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コロシタノダレ ~悪夢の学園と落とした記憶~  作者: まつだんご
―プロローグ― 試験(序章)
1/43

第零話 『 敗北した男  』

 コロシタノダレ?


 第零話は今作の最大の宿敵〝黒幕〟に挑んだ男の末路のお話。後に登場する主人公の舞台より半年前までさかのぼる。


 赤とピンク一色が広がる空間――大広間のようだが、どこか日常とは違った世界に立たされているような不思議な感覚。見るものすべてが奇妙だと思えてしまう大広間。


 中央に大きなテーブルがあり、そのテーブルの周りにはチェスの駒のようなデザインがされた石彫刻や道化の鉄彫刻、銅像や大きな動物のぬいぐるみ等が幾つも並べられていた。それらは大広間中央のテーブルの椅子に座っている〝ある人物達〟を囲み、彼らをじっと見つめている。――銅像や彫刻らは合わせて30体はあるだろうか。

 

 テーブルに座っている人物らは、そこで何やら討論し合っているように見える。その様子を、大広間の上にある個室の窓から見下ろしていた男。その部屋の電気は点いておらず、暗くて男の顔は分からない。


 腕時計の時間を確認する男。時間は午前2時10分。その男は腕時計の時間を確認しながら大広間の様子を見ていた。しばらくすると男がボソボソと〝何か〟を口ずさむ。


「5……4……3……2……1……」


 男が何かを数え終えようとしたその時!――男の背後にいる"ある人物〟によって男の視界は遮られた。


「え、おい、何だ!」


 背後にいる人物によって目隠しをされた男。個室の電気を点ける背後の人物。中は何とも荒れている様子。目隠しをされた男は、すでに体中をロープで縛られていて身動きが取れない状況。


 男の背後に立っている目隠しをしたと思われる人物――その人物の顔は、白と赤色が目立つピエロメイクをしている。


「ナンだじゃないよーボウヤ★」


 ピエロメイクの人物が口を開く(ピエロの台詞には特徴があります)。


「んん?」


「おマエ、こんなトコロでナニをしているのかなー?」


「何をしている?――良いから続けさせろ。ミッションは必ず成功させる。もうしばらく俺に時間をくれ!」


 不気味に微笑むピエロメイクの人物は、男の反応を見て面白がっているよう。以下男とピエロメイクの人物二人の会話。


「早くこの目に巻いたの外せ!――何も見えない!」


「それはデキないよ?」


「何?」


「だってオマエ、ワかってないじゃん。オマエはナンのシンソウにもタドりついていないよね~」


「あ、あ、あの中だ!――大広間にいる奴らの中にいる。そこまでは分かっているんだ!」


「それでもボクにミつかったよね~ん」


「待て、待ってくれ!」


「【シャクちゃん】からの〝ウラミッション〟でね。キミをミつけしだいマッショウするコトになっているんだ★」


「裏ミッション?」


「ワルいけど、ボクもシャクちゃんにはサカらえないからね~ん。キミはこれからフホンイなシにカタをするコトになるんだけど、サイゴにナニかイいノコしたいコトでもあるかい?」


「ふざけるな!――は、離せ!」


「キミはシャクちゃんにマけたのだよ~ん。さっさとハジめちゃおう★」


 話をまとめると、ピエロメイクの人物はどうやら〝男〟が何らかの裏ミッションによる真相に辿り着けなかったがために抹消するようシャクと呼ぶ人物から命じられたとの事。抹消とはつまりそういう事なのであろう……


 個室の床が突然開く――と同時に悲痛な男の叫び声が部屋中に響き渡る。それを耳にしたのは先程目隠しをされた男。〝落下している人物〟と〝目隠しをされている人物〟。この個室には、ピエロメイクの人物と目隠しをされた男の2人しか居ないはずだが、確かに聞こえたもう一人の男の叫び声。それはピエロメイクが、大きな黒い布がかけられた物を丸ごと床穴に投げ捨てた直後に聞こえてくるものだった。目隠しをされた男が抹消されるのでは無いのか!?


 〝叫ぶ男〟は両手両足をバタつかせている――落下先にあるものは!――上から見て分かるピエロのマークが描かれた巨大なトランポリン。


「トランポリン?」


 叫ぶ男が次に目にしたものは黒い扉。その扉は【ブラックルーム】と書かれ、出口はこの先と案内書きがしてある。扉は落下先のトランポリンからそう遠くない場所にある。――着地さえ上手くいけば逃がしてくれるという流れか。トランポリンに接近する男は、これから起こるであろう出来事を一瞬の間にイメージさせながら両手を伸ばして着地点へ落下する。落下の際に言った男の台詞。


「おい【ドンシャク】!――俺はお前を絶対に許さない!――お前の悪事を暴いてやるから覚悟しておけ!」


 誰かに向かって言葉を投げているようだ――だがしかし、着地目前――構え!……着地すると同時に男の叫び声とは別の重たい音が鳴り響く。巨大トランポリンに見えたその床は……


 トランポリンに見せかけたただのコンクリート。地下まで落下した男の体、地下全体に赤い血が飛び散る、男の見るも耐えない姿。


 ――誰かの声が、地下の真上から誰かの声が聞こえる。


 ――〝それ〟は次第に笑い声に変わっていき……


 ――徐々に声量を増していく!


 ピエロメイクをした人物の笑い声が男の血で染まった地下に鳴り響く。この一連の流れには明らかな〝矛盾点〟がある。目隠しをされた男とピエロの行動。物語は半年後まで進める。

 

 ――記憶障害と闘う一人の男子学生と、その周りで起きてしまう殺人事件。そして〝彼ら〟を監視する謎のオンナのお話へ。


 コロサレタノダレ?

 ※後書き

 このお話の中で登場した人物は全部で3人。ピエロメイクの人物とピエロに目隠しをされた男、そして地下に落下して死んでしまった男。この3人は、後々再登場します。

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