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新しい友達

学校に着いた一郎は朝のホームルームが始まろうとしていた。

学校中、昨日突如降った雪について会話は溢れかえっていた。


「ねぇねぇ!今朝のニュース見た?」

「見た見た!昨日の雪のやつでしょ?」

「私、宿題やってて全く気づかなかったー」


などと季節外れの雪について全員夢中になっていた。当然教室中はうるさくなり、会話を共有出来ない一郎は不機嫌になる。


「はぁ。まじでうるさいな。」


彼の呟く声も聞き取れないほど騒がしい。

すると、先生が一喝する。


「おーい!静かにしろよー!」


この声で静かになる。


「よし!出席とるぞー!えー…東?」


「はい。」


出席確認を取り始める。

その次に健康観察だ。


「なんか今の所調子が悪いやついるかー?」


と全員に問うが、誰も返事をする者がいなく、そのまま終わる。

そして最後に先生からの連絡だ。


「今日も特に連絡はないな…。あ!そういえば昨日雪が降ったらしいな。どうだった?」


と最後に生徒たちに聞くと、たちまち教室中がうるさくなる。


「先生はその時、何してたんですか?」


「先生は家でのんびりテレビを見ていてな、全然気づかなかったんだよー。」


先生は腕を組み、穏やかに答える。


「えー、奥さんと雪の中デートしてたんじゃないんですかー?」


クラスの女子が目をキラキラと光らせ、キュンキュン胸を高鳴らせながら、先生に満面な笑顔で聞く。


「バーカ。ちゃんと2人で家にいたぞ。」


一郎達の先生は20代後半といったところか、体育会系の先生で、女子からの評価もかなり高い。

その先生は笑いながら話を終わらせようとする。

が、彼女達からの熱い攻撃は終わらなかった。


「フフフッ!もうネタは上がってるのよ先生、昨日、2人が都内のスイーツレストランで楽しくしている所を目撃したって子がいたのよ!」


自信満々に言い切るその彼女は一朗の隣の席の女子だった。

「雨流 日奈」ポニーテールで肌はきめ細かく、スタイルも良い、中でもその笑顔が一番のチャームポイントだ。そんな彼女は今、担任の先生に攻撃を仕掛けていた。


「えーーー!?日奈、それ本当!?」

「先生何嘘ついてるのよー!」

「何気に『あ!そういえば昨日雪が降ったらしいな。』なんてとぼけちゃって。」


次々と女子達が先生に問う。さらに教室中が騒がしくなっていた。


「ま……まぁまぁ、この話は終わりとしてだな……。」


強制的に終わらせようと試みたが、雨流にとどめの一撃を食らう。


「しかも、奥さんにア〜ンしてもらってたらしいよ?」


その一撃でついに先生も我慢の尾が切れた。


「コ、コラーーー!」


「キャーーー♡」


おかげで女子達は狂いに狂っている。


一方、一郎はと言うと、手で耳を塞ぎ、外を見つめていた。

そんな自分の世界に入り込んでいる彼の肩をトントンと叩く者がいる。


「…ん?なんだよ、雨流。」


一件普通に対応しているが、内心はとても喜んでいるのだ。


「東はさ、こういう系の話は興味ないの?」


「こういう系の話って、つまり恋バナって事だろ?別に興味ないって訳じゃないけど、それをする相手がいないから、こうして黄昏てる訳だよ。」


彼の孤独感が先程より倍増している。

だが、彼女はまたもや笑う。


「フフッ。あはははっ。何それ!する相手なんてここにいるじゃん。」


雨流はそれを当たり前のように、可笑しそうに一郎に言う。彼は友達なんていて当たり前の様な言い方をする雨流にムカついた。


「……なんだよそれ。ふざけるなっ!」


と言いそうなるが、全力で言葉を飲み込む。

今それを言ったらそれこそ孤独だ。


「フフッ。優しんだな雨流は。」


これが現実だ。彼女は自分の悩み、思い、いらだちを知らない。知るわけがない。相手の、他人の気持ちがなんでも分かる人間はこの世に存在はしないのだ。


「でもいいのか?こんな陰キャラと一緒に居たんじゃ、雨流の好感度も下がっちまうぞ?」


そして、その相手をできるだけフォローする。

これが最善の手だ。

あとはその返事通り、いいならいい、ダメならダメだ。まぁ、多分、後者の方だが。


「私はそんなの気にしないよー?友達は友達。誰がなんと言おうとも私は東を友達と言い続ける!」


と力強く帰ってきた。

すると、なぜだが彼女に対して抱いていた嫌な気持ちはどこか消えてとても暖かく安心した気持ちになっていた。彼女が変えたとでも言うのだろうか。それほどまでに嬉しかった。


