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才能

今回は結構、暗いお話なので

苦手な方や嫌いな方は読むのをお控え下さい。


一方、ジュースを買いに来た一郎と雨流は、自動販売機の前で2人話していた。


「ねぇ、一郎はさ。才能って聞くとどんな事思う?」


「ん?なんだよ突然。」


「いいから。」


自動販売機の前にある長椅子に2人は腰掛け、話を続ける。


「そりゃ、俺にはなんの才能も無いから『関係ない言葉』としか思わないな。」


「そっか。そうだよね…。私は才能って聞くと『そんなにいいものじゃない』って思うんだ。」


持っているペットボトルを強く握りしめる雨流。


「そりゃ才能はあった方がいいよ。けどね、それの代償として皆、私との接し方が変わってしまうの。少し長くはなるけど聞いてくれる…?」


「…あぁ。」


「私は中学校3年生の頃、バスケットボール部の最後の大会で全国大会へと導くまでの選手だったの。それまで皆は和気藹々としていたけど、やっぱり全国ともなると、私しか頼れないからって皆心配や敬語で話す毎日。」


「…それは息苦しいな。」


「そう。空気が汚れているように感じた。プレッシャーが半端ないし、周りの子は皆私しか見てなかった。自分がシュートを打てる場面でも私にパスを出したり、シュートミスした子に『なんで日奈ちゃんにパスしないの!』とチームメイトが怒ったりと、結果初戦敗退。最悪な最後の試合だった。」


ゴクゴクと嫌な思い出を搔き消すようにジュースを飲む雨流。

一郎は彼女の辛い経験を聞いて何も言えない自分が情けないと思った。


「そして、その日の夜。私は高校に行ったらバスケ部は入らない事を決めたの。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

その頃、男子の部屋では。


「第一、私の何処がいいのよ。」


「そ、そりゃ。顔。」


「普通そこは性格について言うだろ。キモっ。」


まだ口論が続いていた。

江利川はもう心が折れそうになっている。


「じゃあ、なんて言えば良いんだよ!全否定じゃねーか!」


「なんで逆ギレする訳?本当にありえない。」


「あーもう!もう良いよ!辞めだ!」


そう言って江利川は部屋から出て行ってしまった。部屋は静まり返る。

すると1人残った藤田がどさっと座り込む。


「あーあ。また言いすぎた。この性格どうしたものか……。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


時刻は10時を回っていた。

一郎と雨流はまだ話し込んでいた。


「でも、現にこうしてバスケ部に入ってるじゃんか。」


「うん。入学当初まではそう決めてたんだけど、やっぱりどうしてもうちの高校のバスケ部のレベルが気になって体育館覗きにいったの。そしたら、そこで『藤田 美希』に出会った。」


雨流がジュースを飲みほすと何やら辛そうに語り始め、回想に入る。


『あれ、もしかして君。雨流日奈!?』


『そ、そうだけど。』


『私ね、君の中学校と当たった時、君のプレーをベンチから見てて鳥肌が立ったんだ。』


『そ、そうなんだー。』


嬉しそうに話す藤田に対し、少し嫌そうに聞く雨流。


『そっか、高校は一緒のチームと考えるとなんだか頼もしいね。』


『ご、ごめんなさい。私ね、バスケ部に入るつもりはないの。』


『……はぁ!??何いってんの?』


『だから…』


『テメェ、調子こいてんじゃねーぞ。ならなんで体育館に来た。私達を馬鹿にしに来たの?』


ドンッと扉を叩き、見たことのない目つきの鋭さで雨流を睨みつける藤田。


『ご…ごめんさない。別にそんな訳じゃ。』


『分かった。なら勝負しろ。1on1で勝負。先に点取った方が勝ち。このくらい楽勝だろ?』


私は認めざるおえなかった。

勝負の結果はもちろん雨流の勝利だったが、

プレーを見ていたバスケ部の部員からは入部すると勘違いをして喜ぶ人で賑わっていた。

まんまと藤田の作戦に引っかかってしまったのだ。


入部したのは良いが、それで喜ぶ人はいるが、嫌がる人も当然いた。そして、ある日から、嫌がらせが始まった。


3人の先輩から呼び出され、部活を辞めろと言われた。当然私はそれを拒否した。すると次の日、部活用のシューズがボロボロになっていたり、ロッカーの落書きなど。正直、酷かった。


