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コロシタノダレ ~悪夢の学園と落とした記憶~  作者: まつだんご
―エピソードⅢ― 「被験者と横峯悪魔」
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第二十八話 『 悪魔のオンナ 』

 休み時間


 場所は希望ヶ丘学園にて。時間は午前12時55分。三限目の授業が始まろうとしている時間まで進める。此処、希望ヶ丘学園の授業は90分で一日計4限分のコマを進めている。生徒達の受ける授業には必須科目と選択科目の2種類があり、本日月曜日の三限目からの授業は選択科目が主に授業として取り入れられている。高橋と椎名は選択科目が違うため、三限目以降は別行動をしないと授業を受けられない事になる。以下高橋と椎名、通信が繋がっている警察らとの会話。


「バシ高ちゃん次の選択科目なんだっけ?――ユッケ?」


「バ、バシ高の次の授業は180分授業の〝自然環境〟で校外授業になります」


「なぬを!?――校外授業ですと!?――それってかな~り危険な橋を渡るに決まってるじゃないッすか!」


「そうかもしれないですね。どうしましょう」


 警察が指示を出す。二人の耳に装着してある小型通信機より。


「学生の君らにこんな事を頼んでしまって申し訳無いのだが、今日のところは選択科目の授業はお休みにしてくれ。この状況で別行動をとるのは危険だ。それに校外授業中に奴らに襲われたりでもして他の生徒に危害を加えるかもしれない」


「そうですよね……」


「りょ~かい〝前っち〟」


「前っち呼ぶの辞めい!」


 ここは止むを得ず、三限目以降の授業をお休みする事になった高橋と椎名。そうと決まればここで二人は下校する事になるのだが、そこで発動されるプランA。


「君らは安心して下校出来るよう我々が全力でフォローさせて貰う。良いね。昨日言った通りに行動してくれ」


 高橋と椎名が互いに顔を合わせてから頷く。


 Aプランとは通信先で繋がる警察との間で計画された下校中の二人の行動と下校後の計画の大まかな流れとなる。その計画内容は、まず高橋と椎名が一緒に行動する事を前提とし、二人で舞園創の自宅に伺う。次に石川ナツの自宅。順番通りに訪問しながら敵の動きを伺うのと、二人の行方を捜査する事を目的とする。敵が動き次第に現行犯逮捕をする手筈だ。


 警察の情報によると、現在創とナツの行方は分かっていないとの事。警察が全力で二人の行方を探して既に三日が過ぎている。引き続き二人の行方を追う次第。他にも堂島快跳・死体の戦場むくろ・篠原すみれ・亀谷妙子・青葉博文・青田向日葵など行方不明者が続出している。


 ・舞園創の目撃情報は以下の通り

 三日前 有馬駅・戦場むくろの自宅付近・天野のセンター街途中新状2号線

 二日前 有馬駅・天野駅・旧湘南学園

 一日前 堂島快跳の自宅付近・某テレビ局・本人の自宅付近


 ・石川ナツの目撃情報は以下の通り

 三日前 有馬駅・戦場むくろの自宅付近・本人の自宅付近

 二日前 無

 一日前 希望ヶ丘学園・舞園創の自宅付近・高橋の自宅付近・椎名葵の自宅付近・堂島快跳の自宅付近・熊田威之助の自宅付近・神奈川留置場Seatの間付近・他


 道化の仮面に襲われた高橋と石川ナツ。高橋の体力が持たないと判断した石川ナツは、道化の仮面の追撃を一人で買う。その直後に道化の仮面が所持する拳銃の銃声が鳴る。目撃情報から見るに上手く逃げ切った可能性が高いと思われるが、本人は自宅に帰っていない。


 落ち着いたら警察に連絡すると高橋と約束するも、未だ彼女からの連絡は無い。警察も全力で彼女の行方を追っているが、不思議な事に、道化の仮面と石川ナツの両名、互いにパタッと消えてしまったかのように、手掛かりと思われる情報が有馬駅の目撃情報で最後。止まってしまう。


 警察が二人に出した指示はひとまず待機。


「良いかい。君達の事は我々が守り抜くと約束しよう。Aプラン実行の前にこちらから応援を呼んでおく。少しの間、学園の入り口にて待機しておいてくれ」


 場面移動

――――――――――――――――――――――――――――――

 横峯悪魔


 場所はとある建物の情報処理室。30台はあろうモニターを見つめる横峯悪魔。彼女の正体は希望ヶ丘学園入学式にて静かにしろと創にメッセージを送っていた謎のオンナであり、博打組の幹部ダイスのギャンブルコードネームを持つ黒幕サイドである。前の堂島和雄が言っていた話が本当ならば、博打組を部下に持った黒幕がドン釈となるので、彼女もドン釈直々の部下という訳だが。


