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コロシタノダレ ~悪夢の学園と落とした記憶~  作者: まつだんご
―エピソードⅡ― 「監視者と道化仮面」
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第二十話 『 試験合格 』

 舞園達を監視するモニター!


 舞園創とマーカマが向かった先は、人気の無い不気味な廃工場。そこには、3時間前に探偵の路瓶孫と人質が居たと思われ、その黒幕は希望ヶ丘学園を襲った二名の道化の不審者の1人のようだ。舞園創は路瓶から連絡を受け、不審者の目的を知ったかのように思えたが、不審者が狙うのは何と創の幼馴染の石川ナツ。


 事態を知った創は、マーカマに不審者と石川ナツのいる戦場むくろ自宅へ引き返すように頼んでいたが、マーカマは事態が悪化すると言い、創が戦場むくろ自宅付近へ引き返すことを許さなかった。代わりに同時刻に戦場むくろの自宅で戦場むくろ殺人事件の捜査をしていたマーカマの部下の警官達に、石川ナツの身柄を確保するよう命じ彼らを動かした。


 マーカマは敵の情報を少しでも引き出すため、3時間前に路瓶と人質がいると思われる場所、廃工場内への進入を試みたのだが……そこには小型の爆弾などの仕掛けに加え、ある人物の死体を発見してしまった。爆弾の被害に遭ったマーカマの右腕は大量出血をしていて、死体を発見した創は、パニック状態に陥っていた。その死体の人物は希望ヶ丘学園生徒であり、舞園創のクラスメイトでもある〝堂島ドウジマ快跳カイト〟だったのだ。


 パニック状態になり、その場で腰を降ろしてしまう創。その様子をモニターで監視する2人の謎の人物。1人はピエロメイクの人物【スマートリー】。もう1人は……第一話の入学式中に登場した静かにしろとサインを送る謎のオンナ!


「どうするのー、まーだツヅけるのーん?」


「シーー。今良いところなんだから」


「むぅ」


「それよりスマートリー。よく見なさい。あの子はどうやら自分が置かれている立場に気が付く様子よ」


 モニター越しに映る創とマーカマの姿。マーカマは右腕を押さえ、創はマーカマに何か語りかけているようだ。マーカマが何やら焦っているように見える。その直後に創が立ち上がり、何やらメモ帳のような物を広げてマーカマに見せていた。


「おいおい、これじゃぁこのセカイのコトがバレるのもジカンのモンダイなんじゃないのかい?」


「そうね」


「こーんなザコエキストラの〝ワカゾウ〟が、ゲームのサンカシャのヒトリメにエラばれちゃうの。それでイいの?」


「雑魚でも何でもないわ。これは【釈様】がお決めになったルールよ」


「そうだけどさぁ、なーんかチートカンがイナめないよね~ん」


「あの警官が集めた情報を横取りした彼のこの結果に納得いかない?」


「ナットクいかないよーん。だってカレはただの【エキストラワク】なんだよ。そんなヤツが、なんでイチバンに【シャクちゃん】の【シケン】にゴウカクするナガれになってるのーん?」


「見なさい」


 モニター越しから、響き渡る舞園創の声。


「マーカマさん、答えてくれよ!」


「ボ、ボウヤ……急にどうしちゃったのよ?」


『どうしたじゃない!――アンタはこうなることを全部〝予知〟していたんだ!――このメモ帳が全てを語っている!――見てみろこの日付!――あんたは戦場むくろが死ぬ数日前には、既に戦場むくろ殺しについて調査しているじゃないか。一番最新メモの内容はこうだ!……廃工場で死体を発見する。それも人物のアルファベットまで丁寧にメモしてある!』


「…………」


『どういう事だ。アンタはこうなることを予知していたって言うのか。何で堂島快跳が此処でで死んでいた事をアンタは前から知っていた?――答えてくれ!!』


「…………」


「舞園創!」


 誰かが部屋の入り口から創を呼ぶ。


「ダレだ!?」


 創を呼び止めたのは、例の道化の仮面の不審者が希望ヶ丘学園に侵入した際に現れた黒のロングコートの男〝赤西賢也〟!


