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小さな常連さん

1番好きな食べ物は?よく質問でその問いかけを聞かれる時があるが、彼女にとってそれは常に一つに決まっている。


『クレープ』


クレープはイチゴやバナナなどのフルーツに生クリームやアイスと一緒にモチモチとした食感が特徴の生地で巻いた食べ物。デザートである。


様々な組み合わせがあるのもクレープの良いところだが、いつも彼女は同じ組み合わせを頼む。


『アイスバナナチョコ』


いたってシンプルだが、これほどまでにそれぞれの味が会う組み合わせは少ないだろう。

だったら、バナナチョコでも良いんじゃないかと思う人もいるだろう。

答えは否だ。もちろん否だ。

彼女曰く、アイスがないとあるとではポテトサラダでポテトが無いくらいの違いらしい。


夏ではアイスのお陰でひんやりとクレープを食べれるし、何よりもない時よりも甘さが増す。と彼女は熱く語る。


そしてそんな今も彼女はクレープ屋さんにクレープを買いに来たのだ。


「カランッカランッカランッ」


店に入ると音がなりレジがすぐそばにあった。


「…すみません…!アイスバナナチョコ…を…一つっ!」


店員さんはその弱々しい声を聞き、レジの方へと向くがレジの前には誰にもいない。


「あれ?……あ、もしかして!」


そういうと店員さんはレジの机から前の方を覗き込む。するとやはり人はいた。


「今日は少し早かったね!アイスバナナチョコ一つ!あなた、バナナ多めにしといて!」


そこのクレープ屋さんは夫婦で営んでいた。

その夫婦の優しさ、仲の良さ、何より味の良さが評判を呼び、土日は大勢の客で行列が並ぶほどらしい。


彼女はいつも平日の客足が少ない16時〜17時くらいにここに来ている。


「あ、す…すみません。ありがとうございます。」


彼女がそう素直に笑うと店員のおばさんはその笑顔を見たかったと言わんばかりに優しく言った。


「ささっ、好きな席にお座り!」


そう言われると窓側の席に座る彼女。

店の中はアンティーク製の家具が揃っていてとてもロマンチックでオシャレだ。

そう落ち着いて待つ中、3分後。


「はいお待たせ。アイスバナナチョコ一つと、こっちが今試作品のスムージー何だけど良かったら飲んでみて!もちろん無料でね。」


おまけして貰った上に試作品のスムージーまで付いてきた彼女はさすがにそれを拒んだ。


「あの、えっと…。流石に…貰いすぎなのでいいです…。」


「いいのよ!遥香ちゃんにはいつもお世話になっているし、現に遥香ちゃんのチョイスや意見を参考にして成功してるから、また意見や要望がこちらからとしても貰いたいわけよ。」


「な…なら、喜んで頂きます。」


そう、彼女とは鈴ノ音 遥香なのである。

鈴ノ音はそういうとクレープをまず一口食べ、次にスムージーを少々飲む。


「………!!これは!とても甘くて美味しいクレープに対し、全く砂糖を使わずフルーツの甘酸っぱさだけを生かしたスムージーがとてもあいますね!」


「よし!想像どうりの反応!でも問題はこの後。」


「しかし、もう少しいってしまうと、このスムージーは少し酸っぱすぎる気がしますね。もう少し砂糖なり甘さを加えた方がいいかもしれません。かと言って、これはこれで好きな人がいると思うので、二つとも売りにする手も無くはないかと。でもクレープはやっぱり水分を持っていかれるのでこの案はやはりいいと言ってもいいと思います!あとは試飲や広告を作るなり、どう客に知らせるか。どう客に興味を持たせるかが鍵ですね。」


いつに無く鈴ノ音が熱くなって語っている。

店員のおばさんはメモに今言ったことを簡単にまとめ終え、嬉しそうに言った。


「ふぅー。毎回ありがとね!遥香ちゃんにはいつも勉強させて貰ってるわ。」


「は!…いや、あの。……すみません。」


と照れていつもの鈴ノ音に戻る。

そう言うとおばさんはキッチンに戻って夫さんに今鈴ノ音の言ったことを報告しに行く。


と、ちょうどその時であった。


「カランッカランッカランッ」


誰かが入ってきた。


「すみませーん!……………あれ?居ないのかな?」


聞き覚えのある声であった。

その人は誰も居ないのかと周りを見渡す。すると鈴ノ音に気づきまた質問する。


「あ!すみません、ここの店員さんて今留守ですか?」


「………い、いえ。その奥に…いると思いますよ…。」


「そ、そうですか。えっと、すみませーん!」


その人は女で鈴ノ音と変わらないほどの身長であった。その彼女が再び声をかけるが店員は出てこない。


「………。」


「………。」


(気まずい!)


(き、気まずい!!)


2人は奇遇にも同じ事を思っていた。

こんな状況が長く続くとマズイと感じた鈴ノ音が珍しく話かける。


「くくくく、クレープ…お好きなんですか…!?」


言葉を噛むわ、声は裏返るわと悲惨な話し掛けに相手の彼女は思わず笑ってしまう。


「ププッ。…そんなに固くならなくて大丈夫だよ。もっとリラックスして。」


「す、すみません!私…人見知りで。」


「うん、今の感じで分かった。私もクレープ好きよ!中でも抹茶アイスぜんざいね。」


今にも恥ずかしすぎて倒れそうな鈴ノ音を優しく励ます彼女。


「私は…、アイスバナナチョコが好きです。」


「あ、分かるそれ!またあうんだよねそれが!」


「そうなんですよ!あの生地の温かさの中に冷たいアイスが口の中に広がったと思ったらバナナとチョコが追加攻撃してきて口の中が幸せで溢れるんですよ!」


「抹茶アイスぜんざいも抹茶アイスが口の中に広がると共に小豆が遅れて登場して白玉のあのモチモチとした食感が生地と一緒に楽しませてくれるのよ!」


2人が熱く語っていると長い報告を終えたおばさんがキッチンから出てくる。

すると2人の小さい子達が可愛く楽しそうに話しているではないか。


その姿を見ておばさんはこっそりとキッチンの方に注文を入れる。


「抹茶アイスぜんざい一つね。あなた、白玉多めにサービスお願い。」

今回は鈴ノ音の会にさせて貰いました。

次回もこの話が続きますのでお楽しみにして頂けると嬉しいです!

これからも本作をよろしくお願いします!

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