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コロシタノダレ ~悪夢の学園と落とした記憶~  作者: まつだんご
―エピソードⅢ― 「被験者と横峯悪魔」
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第二十二話 『 レデの仲介 』

 黒い家で一体何が!?


 戦場むくろ殺害事件の被害者、戦場むくろの死亡推定時刻まで遡る。場面は戦場むくろ自宅〝黒い家〟にて。戦場むくろの自宅に侵入した石川ナツは、戦場むくろに暴行を加え、体中をロープで縛って身動きがとれないでいた。石川ナツの目的は不明だが、戦場むくろが暴行を加えられる際に言ったある話がナツの怒りを煽っていく。その内容は以下の通り。


 『あなたの信じる〝架空の世界〟など存在しません。ドン釈は、架空の世界の信者を増やし、架空なので、現実ではとても恐ろしくて不可能な事さえ平然と遣って退ける。人間本来の欲に付け込み、自分をその状況下に置く事で、夢の世界を実体験出来る喜び、すなわち〝バーチャル世界〟が存在し得る。あなたの信じる世界と、それに身を置くあなたは、それを作った本人からすれば娯楽の駒に過ぎません』


 戦場むくろは、〝バーチャル世界〟を完全否定。その話を聞いた石川ナツは発狂し、身動きのとれない戦場むくろを何度も蹴る。


「あんたに何が分かるって言うのよ……そんなデタラメな話を私が信じるとでも思う?」


「信じる信じないではありません。それが〝真実〟です」


「自分の運命を恨んでるのね。誰のおかげで、今もあなたが存在出来ていると思っているのよ!」


「…………」


「あなたは既に死んでいるのよ!――〝あの御方〟の御恩を忘れてはいないかしら?――そんなつまらないデタラメが言える立場じゃないのよ!」


 そう言いながら、ポケットから粉薬の入ったプラスチックを取り出すナツ。


「あなたには、他にやるべき事があるわ。今は駒でも?――それが真実?――結構結構。それでも私は、あの御方を信じるわ」


「な、何をするんですか!?」


「〝由香里〟。ニ、三日死になさい」


「やめて!!」


 体中ロープで縛られているため、身動きがとれない戦場むくろ。彼女の正体は、6年前に希望ヶ丘学園での悲劇の歴史、桜ヶ丘襲撃事件を引き起こした張本人、【篠原由香里】なのだ。その事件の際に既に死亡している筈なのだが……


「ううぅぅぅぅ」


「これで人に殺されるのは〝二度目〟かしら。フフフ。」


 場面変わる

――――――――――――――――――――――――――――――

 希望ヶ丘学園学園長室


 学園長室に居るのは、菊池昭造一人。電話で誰かと会話をしている。通話相手は【レデ】と呼ばれる組織。


 ――レデとは、仲立人、独立の第三者としての立場にしてその業界のトップの仲介組織。主な活動は、他人間の商行為の仲介を営業。代理商のように一定商人に従属するものでなく、自由に市場をかけ回って売手のために買手を探し、買手のために売手を求めて取引の仲介行動をする。


 単に取引の相手を探求し紹介するだけでなく、両者の取引契約を円満に実現させるよう誘導し、これを成立させるために努力し、その成約に当たっては証人となる義務をもち、その仲立行為が成功したときは契約書に署名するものである。


 近代、世間にレデの存在が知られるようになってから、彼らの謎は少しずつ明かされるようになってきている。レデの正式名称は【REDE】。一部の意見は以下の内容。


 『世界の硬貨やお札にレデのシンボルマークが隠されている。彼らはそれほど大きな組織であると予想される。我々の理解を超えている』


 ――レデについては、ここで一旦保留にしておく。


 そのレデと何やら取引をしているのが希望ヶ丘学園長の菊池昭造。その会話の一部始終。以下レデ組織の〝ある人物〟と菊池昭造の会話より。


「キミのキョウリョクもあってー、キボウガオカガクエンに〝カレら〟がシュウケツしてくれたのねん。カンシャカンゲキなのねん!」


「それで篠原姉妹は無事なんですね?――早く彼女らの声を聞かせて下さい」


「それはまだデキないねーん。アツめただけじゃナンのセイカもナいのとオナじ。これからハジまるんだよ」


「…………」


「たったイマ、セイフのチョウシュをオえたトコロでね、ナンなくスルーしてみせたよ。――プレイヤーコウホは300ニン。エキストラワクもフクめると、500ニンイジョウになるからね。そのナカから〝30ニン〟をエラぶワケだからー、もうスコしジカンがかかりそうなんだなー」


「私に反逆の意思は無いです。くれぐれも学園の〝正規生徒〟には手を危害を加えないようにと伝えておいて下さい」


「わかってるよん。――とはイってもプレイヤーをエラぶのはボクじゃないんでね……そのヘンはね、トリヒキのジョウケンとしてアイテにテイジしておけばイいかな」


「…………」


 菊池昭造とレデ側の人物の意味深な会話は続く。レデ側の人物の声は、どこかで登場した人物の声に似ているものがあるが……


 ――二人の話をまとめると、6年前に死んだと思われる篠原由香里(現在〝戦場むくろ〟の偽名を使って生きている)を何らかの形で保護している取引相手が存在し、レデがその取引相手と希望ヶ丘学園の仲立を引き受けている様子。反逆の意思は無いと言い切る菊池学園長。


