SE監視機関2
SE監視機関2
「問題ないか。今回の実地訓練は、訓練生の諸君にとって初めてリバーシと遭遇する機会になる。諸君はSET2のリバーシ討伐を観察するだけだが、現場では何が起こるかわからない。今までの訓練を思い出し、冷静に行動せよ。」
訓練生達はうなずくと、精神を落ち着かせ、集中力を最大限に引き上げる。気配を消し、周囲の些細な変化も見落とさないように。
上々だな。佐藤教官は訓練生を見て、最終チェックをする。全身ほぼ黒の装備に身を包む彼らは、暗闇に同化している。遠距離から視覚的に発見する事は難しいだろう。気配もうまく消せている。
「OKだ。ここから1キロ離れた待機場所までノンストップで走るぞ。屋根の上から行く。遅れないように。行動開始!」
佐藤教官は自分の合図と伴に、屋根の上までジャンプした。他の隊員も高々と飛び上がる。この世界では重力を感じない。まるで夢の中にいるように、自分がここに存在しているのか、不安を感じる程だ。しかし、この世界もある種の現実であり、自分は確かにここに実在する。生きている。それは、同時にこの世界で死ぬ可能性を内包している。現実感がないこの世界に慣れるのには時間がかかる。そのせいで、無茶をする訓練生もいるので、気が抜けない。