頼れる人や相談する人もいなく、部活では逆に期待されているから尚更言えない。藤田もあの勝負からあまり部活に顔を出さない日が多々あった。


それを一ヶ月間何も抵抗せずに続けていたある日。嫌がらせをする先輩達はとうとう、私自身に暴力を振るった。校舎の裏で2人が腕を押さえつけ1人が私の腹の溝を思いっきり殴る。


『うえっ。』


『あはははははっ!うえっだって!気持ち悪!』


『おい、これで辞める気になった?』


『私は辞めません。辞めたくないです。』


そう抵抗するともう一発殴る。

意識が飛びそうだった。

もう死にたいと思うほどだった。


嫌がらせをさせられる度にそれを直したり買い直したり。どれだけの苦労を無駄にして来たのか。この人達はそんなに楽しいのか。

なら、私はこの人達の為に死のう。


『こんちわーす!先輩達何してんすか?』


そう、意識が薄くなって来た時だった。

誰かが来た。


『!?……なんだ。藤田か。こいつ、お前もムカつくだろ?殴れよ。』


それは藤田だった。

入部の時に怒鳴られて私の印象は最悪だし、この人からも殴られるのだろうと私は思った。


『本当っすか?なら私も一発良いっすか?』


『おう。いけ!』


ほら。やっぱり。私って運悪いな。


私は藤田にも殴られる。そう思っていたが、彼女が殴ったのは先ほどまで私を殴っていた先輩だった。


『!?……い、いってーなおいっ!』


『テメェ、藤田!どうゆうつもりだ!』


『え?だって先輩今、殴っていいか聞いたらおうって答えたじゃないすか!』


『ハァ?ふざけてんじゃねーぞ。』


雨流を持っていた2人も雨流を捨てて藤田の方へと来る。

そんな先輩達3人に藤田は息を思いっきり吸って叫んだ。


『ふざけてんのはテメーらだろうがあぁぁ!!!!!!!それでも先輩か!テメーらは!!!』


その声は部活をやっていた生徒達の耳にも届き、声を頼りにし、続々と集まって来た。


『お、おい。誰か先生読んでこい!喧嘩だ!あの藤田が喧嘩するぞ!』


と多数の生徒が先生を呼びに走る。

その声を聞いた先輩3人は不安な顔をして話し出す。


『な、なんだよあいつ。ヤンキーかなんかか?』


『知るわけないでしょ?どうすんのよ!』


『私は知らないからね!』


そんな話をしている間に藤田は距離を詰め、1人一発ずつお見舞いした。

かたがつくと、すぐさま雨流の元へと駆け寄る。


『おい、大丈夫か?雨流。』


『大…丈……夫。それより…なんで私を…助けてくれたの…?』


雨流を起き上がらせ心配する。


『んな!馬鹿野郎!あんな場面見たらほっとけるかよ!』


『え…。藤田…さん。私のこと…嫌いなんじゃ…ないの…?』


『はぁ!?馬鹿なのあんた。私はね。中学校時代から雨流のプレーを見て、尊敬してたからね!』


その事に驚きつつも

少し照れる藤田を見て少し笑う雨流。


『藤田さん…怪我…ない…?』


『バーカ、私がなんでベンチにいたのか分からないのか?他中の生徒と喧嘩したからだよ!』


『そうなんだ…強いんだね…藤田さん。』


『お前もだよ…。よくここまで耐えれたね。』


すると、ようやく先生達が総出で駆けつける。よほど藤田は要注意人物なのだろう。


『先生!急ぎで雨流を保健室に運んでやって下さい。後で事情は話しますから!』


そう藤田が言うと先生達が駆け寄る。

そして私はそんなカッコいい美希にこういった。


『助けてくれて…ありがとう…!!』


と…。

遅れてすみません!

今回はこういった暗いお話になってしまいました。雨流ちゃんと藤田ちゃんの過去のお話です。

こういった会で一話使ってしまい、本当に申し訳ないです。共感してもらえれば幸いです。


これからもよろしくお願いします。

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