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気の強い長女と人見知りな四女

p.m.4:00

放課後になり、部活に行く生徒、帰宅する生徒、生徒会や風紀委員会に行く生徒などがいる中、

一郎は化学室に向かっていた。

羽山に言われた通り、アカウント名『四姉妹』と接触するためだ。耳につけたイヤホンでナビゲートすると彼女は言ったが、未だ応答がない。


「おーい。聞こえてたら返事しろー。」


内ポケットに潜ませてある盗聴器に向かって言う。

廊下にその声が響き渡る。

返事がないので、ますます不安になる彼はゆっくりと化学室に向かうのであった。


「…あ、ごめんなさい。今どこらへん?」


ようやく返事が返ってきた。

その声を聞くなり、ホッと安心する一郎。


「ったく。もう化学室の目の前だよ。いいか?入るぞ。」


そうコソコソといい、入室する。

すると、誰かいる。女子だ。

それも、小柄で、長髪でピンっと立った癖毛が目立つ。この人、見たことがある。

そう、昼休みに階段で会った鈴ノ音だ。


「…あれ?君がアカウト名『四姉妹』?」


すると、聞いたことのあるはしたない喋り方で………じゃない。とてもおしとやか。と言うより人見知りなのか、声が小さくてはっきりと聞き取れない。


「……は……はい。」


「そ、そうか。」


彼女を見る限り、鈴ノ音遥香で間違いはないと思うが、性格が違いすぎる。

2人きりの状態で本性を隠す意味があるのだろうか。いや、ないに等しい。


「お前……鈴ノ音遥香だよな…?」


その問いにビックリと驚く。


「……ぇ……す…う…あ…ですか…?」


「…ん?なんて?」


「……え……す…と…ぁ…ですか?」


「ごめん聞こえない…。」


そう言われて何かに気づき、カバンから何かを取り出す。


「え、ストーカーですか?」


それはメガホンだった。

メガホンを持ち合わせている人なんて初めて見たことは気にせず、ストーカーを否定する一郎。


「…んん?なんでストーカーなんだよ。俺は人生で一度たりともしたことねーよ。」


「だ…だって、私の名前知ってるから…。」


「何言ってんだよ。昼休みに会ったばかりじゃないか。」


「…?昼休み?」


どうも話が噛み合わない。

ついさっきとまでは言えないが今日の昼休みの事をこんな短時間で忘れてしまうものなのだろうか?それとも記憶障害?それが彼女の悩みなのだろうか。


「…あ。」


少し考えていると何かを思い出すように彼女は言った。


「もしかして…その時…私、少し気が強そうな感じ…じゃなかったですか…?」


「あぁ、そうだよ?」


彼女はないが言いたいのか。まるで、それは自分ではないと言うような口ぶりだ。でも彼はこの目で見たのだ。だからさおさらムシャクシャする。


先程から羽山からは何もないが、もちろん彼女の事をだいたい知っている彼女なら、この会話のこともわかるのだろう。知っているのなら早く教えてくれ。そう心で言う。


「やっぱり…。驚くかもしれませんが、それは…私の姉です。」


「は?」


「その際言いますが……私の悩みは『多重人格』…です。」


「…お……おう。」


またまた物凄い人が現れたものだ。

彼女は昼放課一郎と会った自分は『多重人格』のもう1人の自分と言うのだ。


「それも…1人じゃないです。…私の他に…3人も人格があります。」


「…え。なんて言ったらいいか分からないけど……うん…なんか凄いね。」


そう言わざるおえなかった。

とても、鈴ノ音の悩みが深刻すぎて、自分の悩みをなかなかうちだせない。


「私、4人姉妹の1番下で…。昔、4人でドライブに行ったんです。楽しくドライブをし終わり、帰る途中、交通事故が起こりました。原因はぶつかってきた相手の信号無視。その結果、私以外の3人の姉達は亡くなりました。それからです。私が多重人格に悩むようになったのは…。」


