愛の電波発信中
短編集・・・
「むむむ……」
「なにやってんの? なんかのパワーアップ前段階?」
隣に並んで歩いてる今にも気とか放ちそうな女、坂本千亜。中学の時からの付き合いで高校に入ってからもクラス替えとかでバラけない不思議な縁をもってる。
そんな千亜が隣でなんか唸ってる。金色になったりするつもりか?
「……はぁ、なんでわかんないかなー。そのアホ毛はなんのためあるの?」
「全くもって意味がわからん。というかアホ毛言うな」
「アホ毛でしょー」
唸るのをやめて俺にかまいだした千亜。身長差的にも背伸びしてやっと俺の髪に手が届く千亜は目いっぱい背伸びして千亜いわくアホ毛をいじろうとしてくるが、若干前のめりになってくるもんだから……、
「おっと」
「おっとじゃねぇよ。バランス崩してこけるくらいならやるなっての」
見事バランスを崩した千亜はそのまま前のめりに倒れ込んできた。小柄な千亜は正面から抱きとめればすっぽりと腕の中に収まる。
「もぞもぞ動くな」
「む……」
「おい、なにしてる」
「アホ毛が受信機能を持ってないならやっぱここかな」
人さまの髪になんて機能要求してたんだこいつは。
「で、俺の髪が受信機能持ってなかったらなんなんだよ」
「他のやり方で頑張る」
千亜はそういいながら人さまの胸にぐりぐりと頭を擦りつけてる。
一体何をがんばるって言うんだよ、お前は……。
「・・・いい加減受信してくれないかな」