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2話『父という背中』②
俺は、親父の言葉がどうしても頭から離れずにいた。
竹刀を無我夢中で振っても、どうしても、頭が痛くなってくる。
俺の心をむしばむ、咲乃の存在。
「俺は、どうしたらいんだよ。」
「何、泣いてるんだよバカ息子。」
泣いてる?俺が?
目をぬぐうと、確かに水のようなものがあった。
「親父には関係ないだろ。
…また、俺をけなしにきたのか?」
「ったく、なんで俺みたいなすごい人の息子が
こんなアホみたいなやつなんだか…」
「あんたがアホだから、俺もアホになったんだよ。」
親父は、ニヤと笑うと俺の横に座ってきた。
そして、遠くを眺めるように話始めた。