その寂しく虚しく説明する鈴ノ音。

おそらくその3人の人格は、亡くなった姉達であろう。


「姉達は…私みたいに人見知りじゃないから、元気に話すのですが。その影響で『鈴ノ音さんって外見の割にはすごく喋るのね。』と言って離れていく人ばかりで…。」


「まぁ…確かにそうなるよな。て言っても、その悩みを言うと、なおさら馬鹿にされるしな。」


「はい…。」


そんな、鈴ノ音の事情を知り、共感する一郎。

どこか、妹の栞と似ているところがある。そう感じた一郎は真剣に会話をする。


「まぁ、そんな鈴ノ音に比べ、俺の悩みなんて『普通すぎる』なんてくだらない悩みなんだが、お前を見てると妹を見てるようで放って置けないんだよ。」


「…あ…ありがとうございます。」


そう話しているとようやく羽山が喋る。


《そんなに放って置けないんだったら、もっと仲良くなることね。そうね…、スリーサイズでも聞いて見たら》


「おい、お前。ナビゲートするとか大口叩いておきながらそれはないだろ…!」


コソコソと話す一郎。


「…ん?なんか…言いましたか?」


「…ん!?何も言ってないぞ?…おい、どうすんだよ!」


再び盗聴器に向けてコソコソと話すと、返事がくる。


《だから、スリーサイズでも聞きなさいって。スリーサイズ。スリーサイズ。》


耳の中が「スリーサイズ」と言う言葉でうるさい。

そんな中、口が勝手にすべる。


「んで、スリーサイズは?」


口が勝手にすべるにしても、急な質問すぎて自分でも困る。


「…え!?……やっぱり…ストーカー!?」


恥ずかしくなりながら、はわわっと動揺する鈴ノ音。


「ごめん。許して。よりは忘れて。」


「そ…そんな事…今言われても……。」


そんな時だった。

刹那。窓から強い風が吹き、カーテンが強く揺れる。机に置いてあったプリントが辺りに飛び散る。


「あーあ。プリントが。」


それを拾おうと一郎が手を伸ばしたと思えば、鈴ノ音が、その手をぐっと握る。


「よぉ。東。先程ぶりだな。」


それは先程までいた鈴ノ音ではないと感じた。

昼休み会った方の鈴ノ音だ。

おそらく人格が入れ替わったのであろう。


「…お…お前は。遥香じゃないな。」


「フフッ。遥香から全て聞いたか。なら全てを話そう。私の本当の名前は『鈴ノ音 スミレ』。カタカナでスミレだ。私は鈴ノ音姉妹の長女。」


彼女は自ら名乗った。


「って事は年上ですよね。まず、タメ口きいててすみませんでした。失礼ですが、実際は歳は幾つですか?」


「おいおい。女にいきなりどうかと思うぞ。タメでいいよ。まぁ、今もまだ生きているとしたら25歳とすんなり答えるのだかな。」


「そうですか。こうして今も遥香の体借りて話したわけですけど、遥香の気持ち考えた事あります?」


「なんだよ。私が考えてねぇとでも言うのか?」


少し困惑した中、一郎はスミレに少し怒りを持っていた。それは、あまりにも身勝手すぎると言う事だ。


「そりゃそうですよ。妹の体借りてまでなんで自分の趣味と合う人を探してるんですか。」


「別に自己中心的にそういう行動をしているわけじゃねぇよ。私が遥香の体で探し見つかれば、それは遥香の話し相手になるだろ。それに、第一、お前さんには関係ない話だろ?」


言葉が見つからないとはまさに今の状況の事を言う。なんとも答えられない。答える自信がない一郎はただただ目をそらし俯いているだけだった。


「ほら、みやがれ。どうせ、遥香が可哀想がために、助けてあげたいがために、そんな中途半端な言葉が通じるとでも思ってんのか!?どいつもこいつもそうだ。もちろん、そう思わす遥香も情けない。」


「なら、言わせてもらいますが、スミレさんはその趣味の件で新しい友達は出来たんですか?」


「いや?出来なかった。だが!行動もしねぇで大口叩いてる奴よりはマシだ。正義感ぶってカッコつけて期待させておいて、逃げる。そんな奴今までいくらでも見てきたんだよ!」


「……なら、一週間待ってください。その間に俺が遥香に友達を作らせてあげますよ。」


少しムキになった一郎は交渉に入る。

だが、スミレも条件を出す。


「ハッ!マシな嘘もつかないのか?まぁ、いいだろう。その代わり、10人だ。それぐらいいて貰わないとこちらとて満足しない。まぁ、結果は目に見えているが、心の中でお前の無駄なあがきを見て、暇をつぶすとしよう。」


そう言うとまたもや人格が入れ替わり、遥香に戻った。


「遥香!」


急に名前を呼ばれ戸惑う遥香。


「いいか、革命を起こすぞ!」


読んでいただき、誠にありがとうございます!

もしよければ、最初から読んで見てください!

これからも『日常生活は何が起こるか分からない』をよろしくお願いします!!!

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