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コロシタノダレ ~悪夢の学園と落とした記憶~  作者: まつだんご
◆サイドストーリーⅢ
41/43

29人目

 29人目、赤西アカニシ堅也ケンヤ


 彼、赤西堅也の過去で最も大きな出来事であり、忘れられない悪夢。それは今作黒幕である〝ドン釈〟との闘い。彼は半年前に一度、ドン釈を倒すべく闘った過去のプレイヤーの一人なのだ。


 半年前に行われたドン釈による〝ある実験〟もしくは道楽が、どのようにして行われていたのかは今のところ不明。しかし、その実験は何かの不具合により失敗に終わっている。


 赤西堅也がドン釈である可能性が0になった訳では無い。ただ、実際に彼と共に黒幕と闘った同士達が死んだ事実もある。第零話に登場した地下へ落下して死んでしまった男と、目隠しをされ、今やブラックルームと呼ばれる場所に閉じ込められてしまった男の二人もまた、赤西堅也と共にドン釈に闘いを挑んだ同士達になる。


 時間を半年前まで遡ってみる。


 場面は黒幕とその部下、暗殺組織らとプレイヤーらの闘い。その一部始終。


 場所は、赤とピンク一色が広がる大広間のようだが、どこか日常とは違った世界に立たされているような不思議な場所。見るものすべてが奇妙だと思えてしまう大広間。中央に大きなテーブルがあり、そのテーブルの周りにはチェスの駒のようなデザインがされた石彫刻や道化の鉄彫刻、銅像や大きな動物のぬいぐるみ等が幾つも並べられていた。それらは大広間中央のテーブルの椅子に座っている〝ある人物達〟を囲み、彼らをじっと見つめている。――銅像や彫刻らは合わせて30体はあるだろうか。


 彼らがこれから始めようとしている戦い方を一言で言えば【裁判】。【REDレッド ROOMルーム】と呼ばれる場所でその闘いが繰り広げられている。裁判中の議論で名前が出される第零話で登場した二人の男の名を公開しておこう。


 第零話で目隠しをされ、現在ブラックルームで監禁されている男の名は【小楽ショウガク華雄カオス


 第零話で地下で死亡してしまった男は【早乙女サオトメヒカル


 以下、過去のプレイヤーらと赤西、そして第零話に登場した目隠しをされた男、死んでしまった男らと黒幕との闘いの一部始終。誰がどの台詞を話しているのかは不明とし、議論内容も曖昧とする。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 ※議論開始(以下裁判の一部始終)


A「俺達が2Fの【ブラックルーム】に行った時間帯は午前4時半過ぎだ。その時間といえば就寝時間であって、此処のルールで就寝時間内の個室からの外に出る事が禁止されている。その事は此処に閉じ込められているプレイヤー全員が嫌と言う程分かった勝手な決まり事だ」


B「だったら何でてめぇらは罰を受けない?」


A「簡単な事だ。あの時計を見てみろ。あそこに掛けられている時計もそうだ」


B「時計?」


A「この建物に配置されている時計は昨晩に何者かによって、俺達が送っている生活時間を操作していた。腕時計も携帯電話も没収された俺達が時間を確認出来る方法はただひとつ。この建物に配置されていた時計だ。しかし、その時計が事前に何者かの手によって操作されていたとしたらどうなる?」


C「つ、つまりこの中で時間を操作した人物が居るという訳か!?」


A「そういう事だ。これが俺と赤西、それに小楽が就寝時間に出入りをしたにも関わらず、今なお罰を受けない理由の一つだ。そして時間を動かした本人だけが気付かないミス。犯人は自身の手で墓穴を掘ったのさ。奴は俺達をナメ過ぎだ」


D「何か思い当たった言い草だな。勿体ぶってないでさっさと犯人の名を言ったらどうだ?」


E「そ、そうだよ早乙女君!――ぼ、僕達には命が懸かっているんだよ!」


A「まあ待て。どうせ順を追って説明しないと納得してくれないんだろう?」


F「言っておくけど就寝時間に出入りしていたあんたらの容疑が晴れた訳じゃ無いんだからね!――あんまり勝手なマネをしているとあんたに投票するわよ!」


G「オヤオヤ〝榊原さん〟そんなに慌ててどうしちゃったんですか?」


F「あ、アンタは黙っていなさい!」


H「俺が気になっているのはさっきから黙りこくっている赤西君なのだが、話を進める前に僕から赤西君に一つ質問しても良いかい?」


赤「……何だ」


I「お前は黙っていろ。どうせまた〝有野をコロシタ犯人〟について追求するつもりであろう。今は有野をコロシタ犯人を裁くターンでは無い」


H「悪いが赤西があの時食堂に居た明確な理由が分かるまでは赤西も、赤西を肯定する奴も、信用出来ないんだよ!――今此処で赤西が何故、有野の死んだ死亡推定時刻に食堂に居たのか納得いくよう説明しないっつーなら、俺はこの裁判も赤西に一票入れる」


I「勝手にしろ!」


赤「その事についてだが……」


A「ん!?」


赤「俺は本当は食堂になんて行っていなかったんだ」


A「おい赤西!!」


赤「もう隠せる事じゃないだろう。今更俺の疑いが晴れたところで何の意味をなさないどころか、お前達の唯一の希望である疑いすら奪ってしまう。だが、これ以上誤魔化しの通じるような奴らじゃない。彼らも命懸けで闘っているんだ。俺達と何も変わらないんだよ」


A「赤西……」


J「そんな奇麗事はいらないんじゃ!――それに今有野殺しについて話してもしゃあ無いだろう!?――良いか、俺達がRED・ROOMを選んだ理由はただ一つ、〝貞子を殺した真犯人〟を探り当てる事だろうがぁ!」


K「ちょっと待ちな!――てめぇ、何であの死体が貞子だと判断出来る!――どういう事だ!」


 彼らの命懸け裁判は続く。この状況を作り出した元凶黒幕のドン釈が紛れている悪夢の裁判。半年前のある実験に取り入れられていた命懸けの裁判。そしてRED・ROOMと呼ばれる場所で殺人事件について謎を解こうとするプレイヤー達。そんな舞台に参加していた赤西堅也を初めとする数十人の人物ら。その中に居た小楽と早乙女光。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 何かが繋がっているようにも考えられるが、現時点では詳細は不明。最後に赤西の心に残る記憶内のダレカと赤西の会話。


 『なぁ、赤西。俺はこれから〝あいつ〟に殺されてしまうかもしれない。だけど心配するな。お前はもう分かっている筈だ』


「おい、どういう意味だよ光……」


 『後はお前に任せた。きっちり決めてくれよな。究極のカウンター喰らわせてやろうぜ』


「おい、待てよ光……ヒカル!」


 『死ぬんじゃないぞ』


「ヒカルッ!!」


 早乙女光は死んだ。あいつに殺されたんだ。


「お前の意思は受け継いだ。後は……俺がこの悪夢を終わらせてみせる!」

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