「どういう事だ。何で君が堂島快跳の死体を発見する?」


『な、何だ?』


『彼の死体は俺が発見する筈だ。俺の〝予言〟に間違いはない筈」


『――予言だと!?』


 突然現れるや否や予言について話を切り出す赤西。モニターを見つめるスマートリーと謎のオンナの会話。


「こいつは思わぬ人物の登場ね。――これで決まりかもしれないわよ」


「むむぅ」


「今空いているイスは全部で11。1人目の【早乙女サオトメヒカル】が死んでしまった今、舞園君が1人目に割り込み合格だとして、21人目に【鎌倉】を入れるとイスは残すところあと9つ。赤西がそのままいくかな?」


 モニターの右にある大きな画面が点滅している。そこには文章で以下の内容が書かれている。


【合格者名簿・エスケープチケット獲得おめでとう!】

 1人目.早乙女サオトメ ヒカル(死亡) → 舞園マイゾノ ハジメ

 2人目.石川イシカワ 奈津ナツ

 3人目.高橋タカハシ 未来ミライ

 4人目.路瓶ロビン 亮介リョウスケ

 5人目.舞園マイゾノ 桜雪サユキ

 6人目.堂島ドウジマ 快跳カイト

 7人目.椎名シイナ アオイ

 8人目.松本マツモト 蕎麦子ソバコ

 9人目.熊田クマダ 威之助イノスケ

 10人目.篠原シノハラ 由香里ユカリ

 11人目.篠原シノハラ すみれ

 12人目.亀谷カメヤ 妙子タエコ

 13人目.米山ヨネヤマ 恵斗ケイト

 14人目.青葉アオバ 博文ヒロフミ

 15人目.山本ヤマモト カルロス

 16人目.路瓶ロビン ソン

 17人目.島村シマムラ 佳奈カナ

 18人目.シャク 快晴カイセイ

 19人目.花丸ハナマル 家康イエヤス

 20人目.菊池キクチ 昭造ショウゾウ

 21人目.鎌倉カマクラ 雲人ユクト


 その画面を見ていたスマートリーが一言。

「うわぉ。ワカゾウがすでにゴウカクしてる」


「これで彼も、釈様の試験に合格した立派な〝参加者〟の1人に決まったわ」


「どうやらカレのコウドウにはシャクちゃんのワラいのツボでもあるらしいね。シャクちゃんにキにイられてるのかな」


「アナタ、この中のどなたが釈様なのか知らないでしょ」


「少なくともワカゾウはシャクちゃんじゃないもん★」


 2人の居る部屋の奥にも扉があるようだ。この部屋には約30人を監視するモニターが配置されていて、その幾つものモニターを監視するピエロメイクのスマートリーと、希望ヶ丘学園入学式の際に舞園創の前に現れた謎のシーのオンナ。――そこへ2人の人物が入って来る。


「ただいま戻りました」


 現れたのは、道化の仮面を顔に付けた2人の不審者。


「おうおうおツカれさま★」


「思ったより早かったのね?」


 2人は道化の仮面を外す。その2人の素顔は!


 第零話で登場した目隠しされた男と、創の幼馴染の石川ナツ!?


