妹の友達。
p.m.6:00
一郎は帰宅途中に昨日、今日と交わした約束を振り返る。
笹口と雨流達、羽山とのキャンプ。
羽山を含む、悩みグループの人々との対面。
どちらにも羽山はいるが、
彼女がいると安心する面もあり心強い。
笹口と雨流とは最近ボケやツッコミを取り入れたコミュニケーションができるほど打ち解けていた。だが、問題はその友達だ。
彼ら、彼女らは自分を見てきっと嫌な顔をするに違いない。一気に気まずくなる。
そんなイメージしかない一郎は少し焦っていた。
何にしろ、自分の友達枠として、我が高校の女神と言って良いほどの完璧少女の羽山 麗を連れているので、荷が重い。
一方、悩みグループの人々との対面では、アカウント名「8800」こと羽山や、アカウント名「兄Love♡」こと妹の栞、アカウント名「四姉妹」こと鈴ノ音は良いとして、まだあったか事もなく、もちろん話した事もないアカウント名「天気人」がどんな奴なのか不安であった。
もちろん、同じ学校なので見た事はあると思うが、自分が自分なので話した事はないと考えて良いだろう。
どちらも確かな日時はまだ決まってないと良いとして、そこまで遠くないであろう。
とりあえず、妹の許可をとらないといけない。
そう考えた挙句、走り出す一郎なのであった。
家に帰ると、玄関に妹の靴がもうそこにはあった。だが、その隣に揃えられているのは見たことのない靴。
誰のだろうか。きっと妹の新しい靴なのであろうと自分の中で勝手に決めつけて家に上がる一郎。
「ただいまー!」
すると、キッチンから母が出て来て一郎に静かに言う。
「お帰りなさい。今、栞の友達が来てるの。」
「え!?こんな遅くまで?」
「今日は泊まるらしいから、一郎も気を使いなさいよ。」
驚きの言葉と共に誰かが階段から勢い良く降りてくる。それはもちろん彼女だ。
「あ!お兄ちゃん!ちょっと来て!」
と言うなり、手を掴んで無理やり今降りてきた階段を再び登って行く。
「お、おい!」
と言いつつも抵抗はせず、身を任せて彼女が向かう先へとトタトタと走る。
その向かう先はもちろん妹の部屋だった。
「チカ!お待たせ!この人が私のお兄ちゃん!」
そう言う妹の視線の先に背が同じくらいの少女が立っていた。
「この人が…!あ!私…笹口千花と言います…!しおちゃんとはいつも仲良くさせてもらってます!ケロ。」
「お…おう!俺は栞の兄貴の東 一郎だ。……ケロ?」
「あ!すみません。これ、私のマイブームの口癖でして、ケロ。」
「っん?それより、笹口って事はもしかしてお兄ちゃんいる!?」
「あ、はいケロ。」
蛙のような口癖の彼女は同じクラスで前の席の笹口峻輝のいもうとなのであった。
右目が前髪で隠れて見にくいがとても可愛い。
兄と少し似ていて、色白。
「この前話してたでしょ?このチカこそ、私の親友、お兄ちゃんが大好きな友達だよ!」
「…え!?この子が!?」
「ちょ、ちょっとしおちゃん!そんな急に言わないでよ!ケロ。」
笹口妹が栞に恥ずかしくなりながら怒る。
「良いじゃん!ここで仲良くなって置けば、お兄ちゃんを通じて、チカのお兄ちゃんの事色々聞き放題だよ!」
「そんなの関係な!……くはないな。確かに良い考えだ。ケロ。」
「え!?」
急に笹口妹が態度を変える。
そして視線をこちらに移す。
「お願いします!ケロ。お兄ちゃんの日常を細かく教えてください!ケロ。」
「……おいおい。なんでそうなる。」
「良いじゃん、お兄ちゃんどうせ暇でしょ?」
「勝手に決めつけるな!」
東兄妹が揉める中、笹口妹は申し訳なさそうにそれを見つめる。
「どんな些細なことでも良いんです。ケロ。お願いします!ケロ。」
「まぁ、嫌とは言わないが、本当にそれで良いのか?本人に直接聞かなくて後悔はしないのか?」
「まぁ、その覚悟の上で頼んでるわけだしね。」
「もちろんです。ケロ。」
そう言って互いは了承した。
笹口妹がとても熱心に言うものだからそれほどまでに栞に負けないくらい兄が好きなのだと伝わってきた。
「じゃあ、言うからな。あいつはな……」
1時間くらい彼の話をした。
笹口兄の友達はどんな奴か。
何が好きなのか。
サッカーがどれほど好きなのか。
などなど他にもあるが、ざっとこのくらい話しただろう。
最後には笹口妹とメールのアドレスを交換して妹の部屋を出たのであった。
結局、今日のところは妹の栞に確認する事は出来なかった。
読んで頂きありがとうございます!
申し訳ないのですが、次回からの投稿は都合により、毎週日曜日の夜10時くらいになります。
楽しみにしていただいている方には
本当にすみませんが、
何かとこれからもよろしくお願いします!




