の様な気がある少女で小柄な体型が逆に蠱惑的な様子を感じさせている、

パノスは少女の頬を触り、顎を撫でながらゆっくりと少女を押し倒し、

「楽しみだね、」とだけ言い残し少女を浴槽に沈めた、、、











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