「……お、おう。そうか、ありがとな。」


「えへへっ。いえいえ。」


「ならついでに聞くが、雨流は好きな人はいるのか?」


急すぎた。一郎自身、そう思った。


「んん!?どうしたの、急に!?」


「コ、こここ恋バナだよ!する相手が出来たからついでにしてみようと。」


赤く恥ずかしがる雨流はその言葉を聞くと我に変える。


「そ、そうだよね!びっくりしたー。もう。私はもちろん、いるよ!まぁ、私の気持ちなんて気付いてもないんだろうけど。」


とても可愛らしい笑顔を一郎に見せる。

危ない。惚れる所だった、いや、惚れかけていた。


「そうなの?まぁ、確かにそうなのかもしれないけど、これから勇気を出して話したりしたら、可能性だって上がっていくと俺は思うけど。」


そう一郎に勇気付けられた雨流は目を輝かせて彼にこう言う。


「ありがとねっ!やっぱり東って優しい所あるじゃん!」


「雨流もな。」


そう言い合うとホームルームが終わった。

先生はなんとか言い訳や理不尽な理屈を駆使し、生徒達から逃げたらしい。

いつもなら長くてつまらなく感じるホームルームが短くて楽しく感じるのは何年ぶりだろうか。

雨流とも、会話が途切れ、またいつも通りのフォームに戻る。


「にしても、今日は暖かいどころか蒸し暑いくらいだな。いよいよ夏って感じだな。」


昨日、原因不明の雪が降ったと言うのに、それを忘れ去るぐらいの暑さ。今の気温は28度だ。

今日の朝、心配して着込んできた自分が馬鹿馬鹿しいくらい暑かった。


「大丈夫かよ。日本。」


国の心配もいいが、まず、自分の現状を心配しろよ。と言いたい所だが、まぁ、許してあげよう。何せ、友達が1人できたのだから…。



あっという間に1日が過ぎた。

雨流と言う話し相手が出来たおかげで授業中はとても充実していた。


そんな一郎は下校時間になったので、ある人物を待っていた。それは羽山だ。

校門で待っていると、彼女がくる。


「おい、羽山。」


と声をかける。

だが、返事をすると思いきやこっちを見向きもしない。そのまま自転車に乗って校門を出ていく。


「……はぁ?」


今度ばかりは逃すまいと全力で追いかける。

2km先の公園まで追いかけ、やっと捕まえる。


「ハァ、ハァ、ハァ、おい!…どうゆう事だよ!」


そんな彼女はキョトンとした顔で答える。


「ん?何がかしら?」


「ふざけんな!無視したあげく、自転車に乗って全速力で逃げたじゃねーか。」


「……。フゥ、全くバカね、私はあの羽山麗よ?あの完璧少女の羽山麗。」


堂々とたくましく、羞恥心という言葉を忘れ去るぐらいの態度で彼女は言う。


「そんな完璧少女の私と君みたいな毎日幼女見てウヘウヘ言ってる変態が一緒にいたのを目撃されたら騒ぎになるに決まってるでしょ!」


「まて、俺はそんな酷いロリコンじゃない!」


「それともさっき君は、今朝の担任の先生見たく拷問されたかったから私に声を掛けたのかしら?」


「た…確かにそうだな。ごめん。俺が悪かった。」


謝る一郎。言い返す言葉も見つからない。


「まぁ、今日ようやく友達が出来た君にはそんな事どうでもいいのかもしれないけどね。」


「な……なんでそれを。あっ!そうか、これか!」


すっかり盗聴器をつけているのを忘れていた一郎。


「隣の女の子にアドバイスなんかしちゃって、思わず、笑っちゃったわよ。」


「く…クソ野郎……。」


羽山と目が合わせれない。


「ところで、結局なんの用で私を待っていたの?」


「あぁ、そうだった。」


またもや、彼女のペースにはまっていた。


「羽山、お前は俺をあの3人と接触しろと言ったが、どこの誰だか知らない奴にどう接触すればいいんだと思ってな。」


「あぁ、それは詳しくと言ってなかったわね。実質的に言うと、私がその相手にも君と接触しろとだけ言ってするのだよ。要するに、待ち合わせの場所を決め、そこに2人集まる。そこで私が君をナビゲートし、上手く行かせると言う作戦ね。」


そう伝えると自転車にまたがる。


「まぁ、実行日は明日だから今日のところは早く帰って寝る事ね。じゃあ、」


とだけ言い捨て、彼女はまた、先に行ってしまうのであった。

遅れてすみません。もしよかったら最初から読んで見てください!よろしくお願いします!

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