 レデ側がある人物から受けた依頼は〝ある実験計画〟。それを遂行するための環境を提供するよう希望ヶ丘学園に条件を出す。その実験はかなり前から計画されていたものらしく、実験体を選抜するために用意した500人の被験者の中から30人のプレイヤーを選びたいとの話。そのためには、被験者が出来る限り同じ場所に集めておく必要があるらしく、その舞台に選ばれたのが希望ヶ丘学園らしい。


 今年の新入生の中には〝正規の生徒〟と〝被験者の生徒〟の2パターンに分かれるとの事。今年の希望ヶ丘学園入学式は上記2パターンの生徒に分けて行った。被験者の生徒は正規の生徒の入学式にも参加している。


 レデが依頼を受けた取引相手と希望ヶ丘学園との間で内密な取引が行われているようだが、上記の内容の限りだと取引相手が篠原由香里関係のある重大な情報を握っている様子で、希望ヶ丘学園に一方的な条件を出してきているように見受けられる。


「――イマがケイカクをジッコウにウツすトキねん。ツギのレンラクをマってなさい★」


「…………」


「カネはキミのコジンコウザにオクればイいのかな?」


「金など要らない。――それより、彼女の安否を確認したい。私からの条件はそれだけだ」


――――――――――――――――――――――――――――――

 後に起きた戦場むくろ殺害事件に加え、道化の仮面の希望ヶ丘学園内侵入。


 更に時間を進める。


 第二十話まで進める。場面は戦場むくろ自宅周辺。堂島和雄と繋がりを持つ桜雪は、堂島和雄の指示通り戦場むくろ自宅周辺に到着。


「ハアハアハアハア」


 走る桜雪。彼女が探しているのは道化の仮面の男と、それに襲われている女子生徒2人。堂島和雄の情報を手掛かりに戦場むくろの自宅方向へ走る。――とそこへ数台のパトカーが通り過ぎる。一台のパトカーが桜雪に声を掛ける。


「君、待ちなさい!――この先で、拳銃を持った男の目撃情報がある!――此処は危険だから直ちに非難しなさい」


「――乗せて」


「え?」


「乗せてと言っているの」


「すまないが一秒でも早く犯人を捕まえる事を最優先とする」


「――私が対応します」


「ん?」


 パトカーから降りてきた一人の警察。それに対し


「保護して貰おうだなんて頼んでないわ。もう良い、勝手にする」


 そのまま走り出してしまう桜雪。とその時!


「うううがあああぁぁぁ!!」


 桜雪の様子がおかしい。突然頭を抱えて発狂する。そのまま倒れ込む彼女の身体はひどく震えている。傍に誰かいるわけでもない。当然道化の仮面に襲われたわけでも無いのだが……酷く苦しんでいる。


「こんな時に……ううう……チクショウ……」


 突然襲われる身体中の痺れ。突然やって来る自身の身体の異常にパニックになってしまう。力を振り絞って携帯を取り出し、誰かに電話しようと試みるが……そこで意識を失ってしまう。


 一方その頃。


 警察に保護されているのは路瓶孫と人質B。人質Bの正体は、道化の仮面に人質として監禁される前に行動を共にしていた〝亀谷妙子〟だった!


「〝シノ〟はどうなったべ、シノ何処に居るか知らねぇべか!?」


 道化の仮面に襲われた際に、亀谷と路瓶と行動を共にしていた〝篠原すみれ〟。彼女の居場所を警察に聞いている。


「シノは無事なんだべか!?」


「…………」

 路瓶は、ポケットから一枚のメモ用紙を取り出す。篠原すみれから受け取ったもの。篠原よりそのメモ用紙は以下の内容。


 『俺達を尾行している謎の監視者がいる。だべ子を連れて逃げて』


「…………」

 そのメモ用紙を見つめている路瓶。篠原すみれの警告があったにも関わらず、敵に背後を取られて襲われてしまった3人。相手は暗殺のプロのようだが彼らの目的は一体。


――――――――――――――――――――――――――――――

 場面は変わる。使われていない廃工場にて、舞園創と倉雲マーマレイドの前に現れた赤西堅也の会話より。


「じ、じゃあ……マーカマさんも、ここで堂島快跳の死体を発見する事を、予言していたという訳ですか?」


「信じられないでしょう……ハアハア……無理も無いわ」


「…………」


「――信じられる訳無いじゃないですか!――何が予言ですか、そんなの納得出来ませんよ!」


「予言……では無いと考えた場合、新たに信じられない疑惑が浮上するのだが……」


「――疑惑?――他に心当たりがあるんですか」


「ハアハアハア」


「――何者かが、私達を此処へ導くヒントを与えた……あるいは」


 ――その時。携帯電話が鳴る。辺りを見渡す創ら三人。彼らの着信音では無いようだが。


 ――3人は携帯の鳴っている所有者に気付く。堂島快跳の死体から鳴り響く携帯電話。恐る恐る堂島の死体に近づく赤西。


「…………」


「――待って……ハアハア……罠かもしれないわ」


 右腕の出血を、抑えながら赤西を止める倉雲。


「君は下がっていなさい」


「…………」


 周りを確認してから死体の所持品を慎重に確認していく赤西。携帯の着信音は、確かに死体から鳴っているのだが、上着のポケット、ズボン、死体付近の何処にも携帯電話が見当たらない。


「靴?」


 堂島の靴を脱がし、靴下を脱がすとカランと音を立てて床に落ちたのは着信中の携帯電話!――どうやら、靴下の中に携帯を隠し持っていたようだ。すぐに発信者を確認する!


「もしもし!」


 電話の相手は!?

 ※後書き

 少し読点が多いとのご指摘を受けましたので修正しておきますね!

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