「アンタの一押しの男の子、たった今合格したところよ。良かったじゃない」


「へぇ。ハジメも〝あのゲームの参加者〟になるのかぁ」


「それで、ん?……ジンゾウワクのコはどうしたの?」


「それが、先程プログラムには組み込まれていない出来事が起きまして……」


「んん?」


「【高橋未来】が個人電話を入手していました」


「ほぅ、あいつがケータイを!?」


「はい。私も驚きました。彼女は、人間でも何でもない【ドン釈様】が御造りになられたプログラム上のただの〝架空人物〟の筈なのに……」


「あの子、既に自分の意思を持つようになっていたのね」


「やっぱイッカゲツの〝シケンキカン〟はナガかったんじゃナい?」


「ん、お前ら!……合格者一覧モニターを見なさい」


「ん?」


 そのモニターが点滅し、合格者一覧の空席欄に30人全員の名簿が一気に埋まっていく。


「あら、キまっちゃった?――サンカシャ30ニン」


「急ね。まさかこの1日で11人の合格者が出るなんて」


「あ、れ?――これはどういうワケなのかな~??」


「ん?」


「どうしてボクのナマエまでハイってるのかな~?」


「なっ、なんで私の名前が載っていない!――どういう事だ!?」


 名前が載っているスマートリーに対し、名前の載っていない〝男〟


「――ん?」


「…………」


「あそーか★キミはウラミッションにシッパイしたんだ!――それにしてもニンズウアわせにしては、おかしなナンバーでノっているね」


「何でだよ!?」


「おマエはキボウガオカガクエンのニュウガクシキで、さっそくやらかしてくれたよね?――プレイヤーのヒトリにおマエのソンザイがバレたり?――バーチャルワールドのサーバーナイにウイルスをオクりコまれてしまれたり??――そのせいでAグミのキョウシツがヘンなトコロにハイチされてしまうジタイになって??――スキだらけのマヌケのせいで、ニュウガクシキジダイをリセットするハメになったんだよね?」


「そ、それは……」


「ワスれたとはイわせないよーん★」


「釈様はスマートリーを大変評価されている。初めからお前は参加者の1人に選ばれていたのかもね。くれぐれも釈様の期待を裏切るような真似はしないでくれよ」


「むむ」


「ふ、ふざけるなあああ!――【バーチャル世界】とは言え、俺は……俺は人を殺してまで忠実にミッションを進めてやったんだぞ!?――こんなのおかしいだろ!――納得いかない!」


「そのバーチャルセカイでシッパイしたザコのキミが、これからハジまるゲンジツセカイでの【エスケープゲーム】のナカでイいケッカをノコせるとはとてもオモえないんだけど?」


「ふざけるな!――お、俺にもドン釈と戦わせろ!!」


「――こいつどうするよ?」


「〝ブラックルーム〟にしまっておいて」


「はいよん」


 その男の叫び声が部屋中で響き渡る。彼はスマートリーに引きずられるようにして〝ブラックルーム〟と言われる場所に連れていかれたようだ。


「あの、バーチャルゲームとはいえ、死人が出た場合その方はどうなるのです?」


 ナツが謎のオンナに問いかける。


「その人の脳の働きを完全停止状態させるわ。――今呼び起こせば命までは落とさずに済むと思うけれど。――そういえばあなたも1人殺したんだったわね」


『はい。戦場む……【篠原由香里】ですね。命じられた通りの方法で殺しました。後は【路瓶亮介】を意識不明状態にして【植物枠】済みです』


「分かっているわ」


「――30人の参加者の中にはバーチャル世界で死んでしまった方もいます。その方々はどうなさるおつもりでしょうか?」


「とりあえず意識は戻らないようにしてある。ルールの全てを釈様がお決めになられるから、あの御方にお任せしてあるわ。つまり、ゲームが始まれば分かるって事よ」


「参加者は30人全て決まりましたよね?」


「そうね。急な合格者続出を見ると、釈様は〝前置き〟の試験期間に飽きられた御様子」


「始まるんですね」


 今まで起こった数々の出来事が現実に戻った30人の推理を一変させ、死んだはずの人間が目の前に居て、恨むべき人間をいつでも殺す事が出来る環境に置かれ、仲間だと思っていた人間の裏切りが始まり、本名や個人情報が謎だった人間を知ってしまう情報網に立たされ……その上、逃げ出すことが困難な状況の中で黒幕であるドン釈がプレイヤーに交じり潜んでいる恐怖。絶望的な脱出ゲーム。


 生き残り脱出ゲーム。その名も『フレームデッドゲーム』

・プレイヤー30人

・プレイヤー2人意識不明

・ゲーム期間は30日間

・脱出するかミッションをクリアした者だけが勝利

・黒幕【ドン釈】が30人のプレイヤーの中に紛れています


 プレイヤーVS黒幕の生き残りゲームが今始まる!

 ★エピソードⅡは以上となります。

 重要人物生存者残り29人(28人)

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