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ゾディアック・リドゥ  作者: 鎌里 影鈴
第一章 凡人と微睡みの少女
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第一章 エピローグ

湧き出るアイデアを今作品に使うか、新しい作品に使うか検討中。

鎌里 影鈴です。

短い文ですがエピローグを作成しました。

興味のある方はぜひご覧ください。

「はぁ……はぁ…………」


 白い(もや)がかかった森林の深奥。

 全身に多大な傷を受けたイルムは一人、ふらつきながらも何とか生き長らえていた。

 悲壮すぎる孤独感と砕けた骨の痛みが、精神と身体両方を蝕んでいく。

 もう死んでしまったほうが楽だ。そう頭に浮かんだイルムの目に、切り立った崖が見えた。


「あ、あ……」


 細い声を漏らしながら、ゆらゆらと崖の方へ足を運ぶ。

 そして崖の先に着くと、両足を止めふと夜空を見上げた。

 暗闇の魅力をいやに(きわ)ただせる満面の星が、視界いっぱいに映り込む。

 イルムはひとしきりにそれを続けると、やがてゆっくりと(まぶた)を閉じ、片足を一歩前に出す。

 踏み所のない足は下がり、自然と体が宙に落ちる――


「そこにいたんだ、『虚飾』」


 ――その直前、イルムは片足を出したまま停止し、ふいに声がした方を向く。

 巨大な(かま)を携えた、小柄なシルエットがそこにあった。


「あれあれ、もう死にかけじゃん『虚飾』。どしたの?」

「……別に、ただ私は何もかも失った身。――責務を果たせぬまま尽きることをお許しください――『暴食』」


 現れたシルエットを『暴食』と呼んだイルムは踵を返すと、再び目を閉じ、身を投じようとする。

 しかし――、


「だめだよ―勝手に死んじゃ、どうせ死ぬなら……残さないと」


『暴食』はそう言うと鎌を振り上げ、瞬く間にイルムの背を十字に切り裂いた。


「が……っ、ぁ……」


 イルムは苦悶の声を上げ、そのまま崩れるように足が地に離れる。

 意識が薄れるなかで、イルムは闇の虚空へと姿を消したのだった。

第二章は予告なしで気分的に投稿します。

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