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保健室で手当てを受けた私は、一目散に美希の元へと向かった。職員室では3人くらい先生が美希にお説教をしていた。


『じゃあ、君と上級生達が喧嘩していただけで、雨流さんは無関係という訳かな?』


『そうです。雨流さんは偶然そこを通りかかって巻き込んでしまったんです。』


『本当か?全員バスケ部って事は本当に偶然なのか?』


『だから言ってるじゃないですか。偶然だって。私だって驚いてますよ!』


何と、彼女は嘘をついたのだ。

私はその事を聞いていながら、その会話に入れなかった以前に職員室の中にも入れない状況だった。ただただ廊下で会話を盗み聞きしているだけ。


当然、その後で美希と2人きりで話した。なぜそんな嘘をついたのか。なぜ自分を悪者にするのか。聞きたい事はたくさんあった。


『ねぇ、美希。何で先生達にあんな嘘ついたの。私聞いてたんだよ。』


『別に良いじゃん。雨流は実際に何もしてないんだし。』


『良くないよ。て言うか、先輩達は?先輩達は何て言ってたの?』


『………先生が私がそう言ってるって先輩達に伝えたら、それを認めたらしいよ。そりゃそうだよ。いじめより喧嘩の方があちらとしては罪が軽いからね。』


美希は呆れた仕草で言葉を吐き散らす。


『雨流もそれで良いじゃん。いじめられてた何てみんなに知れたらプライド傷つくだろ?良いんだよ、別に私は責めたりしないから。』


とても他人事のように言う彼女は本当に言葉の意味を理解しているのだろうかと思うぐらいヘラヘラしていた。


『明日からまたお互い楽しくやってこ。ね?』


なのに、美希のその作り笑顔が。何か少し曇る顔が私を怒らせた。


『パシッ!』


気づけば私は美希の頬っぺたにビンタしていた。


『何よそれ!何が【明日からまたお互い楽しくやってこ。】だよ!何だよその顔!何もかもめちゃくちゃだよ!』


『…!?』


『何その私が罪を被ってやったぞみたいな感じ!余計なお世話だよ!私のプライド?美希に何が分かるの!』


『そんな言い方ないだろ!』


『あるよ!大体、1番私が怒りたいのはなぜ嘘をつくのかって事だよ!嘘ついて何が良いの?本当にそれで良いの?絶対ダメだよ!後悔するよ!』


『う……。』


溜め込んでいたモヤモヤとした気持ちを思う存分吐き出す私の言葉は美希の気持ちなど何も考えていなかった。


『助けてくれた事をなかった事にするつもり?せっかく美希の事カッコいいって思ったのに、今じゃ台無しね!』


『何だよ!そんな言い方ないだろ!私だって色々考えたんだよ!これがその結果だよ!』


『何でその考えた結果が嘘をつく事になるのよ!美希はそんな事して本当に綺麗サッパリ事が済むと思ってるの?』


『う…うん。』


『その嘘、美希が1番可哀想だよ。私のために嘘ついてくれたんだと思うけど、美希が傷ついたら私も悲しいわよ。こんな嘘、辛いよ…。』


必死に涙が目からこぼれ落ちないように上を向く。


『…雨流。』


『えへへっ。日奈でいいよ。』


そんな空は私達を応援するように青空が広がっていた。この時から私は嘘が嫌いになった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


時刻が10時30分を回っていた。

江利川と藤田の事も考え、長々と話していたがそろそろ話も終盤だ。


「だから、俺とメールしていた時にも正直に話そうと言っていたのか。」


「まぁ、そうだね。でもその時はまだメールしている相手が一郎なんて知っていなかったし、その相手が誰であろうと私はそう言ってたよ。」


そう言うと雨流はベンチから立ち上がり、今まで暗い顔をしていたとは思えないほどの笑顔でこちらを向く。


「話はここまでっ!早く部屋に戻ろ?」


「…お、おう…。」


歩き出す2人。

雨流の可愛らしい笑顔に心を奪われつつもゆっくりと歩き出す一郎であった。


部屋に戻ると、男子部屋には江利川と笹口の2人だけしかいなかった。

どうやら女子は女子部屋に戻ったらしい。

雨流ともそこで別れ男子部屋に入ると、江利川は怒っていて、笹口は思い詰めた顔をしていた。


「江利川君…、告白はどうなったの…?」


「断られたよ!…あんなに性格悪いならこっちから願い下げだね!」


怒っているのか呆れているのかわからない江利川。それより気になったのはそんな話に混ざってこないどころか、聞く耳も持たない笹口だ。


「なぁ、峻輝。お前はどうしたんだよ。そんな顔して。」


「…………ん?…あ、あぁ!何でもないよ。」


「そ、そうか。」


どうみても何でもないわけがない。

羽山と外に行った時に何かあったに違いない。

最悪の空気の中、一郎達は一晩を過ごしたのであった。

遅くなってしまいすみません!

これからもよろしくお願いします!

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