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屋上からの景色

「キーンコーンカーンコーンッ」


昼休みの終わりを告げる予鈴のチャイムが鳴った時、2人はまだ、帰ろうとしなかった。


「い…いっちゃん?合格って…どう言うことよ?」


「それはまた後で言う。だから放課後、化学室に来てくれ。」


そう言うが、小田桐はまだ納得がいかない顔をする。それを見て一郎が吹っ切れて話し出す。


「…。」


「……分かったよ。たく、渚はいつまでも変わらないな。」


「何よ、いっちゃんだって全く変わってないじゃん。」


募穴を掘り、少し弱気になるが、話を続ける。


「とにかくだな、俺の友達に悩みを持った奴がいるんだよ。だから、お前に手を借りようとしているわけだ。」


大雑把に話すが、間違ってはいない。

それを聞くと、


「ふーん。分かった。いいよ。」


と軽く言うものだから少し不安だ。


「それだけなら、私もう行くね!」


と言い、屋上から去った。

小田桐がいなくなり、少し落ち着いた屋上。

屋上は落ち着ける場所だからとても良い。

そう、深呼吸を大きくする。


空を再び見上げるとまだそこには入道雲があった。


こう言う景色は好きだ。

と言うよりは青空に浮かぶ、雲が好きだ。


それに、ただ見上げると言うことではない。屋上から見上げると言うのが重要なのだ。

視界を遮るものが少ない。いや、ないに等しい。

それによって視界がものすごく広がる。


『最高の特等席』だと思う。


欲を言えば、コーヒーがあったらもっといいだろう。もちろん微糖。それを飲みながら見たらどれだけ幸せだろうか。今度から来る時に買って持ってこよう。


そうぼーっとしていた時だった。


「フフッ。予鈴が鳴ってるのにすごい余裕ね。」


「そう言うお前も人の事言えないだろ。羽山。」


「あら、声だけでわかるなんてすごいわね。」


その声は羽山だった。

もちろんイヤホンから聞こえるのではなく、実際に後ろから聞こえた。


「私もこの景色、好きよ。」


と、急に話し出した。


「人を上から見ているようで、素敵じゃない。」


「お前、他人をどんな風に見てんだよ。」


「他人をどう見ても私の勝手でしょ?まぁ、私は他人なんて興味はないけどね。あんな醜い生き物……。」



後ろでとても憎しい顔をしている彼女の表情など、前にいる彼はもちろん知らないが、少し怖い声で言うものだから、すかさず励ます。


「まぁ、過去にお前が他人に何をされたかなんて俺には関係も興味もないが、下ばかり向いてないでたまには上を向いてみろよ。悩みも少しは忘れれるぞ。」


「君は随分、お気楽だな。まぁいいけど、そのうち後悔することになるわよ。」


と言い、ただただ下を見続ける羽山。

決して上の青空は見ることはなかった。



放課後。

一郎が化学室に行頃には小田桐と鈴ノ音はいた。

とても楽しげに話している。

そこに一郎が入って行くと2人は彼にこう言う。


「あ…東さん…!あの…ですね…。小田桐さんが…アメを…くれました…!」


「もう一個あげちゃう!」


「わぁっ……!!」


1人は嬉しそうで、もう1人は幸せそうだ。

そんな2人を見て何も言えない一郎。


「キャラメルもあるけどいる?」


「キャッ…!キャラメル…!?是が非でも…頂きたいです…!」


「うへへへ。…最高じゃ。天国か?ここは天国なのか!?」


やばいほど可愛い奴1人とやばいほどキモイ奴1人が本領を発揮している。


「お、おい。俺を放っておいて続けるな。」


ようやく会話に入る一郎。


「あれ、いたの?まぁいいや。早く用件を教えてよいっちゃん!」


「モグモグッ…これが…キャラメル…♪」


「その前に鈴ノ音をどうにかしろ。」


幸せそうにキャラメルを頬張る彼女は天使の様だった。それを見た小田桐が昇天しそうになるのを一朗は必死に止める。


何とか鈴ノ音がキャラメルを食べ終えるまでしのいだ一朗は話を再開する。


「実はだな、鈴ノ音がさっき言っていた、俺の友達で悩みを抱えている奴なんだ。」


「えぇ!?そうなの?遥香ちゃん。」


「は…はい。実は私、『多重人格』…なんです。」


唐突すぎて困るくらい唐突な事実を彼女に突きつける。


「ちょ、ちょっと待って!本当なの!?」


「そうなんだ、それに遥香以外に3人も人格があるんだってさ。」


「そう…なんです…。長女…スミレお姉ちゃんはドSで、次女…真莉お姉ちゃんがドMで、三女…希お姉ちゃんがネガティブ思考…なのです。」


次々に驚くべきことを耳に流し込まれる小田桐。

ついて行けれない所か、めまいがしてくる。

先ほどまでノリノリだった彼女の勢いがここで断ち切れた。


「そこでだ!渚!お前の幼児好きで彼女達を圧倒させてほしいんだ!」


「は?は?はー?いっちゃんが何言ってるか分からないよ!」


とうとう小田桐の頭がパンクした。

頭が良くても、信じれない事を詰め込むとダメなのだろうか。


「はわわわっ……。」


そんな中、焦る鈴ノ音がまた可愛らしかった。

遅れてすみません。

読んで頂いて誠にありがとうございます!

もし良かったら、最初から読んでみてください!

これからもよろしくお願いします!

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