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1話『過去の約束、今の願い』①
全力小説第二段。
今回は、長編小説ですよ~
7月7日、世間でいう七夕の日。
子供たちは村を回り、お菓子をもらいに行っている。
しかし俺は、七夕を回ったことがない。
別にひねくれていたわけではなく、
母親の友達の娘が毎年その日に来ていたのだ。
俺はずっと、その子と朝から晩まで遊んでいた。
母さんにつれまわしすぎて、怒られもした。
村から離れて、警察沙汰にもなったこともある。
でも、彼女は今でも毎年この村に来ている。
彼女のことはあまり知らない。
知っているのは、名前と年齢、都会から来ているということだけ。
彼女から、自分のことを話すことはないが、
俺が聞くこともない。暗黙のルール。
俺が13歳のとき、彼女とある約束をした。
「私が18歳になったとき、すべてを話す。」と
そして「そのとき言った、私の言うことは必ず聞いて」と
彼女がこの約束を覚えているということは、断言できない。
でも、俺はこの年、彼女が18になる今年をずっと待っていた。
今日、7月7日。
18歳の彼女が、この村にやってくる。