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#対人依存症。和哉くんは生きづらい!  作者: 佐野和哉


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バカVSヤクザ「2. 新しいお父ちゃんの実家はテキヤさんだった」

新しいお父ちゃんの実家は親父さんとお兄さんもテキヤさんだった。

普段はダンプに乗って、お祭りがあると屋台を出す。

新しいお父ちゃんこと輝(テル)さんも子供の頃からお手伝いを経て屋台を任されていた。テキヤ仕込みの料理上手だもんでBBQのときは大活躍、何しろ炭火と鉄板があれば大抵のものは作ってしまう。

特に焼きそばが絶品で、余りものの肉や野菜をどんどんぶっこんで適当にやってるように見えてメチャ美味しかった。

そのほか屋台ではリンゴ飴、綿菓子、たこ焼きなど色々売っていたらしい。その後、料理人の道に進むも偏食が凄くて試食が出来ないため断念。料理上手はココでも磨かれることになった。

結果、お酒が好きなので飲み屋さんをやっているところでうちの母と出会ったのだそうな。


テキヤ仕込みだから喧嘩も強かった。何しろ一家そろってモノホンだから迫力が違う。それに武道や格闘技とは違う〝作法〟があって、それは要するに覚悟の違い…腹の座り方が全然違うんだ。

で我が家。

実は、輝さんの一家と遠い昔に繋がりがあった。輝さんのそのまたお父さんは豊橋の夜店の名物おじさんで、たい焼きの屋台主だった。いま五十代ぐらいまでの人になら、知ってる人が居るかもしれない。

さらに今から半世紀ぐらい前、その夜店でテキヤさんを仕切っていたり、豊橋にサーカスやプロレスを呼んだりしていた興行師というのがウチの曽祖父。三寅一家の佐野賛郎さんだった。

これを書くのに調べたらYAKUZA WIKIとかいうサイトがあって(本当)載ってたよ。あとGoogle検索のAIの邪魔なやつあるじゃん、上に出るアレ。あそこにもちゃんと出たよ。

ひいじいちゃん!AIも知ってるってさ!

もう輝さんの時代には亡くなってたんだけど、輝さんのお父さんがうちの曽祖父を知っていて。

なんたる縁か、家族になった。

といっても実は内縁で籍は入れてなかった。


何故かと言えば私の存在だった。

表向きは子供が二十歳になったら入籍するという話であったのだが、実際は当時そんなことをしたら週末のたびに私が殴られる理由が増えるからだった。

輝さんもその辺までちゃんと知ってくれていて、あのバカに関しては腹に据えかねていた。

嫌がってるのを無理に連れに来たら返り討ちにしたのだろうけど、バカ特有の保身行為で絶対に我が家の敷居は跨がなかったし、もし乗り込んできたら止めるだけの力が、まだ私になかった。


そうして数年が過ぎ、私は中学3年になった。

もう柔道も少林寺もバリバリやってた私に殴る蹴るが飛ぶことは減った。その代わり、伯父や年老いた祖父母に暴力が向き、私には嘲笑や侮蔑の言葉が飛んできた。チカラで勝てないから憂さ晴らしして、逆らえば力の弱い人を殴る。人間の屑だ。


そしたら私より先に輝さんが我慢の限界を迎えた。

あのバカがいつも私を連れていくのに我が家の前に車を横付けしていたんだけど、もう本当に嫌で嫌で仕方がなかった。顔にも出てたし、精神的にもメチャクチャ悪影響が出ていた。それでも行くのは「囚われてると逃げることも思いつかなくなる」という状態だったのと、逃げたら殴られるのは自分じゃなかったからだ。


向こうの家に居てもやることはテレビ見るか、マンガ読むか、ゲーム…でもずっとそばにアレがいて、たとえばゲームしてて気に入らないと当然罵詈雑言は飛ぶし、不意打ちでなら殴ってくる。それもモノを使うようになっていて、テニスのラケットとかテーブルの上にあった灰皿、食器、分厚い少年誌などがよく飛んできた。

あとは腰や首を揉ませたり、酒を買いに行かされたり。

そんな時に、あの家に電話がかかってきた。

当然、応対するのは私だ。

出たら声の主は輝さんだった。

「おいカズヤ、アイツそこに居るだろ。ちょっと代われ今から行くから」

完全に喧嘩をするつもりの声だ。目が据わってるのが声でわかる。覚悟の違いがここで出た。

受話器を取ったバカは茫然としながらも精いっぱい怒鳴り返していた。だが所詮チンピラとモノホンでは潜った修羅場が違う。

「佐藤ですけどもお、今から行くんで、ちょっとお話できませんかねえ」

「ああん!?なんだテメエ!!オイ!!誰だ佐藤ってバカ!!!」

「佐藤だよ。わかりますよね。じゃあ行くんで」

さあー大変だ。今まで好き放題やってたのが遂に年貢の納め時。私は内心わくわくしていた。ざまあみろ!という代わりに、さも困惑したような顔だけ作って座っていた。


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