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逃げ続けてきた大きな壁

夏休みも終わりに近づいて来た今、

東 栞は大きな壁にぶつかっていた。


「し、しまった…。夏休みの宿題が…!」


そう、それは学生の宿敵。

中でも中学生から高校生までの人が大抵、「夏休みはまだあるから後でやろう」と、言い訳に言い訳を重ね逃げ続けていた宿題だ。


栞はそう呟くと宿題のプリントをペラペラと見てみる。


「うん、これぐらいだったらそこまで時間はかからないけど、分からなそうな問題がちらほらあるな。」


そこで一問分からなそうな問題に取り組む。

が、しかし。


「んー?」


「え。」


「うーんと。」


「全然わからん!」


「よし、こうなったら!」


プリントとシャーペンを片手にとり、席を立つと部屋を出る栞。隣の部屋に勢いよく入る。


「おい、クソ平凡野郎!」


「な、なんだよいきなり!ってかクソとか、平凡野郎とかって呼ぶな!」


「なら、参加賞野郎!」


「くじ運悪いだけだもん!俺が悪いわけじゃないもん!」


「だったら、んーっと、えーっと。……普通野郎!」


「諦めんなよ!もっと頑張れよ!せめてなんかひねれよ!何だよ普通野郎って、もっと恥ずかしいネタ引っ張り出されるかと思ったわ!で、何?なんか用なの?」


いつも通りの挨拶代わりを披露する2人。

ようやく本題に入る。


「どうせお前、暇でしょ?ちょっと付き合ってよ。」


「なんだよその口の聞き方、前みたいにデレデレしないのか?」


「おい、黙れよ。さっきから何意味わかんねー事言ってやがんだ?あん?」


一郎はこの前の件でもう栞はデレデレキャラで貫くのかと思っていたが、どうやらそうでは無いようだ。


「せっかくこの美少女中学生の栞様が頼んでいるんだからとっとと言うこと聞けよ、おい。」


とても可愛らしい声から始まり、いつしか狂暴な声へとかわっていた。


「そんな喋り方のどこが美少女だよ。美少女の「美」の字もないわ。」


「う、うるさい!またあの妹CD一晩聞かせるぞ!」


「やったー!栞様の頼みなら何でも聞きますよ!ハハハハハッ!」


「ふ、ふん。分かればいいんだよ。」


「ハハハハ…。」


とまぁ、こんなやり取りをして、ようやく宿題のプリントへと事が運んだ。


「ここの問題が分かんないんだよねー。」


「どれどれ?ふむふむ……あー。これは確かに難しいな。」


「でしょ!どう?分かりそう?」


「まぁ、これなら何とかなりそうだけど…。ってか栞って俺より頭良いんじゃないの?」


「中学校の時のお兄ちゃんよりは頭はいいわよ。今の時点で比べると習っている量と範囲がお兄ちゃんの方が上ってことよ。」


さすが兄妹といったところか、あれだけ口喧嘩をしていた割に仲良く話し合っている。


「おお。まぁそうか。ここはだな…」


一郎は兄として、栞が理解できるまで何回も説明し、どう説明すれば伝わりやすいかなども含め一緒に考えた。


「それで、ここのXを移行して…ここに代入すれば…ほら!後はできるだろ?」


「……あー!そうゆう事か!なるほど!ありがとうお兄ちゃんっ!」


問題が理解できたのか、満面な笑顔を見せる栞。


「…お、おう。」


正直、こういう時の不意打ちほどずるいものは無いと思う。可愛すぎだバカヤロー。


そうして栞は問題の理屈が分かると一郎の部屋から出て行った。


口の聞き方としては良くなかったが、こうやって勉強を教えてあげるのもたまには無くは無いかなと思った一郎だった。


と、兄が想いに浸っているのにも関わらず、妹はまたしても足音を立てて兄の部屋へと入ってきた。


「やばい!どうしようお兄ちゃん!すっかり読書感想文の存在忘れてた!!」


「はぁ!?」


「お兄ちゃんお願いだから私のために私の読書感想文書いて!!」


「ふざけんなっ!自分でどうにかしろ!」


「チッ、使えねーな。」


先程の発言は訂正しよう。『たまに』はではなく、『まれに』と。

大変誠にすみませんでした!

遅れに遅れの遅れてしまいました。

待っていた方がおりましたらとても感謝で一杯です。

また、本作品をよろしくお願いします!

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