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妹同士

p.m.5:30

一郎と鈴ノ音は学校の帰り道に、一郎の熱い誘いに従って近くのカフェに寄っていた。

2人は向き合って、互いにコーヒーを頼み話していた。


「あのー。…なんでこんな事になったんですかね…。」


コーヒーの入ったカップを両手でチビチビと飲みながら話す。


「お前の姉に全て聞いた!事情も知った!だから友達を作ろう!お姉さんも羨むほどに作ろうぜ!」


「姉に…何か言われましたね…?」


ノリノリでコーヒーを飲みながら話していた一郎は彼女の言葉にビクッと反応してしまう。


「やはり…そうでしたか…。」


「ああ言われたさ、お前に関わるな。思っても出来な事をやすやすと口に出すなってね……。だから条件を出したのさ!俺はお前の友達を作ってやるってね!」


「…で、でも。東くんにそんな迷惑かけたくないし…。スミレお姉ちゃんには…私が言っとくからさ…。」


そう本人に言われると一郎はスミレに言われた事を思い出し、つい、意地をはってしまう。


「お前はそれでいいのか?鈴ノ音はこのまま友達ができなくていいのか?」


「そ…そりゃ。欲しい…けど…。」


すると、一郎は店員を呼び、ブラックコーヒーを一杯頼む。


「なら、努力しようぜ!大丈夫!俺がなんとかしてみせるって!」


「で…でも…。そんなに東くんは友達を作る自信があるの…?」


痛い所を突かれる。

第一、とても一郎は彼女を助ける側の人間とは言い切れない。彼もまた、鈴ノ音と同じ悩みを抱える1人なのだ。


「はっきり言って何にもないよ。」


「…!?だ…だったら、どうしようと思っているの……?」


そんな鈴ノ音が困惑状態の中、先程追加注文したブラックコーヒーが彼らの机に運ばれた。


「まぁ、聞いてくれ…。このブラックコーヒー、普通のブラックコーヒーだよな?」


「う…うん。」


「鈴ノ音、ブラックコーヒーと聞いて、どんなイメージがある?」


そう聞かれると、眉間にしわを寄せ、嫌な言い方で言う。


「うーん。苦くて…飲みにくい?とか…大人が飲むイメージかな…?」


「そうだよな。でも、ここに、ミルクや砂糖を入れて混ぜるとどうだ?」


と言いながら、言った通りブラックコーヒーにミルクや砂糖を入れてスプーンで混ぜる一郎。


「こうすれば、とても飲みやすくなるだろ?」


「う…うん…!」


「要はこれと同じなんだ。今の鈴ノ音はブラックコーヒーなんだよ!とても話しかけにくく、絡みにくい存在。でもどうだ?工夫やもっと言葉遣いを良くしたり、逆にこっちから話しかけたりすれば、それは少しでも和らぐんじゃないか?」


「……な…なれるかな?私にも…。」


少し暖かい表情でコーヒーを飲む鈴ノ音。

その目は希望の光で包まれていた。


「それはお前次第だ。でもきっと努力すれば楽勝だよ。」


「…ウフフッ。そっかー…。」


2人は仲良く話し、暖かい雰囲気を作っていた。

一郎はよほど、鈴ノ音の表情に癒されたのか、ケーキを彼女に奢ってあげた。

その全貌を窓の外から見ていた、東 栞が今にも暴走しそうなことにも気づかずに。


「…ね…ねぇ。東くん。さっきから窓の外でこっちにとてつもない殺気を向けて来る子がいるんだけど…もしかして知ってる子…?」


「うん?どの子…?…!?」


それに気づいていた鈴ノ音は一郎に聞くがそれはもう遅かった。

猛スピードで店内に入ってきて、一郎の隣に来る栞。


「あ、あれ?偶然だなー栞ー。どうしたんだ?」


そのわざとらしさ満載の言葉に万全な怒りをぶつける栞。


「あれれ?お兄ちゃん、彼女なんていたんだー。へーふーんそーなんだー。一発殴っていい?」


そう言って妹は兄の胸元をぐっと掴む

最後の言葉以外全く感情がこもっていない。


「ば、バカだな。栞、この人は知り合いなだけでそう言う関係ではないんだよ。失礼だろ。」


「へぇー。そうなんですか?」


鈴ノ音にふるが、彼女はそれどころではなかった。一郎が何か勘違いをされていて、迷惑をかけている責任感で彼女は固まっていた。


「…。」


それを見た一郎はとりあえず、馬鹿うるさい早とちり妹を静める。


「とにかく落ち着け。妹よ。兄の言うことが聞けないのか?」


「は、はい。」


愛しのお兄様に命令され、渋々黙る栞。

一郎は鈴ノ音に大丈夫?と一声かける。


「は…はい。すみません。」


と言うものだから、妹に説明を始める兄。


「あのな。この人は知り合いの鈴ノ音さん。人見知りな所もあるからあまり暴れないでくれ。鈴ノ音さんとは友達がいないって事で、一緒に真剣に考えてたとこなの。」


「そ…そうなんです。」


その説明を聞き、納得とまでは行かないが一様信じる栞。


「それは失礼しました。初めまして。妹のいや、妻の東 栞です。」


とても礼儀正しくするのかと思いきや、せっかく正した雰囲気をぶち壊す妹。


「…え!?」


「安心しろ鈴ノ音。紛れも無い嘘だ。」


「…そうですか。」


「嘘じゃないもん。もう、2人同じ部屋で夜を明かしたんだもん。」


「それ、無理矢理な?」


ボケの妹と、ツッコミの兄の兄妹漫才を繰り広げる2人だが、何を信じていいのやらわからなくなって来る鈴ノ音。


「よ…要するに栞さんは東くんの事が…好きなんですね…。」


「え…?」


少し想定外な返事が返ってきて驚く栞。

今までは言う人言う人、馬鹿にする奴や真面目に相手してくれる奴ばかりだった。

でも違った。鈴ノ音はそんな栞を肯定してくれたのだ。


「私…上手くは言えないけれど…私にも3人の姉がいて…優しくしてくれる姉達が私も大好きだから…その気持ち分かるなって…。」


片手を胸に当てて、思い出を頭の中で振り返っているのだろうか、とてもその気持ちが伝わってきた瞬間であった。


「鈴ノ音さん…。ねぇ、鈴ノ音さん。友達になりましょ!私にもその相談協力させて!」


「…遥香…でいいよ。ありがとう。私でいいのなら…こちらからもお願いしたいです…!」


2人は熱い握手をし、互いを認め合った。

そんな2人を見て、微笑む一郎なのであった。

すみません。前回、完結と間違えてしまいました。まだまだ続きますのでよろしくお願いします。よかったら最初から読んで見てください。

よろしくお願いします。

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