お誘い
いつも通り、日差しが強く青空が広がる日。
今日は1学期最後の終業式がある。
彼女は1人、屋上の物陰で読書をしていた。
上から下へ、一番下に行ったらまた一番上にと目を動かす。
真剣な眼差しで読書をする彼女。
「……フフッ。やっぱりラノベは最高ね。」
彼女はそう言うとしおりを挟み、一番最初のページのイラストを鑑賞する。
「あぁ。この本のイラストは実に良いわ。」
そう感動するように言うのだが、
そのイラストは何ともいやらしいイラストであった。美男子がベッドに押し倒され、その押し倒してとても強引な美女に服を脱がされ…とここまで言えば後は分かるであろう。
「やっぱり、可愛いといじめたくなるものね。」
不審な笑みを浮かべ、そう言う彼女はそのラノベを閉じる。
すると、立ち上がり日光が照らす屋上のフェンス越しまで来る。
「暑いわねー。よく朝練なんてやるものだわ。」
彼女はグラウンドで活動する運動部を見てそう呟く。
「まぁ、私には関係ないのだけれど。」
そう言うと彼女は長い髪をなびかせ、上を向く。
「……空か。…私にはまだ……。」
それは羽山 麗であった。
受からない顔をして言う彼女は何か拒んでいた。
そうすると、振り返り扉を開けて校舎の中に入るのであった。
1年5組。
教室に戻った羽山は1時間目の授業、数学の予習をしようとしていた。
机の中から教材を取り出す。
すると、それを見ていた登校した周りの女子達は彼女の元へと群がる。
「羽山様!分かりやすいようにノートまとめて来ました!」
「今日の内容はここですよ!」
「予習とは流石です羽山様!」
などなどと話しかけて来る女子相手全員に完璧に対応する羽山。
適度なおふざけやエロい話を混ぜて相手を楽しませている所が何とも言えない。
みんながようやく離れて行くと、1人の女子が話しかけて来る。
「朝から大変だな麗。私にも話させてくれよ。」
「あら、もちろん良いわよ花蓮。」
百川 花蓮。羽山とは中学からの仲。ショートでとてもクール。どちらかと言えばカッコイイ。
「そう言えば、最近は一緒に登校しなくなったが、何かあったのか?」
「ええ。1年1組に友達が出来てね、その子と話していたのよ。」
「へぇー!どんな子だ?そりゃ可愛いんだろ?私にも会わせてくれよ。」
「ん?可愛いも何も男よ?」
そう会話が弾む中、羽山がそう言うと百川は驚く。
「はぁ!?麗、お前彼氏がいたのか?」
「花蓮、私怒るわよ?第1彼氏がいたらもうとっくに花蓮に『処女卒業したわ』って伝えてるわよ。」
「そ、そりゃそうだよな。…よかった。でもじゃあ何で男友達がいんの?」
一部、不審な所があるが会話を普通に続ける2人。
「それはあれよ。いつも女子と話してても男子と話さないと流石に社会に出た時厳しいかな…と。」
「そりゃそうだよな。あははは。」
百川とはそんな話をした。
なんだかんだいって、羽山は彼女が一番仲が良い。
授業中は先生の話をよく聞き、板書は確実にノートに写すだけでなく、先生の言葉も書き込んでとても見やすくまとめている。
昼休みには弁当を早めに済ませ、屋上へと行くのが日課だ。また、羽山も一郎と同じく、屋上が好きなのだ。
その屋上に彼女がつくと、噂をしていた彼がもうそこにはいた。
「よう、羽山。ちょっといいか?」
「ごめんなさい。あなたが嫌いなわけじゃないけど付き合うことはできないから。」
少し食い気味で言う羽山がとてもわざとらしかった。
「そんな事言わねーよ。」
「フフッ。可愛い。」
「からかうな!」
そんないつものやり取りをかわし、一郎の本題に入る。
「実はな、夏休みに友達とキャンプ行くんだけど、お前も来ないか?」
「……まって、その友達とは私が知ってる人?」
「笹口って奴と雨流って奴だ。」
「って事は知らない人と行くと言うことになるのね。」
そう言う羽山は少し嫌そうだった。
まぁ、知らない人と遊びに何処かへ行くとなると少し気まずいのだろう。
「ダメか?」
「できたら行きたくないわ。でも、どうしても私と一緒にラブラブでアツアツなバーベキューがしたいと言うのなら仕方ないけど。」
「別にそこまでは要求しねーよ!変な言い方やめろ!」
またもやからかう。
それも意味深な言い方で。
「ならいいわ。行かない。もう君とはどこにも行かないし話したくもない。もちろん顔を見るのも嫌になりそうね。私は全然嫌じゃないんだから。」
「わ…わかったよ。お前、本当は行きたかったんだろ…。」
とても棒読みで言う羽山。
面倒くさそうに対応する一郎。
「別に行きたくなんかないんだからね。」
もう、それは機械のように気持ちが込められてはなかった。
読んで頂き誠にありがとうございます!
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これからもよろしくお願いします!




