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another  作者: 加藤イノリ
第1章 変わる日常
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4-研究者たちのビル

 いつもより少し遅めに起床し、のんびり準備をして家を後にする。IFSへは公共交通機関を使う予定だ。


「もっとしっかり食べて来るべきだったかなぁ」


 起きがけであまり食欲が無く、少しつまんできた程度で済ませてきたが、今になって腹の虫が鳴りだした。まあ、園田が軽食を出してくれると言っていたし、この際お言葉に甘えさせて頂こう。


 そんなことを考えているうちに、通学で慣れ親しんだ最寄り駅に到着。ここから地下鉄と徒歩で20分ほどかかる。学校とは逆方向なので、いつもと反対のホームで地下鉄を待つ。


 一応、今日のことは、昨日のうちに玲奈とムツキの二人に説明をしておいた。と言っても、僕自身もほとんど何もわかっていない状況なので、説明できたとは言えるか分からないが。


 地下鉄駅から5分ほど歩くと、目的地に到着した。IFS社は高層ビルになっていて、入り口には様々なモニュメントが3Dプロジェクティングされている。実のところビル自体も少し特殊な形をしていて、1つの大きなモニュメントのようだった。

 

 こういった場所に慣れておらず、少し入ることに躊躇していたが、あまりウロウロして不審に思われるのも嫌なので、観念して正面入り口から入る。


 今日は、昨日とは打って変わって快晴で気温も高く、入ってすぐに感じた屋内空調の涼しさがありがたかった。


「受付に伝えとく、って言ってたよな」


 とりあえず辺りを見回して、それらしい場所を探す。


「広すぎる……」


 玄関ホールは予想以上に広く、なかなか見つけられないでいた。昨日園田にもう少し詳しく訊いておくべきだったかな。そんなことを考えていると、突然後ろから声を掛けられる。


「オコマリデスカ?」


 片言で僕に話しかけてきたのは、どうやら簡易誘導ロボットのようだ。最近では、大きなショッピングモールやこういった大手企業の本社には当たり前のように設置されていて、僕も何回か目にしたことがある。IFSのような科学技術に力をいれているところなら、常設されているのが当たり前なのだろう。


「えーと、受付を探しています」


「ワカリマシタ。ゴアンナイイタシマス」


 ロボットの後ろをついていく。今となってはこのようにまさに”ロボット的”な話し方や挙動を取るタイプは少ない。中には恐ろしいほど流暢に会話ができる人型のロボットも存在する。ただ今回のようにの案内だけであれば、旧型でも十分に事足りる。


「ココガウケツケニナリマス」


 ロボットに従い、15メートルほど進むと確かにそこに受付があり、そこには二人の女性がいた。そのうちの淡い茶色のショートヘアーの女性が、僕の方に気づいて声を掛けてくる。


「何かご用でしょうか?」


「はい。今日13時から園田さんと面会の約束をしている、高木センです」


 僕の言葉を聞き終えると、女性は宙にプロジェクティングされている画面を操作する。


「高木様ですね。お待ちしておりました。場所は上のフロアになりますので、先ほどと同じようにロボットの指示に従ってください」


 そう言ってまた女性は何やら画面を操作する。おそらくロボットに情報を送っているのだろう。


「わかりました」


 受付の女性に感謝の意を伝え、またロボットの後ろをついていく。高速エレベータのホールで一度ロボットが停止する。これで上の階まで移動するようだ。ほんの1分ほどで籠が到着し、ロボットに続いて乗り込む。ロボットは67階を入力する。


「それにしても高い建物だな。」


 扉と反対側は完全にガラス張りになっていて、外の景色が見渡せる。上昇するにつれてどんどん見える景色の範囲が広がっていって、もうここらの街を一望できそうだ。そんな感動も束の間、モニタに表示される階数が67に近づいていき、やがて減速して止まる。


 扉が開くのを待って籠の外に出ると、そこはエントランス付近とは全く違い、研究所のような雰囲気を醸していた。すっかり変わってしまった辺りの様子に気を取られていると、後ろから声を掛けられた。



「やあ、高木セン君だね?」

 お読み頂きありがとうございます。作者の加藤イノリです。ようやっと使い方にも慣れてきた、というところです。これからだんだんと物語も展開していくことになります。短い話ではないので、できるときにどんどん更新していきたいと思っています。

 評価、感想など頂けるととても嬉しいです!宜しくお願いします。

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