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ソウル  作者: 宮川心
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SET0部隊 顧問 清水恭介5

 SET0部隊 顧問 清水恭介5


「SE監視機関にSET0という新しい部隊を創設すべく動いておる。今そのメンバーを探していて、是非君に参加してほしい。」


 急な話に戸惑う。SET0ですと。現在SE監視機関にあるSETソウルエナジータスクフォースは11部隊ある。それに新たに1チーム追加するということか。


「いや。単にチームを追加するのではない。SET0は従来の命令系統に縛られない部隊として発足する。公式には存在せず、自由に動きまわる部隊として活動する。」


「つまり、公に命令できない作戦を遂行するということですね。SET0の立案者はどなたですか?どのレベルの人間までがSET0の事を認知しているのですか?」


「SET0の立案者は私だ。わしが引退しようとした時に、みんなが引き止めるもんじゃから、残る条件として自由に活動できるようにSET0を作りたいと言ってみたら、OKが出た。言ってみるもんじゃな。」


 清水会長は楽しそうにそう言った。簡単そうに言うが、そんなむちゃな要望を通してでも残したい強者という事。やはり、猛者が揃う上層部からも一目置かれているのだ。佐藤教官は気を引き締めた。


「SET0の存在を認知している者は、最高評議会の議員5名と議長1名と、わしの計7名のみじゃ。おっと、今からおぬしも加えて計8名じゃな。」


 最高権力者しか知らない本当のトップシークレットじゃないか。


「どうしてそのような極秘部隊に私が選ばれたのですか。もっと優秀な人はいくらでもいますよ。」


「まあまあ、そう謙遜するな。わしも適当に選んだわけではない。わしから見て、おぬしが必要だと思ったから選んだのじゃ。それに、互いにとって良い選択肢だと思うのじゃが。わしが顧問を務める部隊じゃから、隊員の指導もわしが本格的に関わる事ができる。わしも候補に入れていた佐藤教官を迎えられる。」


 確かにそれなら、問題なく指導が受けられる。しかも、清水会長の下で、伴に現場で働けるなら、単なる訓練では学べない事まで吸収できる。


「SET0に対する任務の依頼は、最高評議会の議員5名と議長から行われる事になるじゃろう。議員が個人的に依頼する場合もあるし、全体として依頼がある場合もある。それに加えて、わしが独自に必要に応じて任務を計画する場合もある。また、通常作戦の支援部隊としても機能するじゃろう。

 いずれの場合も任務の内容は極秘で、SET0としての活動は一切公式な書類に活動記録が記載されない。SET0のメンバーの表向きの所属は本部防衛部隊じゃ。本部防衛部隊から支援部隊が出される事もあるし、隠れ蓑には最適じゃからの。」


 清水会長は一呼吸おいて、真っ直ぐ佐藤教官の目を見た。


「さて、SET0の現段階での展望はこんなもんじゃな。ゆっくり考えて、返事を聞かせてほしい。」


 いや、もう答えは出ている。こんなチャンスはこれを逃したら、もうやってこないだろう。それに、この人物には自分の命を預けるだけの価値がある。清水会長の纏う空気、強い光を放つ瞳。しょうがなく残って仕事を続ける事に決めたように話をしていたが、それは違う。何かあるのだ。今はまだ私には見えないが、清水会長はこの部隊に何か大きなものを託している。


「答えは出ました。よろしくお願いします。」


 短く力を込めた言葉で決意を表明した。


「ありがとう。本日、SET0部隊 顧問 清水恭介より、佐藤健二にSET0部隊への配属を命じる。」

「拝命致します。」


「さて、これで君はSET0の正式なメンバーとなった。第一号じゃ。君の命を預かるものとして信頼にたる人物であり続ける事をここに固く誓う。この命を懸けて誓う。」


 清水顧問の揺るぎない決意表明は、疑いようのない説得力を持っていた。この人は最後まで信頼できる。そして私もこの人物に信頼される人間であり続ける。SET0隊員、佐藤健二は心に誓った。


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