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#対人依存症。和哉くんは生きづらい!  作者: 佐野和哉


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和哉くんは名前で呼ばれたい!

子供の頃、カズヤという自分の名前が大嫌いだった。

日々なにかにつけては自分や家族を殴り罵倒し、酷い目に遭わせる奴が酔っ払っては「オレが付けた名前だ、オレのおかげでお前に名前がついたんだ」と、血走った目で話していたからだ。で、それに対してなんて答えようが、どんな顔をしようが、こうなったらあとは部屋中を髪の毛引っ掴まれて引き摺り回されるだけだ。


こんなことなら他の名前がよかったな、と何度も思った。

ちなみに〝アキラ〟がよかった。

その頃テレビで再放送してたデビルマンを見てかっこよかったから。

ハヤタ、北斗星司、一文字隼人、東光太郎、南光太郎とテレビで見るヒーローの名前は、みんなかっこよかった。

ずっとなんだか恥ずかしかった「カズヤ」という名前が好きになったのは吉井和哉さんを見てからだ。

たまたまテレビの歌番組にTHE YELLOW MONKEYが出ていて楽園を歌っていたから小学校低学年の頃だ。これがまたカッコよくて。で名前が和哉だった。

ので、自分もあやかってペンネームを和哉とした。実は戸籍上は違う字なんだけど、いつか家庭裁判所でコッチにしてもらおうと思っている。


ただ別に「かずやくん」と呼ばれることは嫌じゃない。

昔からの知り合い、友達がカズヤ!と呼ぶのも嬉しい。

あのバカの付けた名前、という便器にこびりついたクソみてえな事実だけを早く流し去りたいんだ。


19のときにバンドを始めて、その時のmixiのハンドルネームを

ダイナマイト・キッド

にした。これは豊橋のApescallというバンドのボーカルだったムネタカさんが「せっかくだから目立つ名前がいいよ!自分の好きな有名人とか」とアドバイスしてくれたからで、今でも気に入っているのでラジオネームなどでも勝手に名乗っている。


いま思えば自分で自分の名前が愛せず、自分自身のこともキライだから、自分で自分に名前を付けて、自分で自分を作り変えていったのだろう。

自分自身が思う自分に──自分が〝こうありたい〟と思う自分に。

自分の好きな自分に。自分の好きを追いかけられる自分に。

だってそれすら許されず、抑圧され、鬱屈のなかで育ってきた。

親から暴力、暴言を浴び、家族や周囲と馴染めず、自分で自分を傷つけ、漸く作った小さな箱庭を逃げ場にして、そこで大事に育てた自分……きっとそういう人いるんじゃないか。私も多分そうだ。


箱庭の中で育った自分がやがて歩き出し、走り回り、失敗したり落ち込んだり、でも楽しそうにしていたから、どこかに本来の自分を隠しておけた。

だけど所詮その虚像の自分は何度も作り直して繕ってきたヌイグルミか何かでしかなくて。長持ちしたかもしれないが、寿命は来る。

それが、今なのかなと。思うときがある。

そしてそれは、実像の自分と同じでも、別に構わないのかもしれない。


だってみんなに愛されたくて作った自分は、もうそこで縫い目をさらして転がっている。

それを手に取った自分は、本来の誰にも愛されずに育った、何もない空っぽの自分だからだ。虚像と、空洞。それだけしかない。もう今は。


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