 創の周りで起こる数々の事件に深い関係を持っているであろう悪魔の名を持つ彼女がターゲットにしているプレイヤー。それは……


 通信機を片手に部下に指示を送る悪魔。


「長官と話をつけたわ。これで彼女らを囲んだ連中も引かざるを得なくなる。それと彼女らはまだ学園内に居る筈よ。あなた達は〝二人〟の回収を急ぎなさい」


 通信機越しから。


「分かりました」


「それにしても……警察の中にもまだあんな馬鹿な連中が居たのね。担当警部補は鎌倉かしら」


「希望ヶ丘学園校門前にて高橋未来と椎名葵を確認しました!」


 場面戻る

――――――――――――――――――――――――――――――

 高橋・椎名葵


 警察の通信機が途切れてしまう。二人は慌てて小型通信機を外して装着し直す。その間に辺りを警戒しながら応答するよう頼むが通信先の反応は無い。


「あのあのあのあの?――前っち?――ちょっと、え?――ねぇどうしたの!?」


「応答して下さい!」


 二人が幾ら通信機に言葉を投げても返事が返って来ない。希望ヶ丘学園内や外を見回す高橋と椎名。その時気付くは学園内の方から日本刀を片手にゆっくりとこちらに向かって歩いて来る一人の和装女子の姿。学園の外からは黒の車から出てくる黒スーツの男4人。


「あの人達は!――葵ちゃんこっちよ!」


 黒スーツの男らから逃げようと学園内へ走る二人。先ほど見つけた和装女子に接近する!――とその時。


 腰にかけた鞘から刀を抜く和装女子。彼女から放たれる気迫と殺気。悪い予感がして黒スーツの男らから逃げようとした二人の足が止まる。


 振り返ると黒スーツの男4人が走ってこちらに向かって走って来る。その光景を見て思わず悲鳴を上げてしまう椎名の腕を引っ張る高橋。黒スーツの連中は間違いなく彼女らの敵。和装女子に接近してしまう事になるが迷っている暇は無い。賭けるしかない!


 再び走り出す高橋とそれに引っ張られるようにして進む椎名の先に構えるは、日本刀を持った和装女子。両方の距離がみるみる縮んでゆく!――余りの恐怖に思わず和装女子から目線を逸らして走る高橋。彼女の横を通り過ぎようとしたその時!


 パアアアアアン!――――銃声!?

 

 ――当たっていない。高橋と椎名に外傷は無い。状況を把握出来ずに思わず振り返る二人が目にするものは黒スーツの所持する拳銃と宙を舞う女!?


『はああぁぁぁ!――フウケンッ!』


 和装女子が空中を飛び跳ねて飛んでくる銃弾を日本刀で真っ二つに切る!――予想外な展開に次の銃弾を撃とうと男が拳銃を構えるが、その隙に金属針4本を男目掛けて投げ飛ばす和装女子!――その針は拳銃を構えた二人の男の利き手に命中!――驚いて思わず拳銃を落としてしまう男二人。次の瞬間、和装女子が足を思い切り空蹴りして草履を飛ばし、残りの二人の顔面に命中させる!


 あっという間に一人の男の目の前まで接近している和装女子が両手を伸ばして男の腹部に触れたかと思えば、5メートル先まで吹き飛ばされる。


「ごばがあぁぁあ!」


 吹っ飛ばされた男が腹部を抑えながらのた打ち回る。その威力があり過ぎたのか、とても立つ事が出来ない様子。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 重要人物 爾来也ジライヤ 伊吹イブキ(15)

 女性 身長161cm 体重50kg

 中学時代に中国拳法関東大会で優勝している

 黒髪に紫色の髪留め、夜桜柄の着物を着た和装女子

 希望ヶ丘学園1Fの新入生 学園には着物で登校している

 重要人物26人目!

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 何が起きているのか状況に追いついていけない様子の高橋と椎名。そんな二人を見かねた爾来也が二人に言葉を大声で投げる。


「逃げて早く私の気にする事はくれ!」


 ――――ん、私の気にする事はくれ??

 ――上手く聞き取りが出来なかったのか、この状況に戸惑う高橋。


「逃げて早く私の気にする事はくれ!」


「え?――え?」


「シッシ!」


 どっか行けと手で合図されてようやく逃げろと言われている事に気が付く二人。そうだ、今は立ち止まっている場合ではない。彼女らを狙う黒スーツの集団がすぐ目の前まで来ているのだ。逃げる他あるまい。椎名の腕を無理矢理引っ張り、学園内を全力で走る高橋!――逃げている最中に気付いた先ほど登場した和装女子が高橋と椎名を守ってくれたであろう出来事。


 彼女は一体何者であろうか。そして、通信が途絶えた警察達は一体何をしているのか!?――二人の回収を命令した影で暗躍する横峯悪魔の追撃が続く!


 斬撃と拳法を自在に操る和装女子、現る!

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