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出会い
とある国の城の中、城主の呼び出しに応え城主の元へ向かう一人の青年がいた。
城主の部屋に着いた青年の前には一通の手紙だけがあった。
(全くあのお方は…。)
手紙を残して行くときはろくな事が無い。呆れた表情を見せながら手紙を開く。
[武獣山を越えた先に、えらい美味い茶菓子屋があると聞いた、買ってきて! by城主様]
青年の名はカンという。
この城下では位の低い家柄に生まれたカンが、城主に仕えるなどありえないことだったが、
城主が若い頃城を抜け出しカンの家に遊びに来ていた付き合いのお陰でこの立場になった。
しかしそのせいでこれまで城主の厄介事を世話してきたのである。
カンは城主の願いどおり、しぶしぶ茶菓子を買いに行く事にした。
武獣山は普段人が立ち入らないため山道もなくどこを歩いたかもわからないほど入り組んでいた、疲れたカンが木陰に座り昼食のおにぎりを食べようと休んでいる時に山に住む少女がカンの目の前を通り過ぎた。
とても綺麗な彼女にカンは眼を奪われる。
少女もカンに気付いた様だがすぐに逃げてしまう。
カンは少女の後を追った。